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試写会では、周囲の女子高生たちがすすり泣いてくれた
── 「きみと、波にのれたら」は、どういう形でご覧になったのですか? 小島 完成披露試写会で、一般の女子高生たちと一緒に見ました。どんな作品でもそうですが、悔いがないと言えばウソになります。だけど、「きみ波」は、それほど悔いを感じなかったというか、気にならないレベルまで持っていけたと思います。我ながら、よく頑張りましたね。
── 試写会で、周囲の女子高生の反応はどうでしたか? 小島 ありがたいことに、すすり泣く声が聞こえました。そういう反応はやっぱり、うれしいですね。誰にとっても、見やすいアニメになってくれたんじゃないでしょうか。 正直に言うと、僕は湯浅監督の固定ファンが喜ぶような、大胆なレイアウトやキャラクターのパース感を入れなくてもいいんだろうかと、勝手に心配していました。だけど絵コンテを見ると、スッと理解しやすい絵づくりを心がけてらしたので、それに準じることにしました。
── 映画のキービジュアルも、小島さんが描いたのですか? 小島 そうです。配給会社から宣伝用に「こんな感じがいいんじゃないか」というアイデアをいただいたので、それを叩き台に、自由に描かせていただきました。邦画らしい雰囲気が出て、同時期のほかのアニメと差別化できました。他作品とかぶって埋もれてしまうことが、何より悲しいですから。なるべく、ほかの人と違う畑で戦ったほうがいい。湯浅監督のこれまでの作品を見ていても、自分の土俵で戦おうという意志を感じますね。
── 「きみ波」で湯浅監督と仕事してみて、いかがでしたか? 小島 まったく怒らない方ですし、自分のやりたいことを尊重していただけるので、とてもやりやすかったです。人の話をよく聞いてくれて、「試してみたいことがあるんですが」とアイデアを提案すると、「では、お願いします」と、柔軟に取り入れてくれます。僕は、とても楽をさせていただきました。
湯浅監督はおそらく、短~中期スパンでいろいろな作品にトライしていきたいのでは?と思います。「どうやって調整してるのかな?」と思うぐらい、常識外れのスピードで作品をつくりますよね。僕の尊敬しているアニメーターや監督たちは、みんな早くて上手い方ばかりです。僕の体感ですが、早く仕事をあげたり、じっくり粘って仕事したり、自分で器用にコントロールできる人は少ないですね。僕も、そんなアニメーターになりたいです。
── 「きみ波」は湯浅監督にとっても、小島さんにとっても新鮮な作品になりましたね。今後は、また別の路線に進みたいですか? 小島 そうですね、まだ自分の作風を固めたくないです。やったことのない新しい分野にチャレンジしないと幅が広がりませんから、ガンガン挑戦していろんなことを吸収していきたいと思っています。器用貧乏になってしまうのが自分としては一番怖いので、「自分の武器はこれです」と、しっかり出せる強いアニメーターになりたいです。
(取材・文/廣田恵介)
映画「きみと、波にのれたら」作品情報
監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子、音楽:大島ミチル、キャラクターデザイン・総作画監督:小島崇史
アニメーション制作:サイエンス SARU
出演:片寄涼太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎
主題歌:「Brand New Story」GENERATIONS from EXILE TRIBE(rhythm zone)
配給:東宝
6月21日(金)全国ロードショー
(C) 2019「きみと、波にのれたら」製作委員会