“巨乳”と“キャストオフ”を両立させる努力! ダイキ工業の美少女フィギュア開発、秘密の舞台裏!【ホビー業界インサイド第63回】

2020年09月12日 11:000

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今回の取材中、とても印象深いやりとりがあった。社長が広報担当の女性に「あのフィギュアのサンプル、どこ行った? 巨乳の女の子の」と声をかけると、女性社員は苦笑して「ウチの製品、ほとんど巨乳です……!」 それぐらい、ダイキ工業の発売する美少女フィギュアは巨乳キャラが多い。そして、“キャストオフ”と通称される服や下着を着脱できる仕様も、同社の大きな特徴。「巨乳とキャストオフなら、ダイキ工業におまかせ」という風格さえ漂う。
現在では月に1点ほど、コンスタントに新作フィギュアを発売しているダイキ工業だが、2000年代初頭に完成品フィギュアに参入してから現在にいたるまでは紆余曲折の道のりだったようだ。ダイキ工業・代表取締役の小川太平さんにお話をうかがった。

エッチなフィギュアをつくっていると、中国で目をつけられる……?


── ダイキ工業さんは1996年設立だそうですが、それ以前はどういう仕事をされていたのですか?

小川 最初はファンシーグッズの開発をしていました。ほかにも金型を扱う試作を請け負っていたので、その頃から金型づくりは得意でした。ちょっと話がさかのぼりますが、専門学校時代、フィギュア原型師として知られる伊藤宏之くん、「スター・ウォーズ」などのモデラーである高橋清二さんたちがクラスメートでした。その縁があったので、「仮面ライダーBLACK」や「AKIRA」の金田、「北斗の拳」などの玩具を試作するとき、伊藤くんに原型を作ってもらったりしていました。国内生産ではなく中国での生産になってから、その玩具会社を退職して、しばらくは不動産会社や父親の経営するプラント関係の部品会社で働いていました。
その間は玩具業界からは遠ざかっていたのですが、友だちから「ワンフェス(ワンダーフェスティバル)というイベントに出店するので、車で荷物を運んでほしい」と頼まれました。行ってみると、けっこう面白そうなんです。ワンフェスではシリコン型にレジンを流すガレージキットが主流ですから、その生産に使う真空脱泡機を設計してくれないか、という依頼が舞い込みました。僕は溶接工で機械加工が得意なので、市販のポンプなどを組み合わせて真空脱泡機を作って、ワンフェスで3台ぐらい売ったんです。その真空脱泡機を秋山徹郎さんMAX渡辺さんにも買ってもらって、フィギュア原型師と繋がりができました。その後は原型師からの依頼で、レジンキットを型抜きする仕事をしばらくやっていました。ほかにはビーグルさんやバイスさんなどの製品で金属加工が必要な場合、そうした作業も請け負っていました。

── その時期は、すでにダイキ工業として法人化していたのですか?

小川 法人化したキッカケは、伊藤くんの製作した「バーチャファイター」のガレージキットの版権を下ろしてもらうためです。そのときは、軽い気持ちで法人化しました。「バーチャファイター」の頃は、「男性ユーザーがどうして女性キャラのフィギュアを買うんだろう?」と不思議な気持ちでしたね。


── 1996年設立というと、「新世紀エヴァンゲリオン」ブームの渦中ではありませんか?

小川 そう、バブルでしたね。「エヴァンゲリオン」の頃は、個人でもイベントに出店すれば、1日で1千万円もガレージキットを売り上げる人がいたほどの大ブームでした。だけど「エヴァンゲリオン」の後、1クールで終わるアニメ番組が増えたため、フィギュア商品のサイクルが短くなってしまいました。そこでウチでは、春麗などのゲームキャラクターをフィギュア化することにしました。あとは、「月姫」などの同人ゲームですね。ゲームのキャラなら、1~2年ぐらいはフィギュアが売れるんです。

── その頃は、PVC製の完成品フィギュアではなくてレジンキットですか?

小川 ええ、レジンキットです。春麗は2種類のポーズを発売して、トータルで千個ぐらい売れました。1回のイベントで、300個ぐらい売れるんです。1990年代半ばから数年間は、国内の自社工場でレジンキットを生産して販売していました。PVC製フィギュアを最初に発売したのは、2004~06年頃だったと思います。PVC完成品は国内の工場ではなく、中国の工場に発注するようになります。中国に自社工場を持とうとは考えませんでした。税制面で面倒だし、エッチなフィギュアを作っているので、目をつけられてしまうんです。

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