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アルバムごとに、ひとつずつステージを上がってきたように思います
── DISC2は、歴代アルバムのリード曲と、今回新たに録音した曲という構成です。1stアルバム「nanoir」はボカロ曲のカバー中心だったので、2ndアルバム「N」から4thアルバム「The Crossing」のリード曲が入っています。 ナノ 今振り返ると、アルバムごとに自分の新しいステージがあったなと思います。2ndアルバム「N」(2013年2月27日リリース)は、「neophobia」と「Nevereverland」のダブルリード曲だったんですけど、この2曲は今聴くと、まだ実在するナノを自分自身が受け止めきれていない印象がありました。「Nevereverland」のMVはアニメーションで、初めて実写のMVを撮ったのが「neophobia」でした。あのときは自分自身が表舞台に出る第一歩ということで、うれしさとともに恐いなという気持ちがあって。でも、それはそれで乗り越えるべきひとつのステージだったのかなと思います。
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── 初期のナノさんは、謎めいた存在という感がありました。 ナノ そうなんですよね。歌を歌うということだけに特化していたんですけど、アーティストとして、生の人間として表に出ていかないといけないんだという。最初は気負いがあって、自分らしい歌が歌えなくなったこともあったんです。そういう自分自身との戦いが始まったのが「N」でした。だから、この頃の曲の歌詞を改めて読んでみると、苦しみが強くて。それをなんとか乗り越えようとしている曲が多いんです。
── 3rdアルバム「Rock on.」は、「N」から2年後の2015年1月28日リリースです。リード曲は同タイトルの「Rock on.」でした。 ナノ 「N」と比べて大きく変化したということはなかったんですけど、「Rock on.」の頃には素の自分と向き合えるようになっていて、これでいいんだ、今の自分は間違いじゃないんだと、自分自身にも世の中に対しても強く訴えるアルバムになっていたように思います。とにかく、新しいナノとして、これからRock onしていくんだという気合いが入っていました。
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── マイクを握りしめるジャケットからして、力強かったです。 ナノ 確かに(笑)。作った頃はそこまで自覚していたわけではないんですけど、今振り返ると楽曲もビジュアルも気合いの塊で、このマイクを握ったからには死んでも離さないぞという感じになっているんですよね。
── さらにその2年後が4thアルバム「The Crossing」です(2017年5月31日リリース)。 ナノ 2年ごとにコンスタントにフルアルバムをリリースできたというのはうれしいことで、途切れることなく自分を磨いてこられたと思います。「The Crossing」のときは、また違う心境があって、がむしゃらに歌っていた「Rock on.」に比べると、先を見据える余裕が見えてきたような気がします。それが、「The Crossing」つまり「渡る」という、アルバムタイトルにもタイトル曲にもなった言葉に表れていて、橋がつながったその先はまだ霧の中なんですけど、自分は渡っていく気満々だぞという、未来への視点が入ったアルバムになりました。
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── 「The Crossing」はミディアムテンポの曲で、一歩一歩確実に歩いていくという印象がありました。 ナノ 1曲の中にいろいろな感情が入っていて、がむしゃらに突っ走るのではなく、周りを見る余裕ができてきたのかなと思います。音楽的にもメリハリを付けられるようになってきて、葛藤や苦しさという今までと同じテーマがありつつ、どこかで幸せを感じたり、ホッとする一瞬があったりする曲が増えてきたように思います。
── こうやってアルバム単位で振り返ると、ナノさんの音楽活動の流れがよくわかります。 ナノ 振り返ってみると、本当にそうですね。でもアルバムを制作していた当時は、今回はこういう意味を持つ作品になるとわかって作っていたわけではないんです。そのときの自分のすべてを込めて夢中で作っていった中に、その時々のメンタルとか、自分がいたステージというのが入り込んでいて、あ、こういう意味のあったアルバムだったんだなと今になって思えるというか。1つひとつのアルバムが、ナノを作り上げてくれたんだなと思います。
── アルバム「The Crossing」の後にリリースされたのが、「ウツシヨノユメ」「Star light, Star bright」「KEMURIKUSA」というバラエティに富んだシングル3枚で、ここまで来ると今のナノさんという感じがあります。 ナノ そうですね。もっと音楽を楽しみたいなという気持ちが表れている3曲で、特に「Star light, Star bright」(TVアニメ「CONCEPTION」オープニングテーマ)は楽曲的にもライトで、ただただ楽しい作品になったなと思います。デビュー以来、ずっと肩に力をこめて歌ってきたのを、いったんリラックスするチャンスがここだったなと。