「ドロヘドロ」の現場スタッフが語る“3DCGアニメ表現の現在とこれから”【アニメ業界ウォッチング第64回】

2020年03月20日 12:000
(C) 2020 林田球・小学館/ドロヘドロ製作委員会

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3DCGをベースにしながらも、強力な“絵”を仕上げる!


── 絵コンテは普通に描いていると思うのですが、その次がレイアウトですよね。

淡輪 はい、話数にもよりますが、全体の7割ほどが3Dレイアウトです。

── 背景もCGでモデリングしているのですか?

淡輪 背景はすべて手描きです。レイアウトをとるために背景用の3Dモデルを80シーンほど用意していますが、3D特有の立体的なカメラワークは極力避け、作画作品と同様に大判での2Dカメラワークを基本としています。その方針は、初期段階で林祐一郎監督と話して決めました。その分、要所で使うカメラマップがリッチに見え、印象に残るショットになっていると思います。

── 次に、キャラクターの動きについてお聞きしたいのですが、なぜ作画っぽく見えるのでしょう?

淡輪 作画だと、1枚ずつ好きなようにアウトラインを描けますが、CGだと簡単にはいきません。だけど、コマ単位で見たときに「手で描くとしたらこうは描かないよね」という視点を判断基準にしています。必要以上に動かさず、止める時は良いポージングで止めます。監督・演出からの修正指示を参照し、そこへモデルを変形させて合わせます。CG本来の特性を生かすというよりは、「CGを絵に寄せていく」作業を繰り返しています。

アクションシーンでも、1コマ1コマが気持ちいいフォルムになっていれば作画的な動きになるであろう、という考え方です。CGは自動で動画を割れてしまうので、狙って変化をつけないと、固さがより目立ちます。絵に寄せる作業を繰り返すことで、参考がなくても徐々に動きを作れるようになってきました。CGアニメーターたちも、進歩を実感していると思います。



── しかし、オープニングはすべて作画なんですよね?

野田 カイマンだけは、CGです。ニカイドウ、キクラゲ、ジョンソンは作画です。

── 餃子をつくるニカイドウの芝居が見せ場ですが、なぜオープニングは作画メインにしたのですか?

野田 内容的に、作画のほうが合っているからです。表現としてCGよりも手で描いたほうが内容にマッチした動きを出せる、ということです。

淡輪 アバンがCGで、オープニングが手描きだと「あれ、どっちだろう?」と混乱しますよね。CGなのか作画なのかよくわからないまま、見ている人の処理スピードを超えるぐらい、次から次へと絵を浴びせようという狙いもあります。

野田 「ドロヘドロ」を見ていると、絵のごった煮感にプラスして、物語のテンション感やスピード感に引き込まれて、「CGなのか手描きなのか、絵が気にならない」「CGでも手描きでも関係ない、物語のほうが気になる」状態になっていくんだと思います。逆にCGだけ浮いていたら、物語の流れがバツンと切れてしまうでしょうね。

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放送日: 2020年1月12日~2020年3月29日   制作会社: MAPPA
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(C) 2006松本大洋/小学館、アニプレックス、アスミック・エース、Beyond C、電通、TOKYO MIX

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