珍色からパチモノまで……消しゴム人形からあふれ出る無限のロマンを、まんだらけミクロ館の宮越館長が語る!【ホビー業界インサイド第74回】

2021年10月16日 12:000

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閉店後、寝袋で店舗に泊まりながら、半年かけて消しゴムを集めたオークション冊子を制作


── 宮越館長はお店で集めたり売ったりするだけでなく、消しゴムや食玩の同人誌も出しているそうですが?

宮越 さまざまなジャンルの消しゴムを掲載した「コンプREX」は、もう10号まで出ています。創刊号では「キン肉マン」の原作者のひとり、ゆでたまごの嶋田隆司先生やアニメ版主題歌をうたった串田アキラさんにもインタビューしています。ファミコン玩具特集のときは高橋名人、プロレス特集ではキューティー鈴木さんにもインタビューしました。ネットに出ていない消しゴムの情報を載せると、やはり反響がありますね。

中村 弊社には出版部もあるので書店に流通させることは出来ますが、宮越の本はあくまでも消しゴムマニアに向けた冊子として作っていて、まんだらけだけで販売してます。どの号も1000部は刷っているのですが、すぐに完売してしまって、今では3千円~1万円ほどのプレミア価格がついています。

── 自社販売だけの冊子とはいえ、スクウェア・エニックスのような大手が表4(裏表紙)に広告を出しているのはすごいですね。

中村 「ナナシ ノ ゲエム」というゲームソフトに、弊社も協力させていただいたご縁で、「広告枠がありますよ」と声をかけさせてもらいました。キンケシの特集ではお笑いタレントのよゐこさんの「キンケシ」の番組の広告を出していますが、よゐこさんの番組を担当されている放送作家さんがミクロ館の常連なので、お願いしました。

宮越 コンプリートするのは大変ですけど、こうして資料として1冊ずつまとめておけば、次からは店頭で販売できるようになりますね。本の制作中は、昼間はお店で働いて、閉店後に寝袋で店舗に泊まりながら、半年ほどかかけて編集しました。帰宅したときには、原作となる映像作品をちゃんと見て、最低でもストーリーは頭に叩き込みました。でないと、本にコメントが書けませんからね。

── 「コンプREX」とは別に、「ネクロスの要塞」という食玩を特集した本もありますね?

宮越 コンプREX外伝【HITO-SUZI(一筋)】は、ひとつのテーマを深く掘り下げた新しいオークション冊子です。創刊号の特集が、「ネクロスの要塞」。消しゴムとカード、全320種類をすべて掲載しました。2007年にも「ネクロス~」の特集本を出したのですが(「まんだらけトラッシュ」No.4)、そのときはカードの文字まで読めなかったことが心残りでした。なので、【HITO-SUZI(一筋)】はカードの文字まで、ちゃんと読める点がポイントです。「ネクロス~」はマイナーではないけど、キンケシほどメジャーではない食玩シリーズです。


中村 いま、TRPGやクトゥルフ神話が流行っていますけど、「ネクロス~」はそんな世界観をベースにした作品です。ちょっと洋モノっぽくて、大人っぽい雰囲気が人気なんです。

宮越 ですから、「ネクロス~」をリスペクトして、ソフトビニール製のフィギュアを作るアーティストの方もいます。ストーリーも魅力的で、友情やライバル・陰謀・血縁関係など、いろんなキャラクターに繋がりがあり、最後まで一貫性があるんです。
コレクションするうえでは、お菓子の箱が重要です。「ネクロス~」はチョコレートのオマケだったので、オマケの入っている上の箱はみんなとっておくけど、チョコの入っている下の箱は捨てられてしまいます。ところが、下箱の裏にマップなどが印刷されているので、資料として欠かせません。しかも、1弾について箱は4種類もあります。

── でも、お菓子の箱なんて捨ててしまいますよね、普通なら……。

宮越 子どもなら、そうですよね。残っている箱はおそらく、当時、高校生ぐらいたった人たちがコレクションする意味で保管しておいたんだと思います。ネクロスのアイスの袋なんて滅多に出てきません。

中村 アイスでいうと、カップは袋よりも大変ですね。当時は何十万個も売ったのだと思いますが、その中の何人かが宝箱などにしまっておいたか、あとは印刷工場が資料として保管していないかぎり、まず出てきません。ミクロ館ではトップコレクターの方が作った資料同人誌も委託販売していますが、たとえば「ゲゲゲの鬼太郎」の食玩のみ、しかもパッケージ編……といった本があります。


宮越 お菓子のパッケージは、裏にラインアップなどが載っているので、資料性が高いんです。食玩のパッケージは、販促アイテムと並んでコレクター最後の難関と呼べるでしょうね。

── ちなみに、大変な思いをして冊子を作って、お店の収益になるんでしょうか?

中村 もちろん、ミクロ館の売り上げになります。

宮越 「うん、よくがんばったな……」程度の売り上げですけどね(笑)。でも、売り上げのためではなくて、好きで作っているんです。

中村 増刷してもすぐに完売してしまうけど、「また次も作ってほしい」というお客さまの要望が届きますからね。

宮越 お客さまのためだし、僕自身も資料として使っています。「売って終わり」ではなく、資料として残すようにしたことは大きいです。

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