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諦めて流されてしまう春姫の気持ちには、共感しながら演じました
── 春姫は英雄譚が好きな分、娼婦という存在が英雄にはふさわしくないことを熟知していて、それゆえに自分を否定してしまうという皮肉な設定ですが、それをベルに告げるシーンの印象は? 千菅 そこはすごく共感した部分でした。諦めることで、どこかで「もういいんです」って今の状況に身をゆだねて流されてしまうほうが、楽なんじゃないか?っていうことは、私たちの日常でもあると思うんです。「本当の気持ちは?」って簡単に言うけど……みたいな。春姫がベルの言葉に、自分から退いてしまうところは、そんなことを思いながら演じました。それに対するベルくんの「そこで行動しないとダメだ」みたいなメッセージがこもった台詞には、私自身にも響きました。
── そういう、諦念感を抱いて生きている春姫には共感されていたんですね? 千菅 諦めそうになる自分は、私も日頃の生活の中でよく顔を出すので(笑)。「諦めたほうがいいかなぁ」って。でも私はその後にいつも「絶対、諦めきれない!」っていう反動的な波がやって来るタイプでもあるんですけど。だから「落ち込みポイント」としては、よくあるし、わかるんですよ。そして、そんな「落ち込みポイント」から脱するきっかけを与えてくれたベルくんと、出会えてよかったね! って思います。本当はアイシャさんも温かく見守ってくれていたわけなんですけど……。気付きづらいというか。
── アイシャは、そういう眼で見守りつつも、あえて冷たく接してましたからね。 千菅 そうですよね(笑)。本当の英雄みたいに引き上げてくれるベルくんに出会って、春姫の世界は広がっていけた……。哀しい運命の先にある希望あるストーリーにつながっていくようで、本当によかったなって感じです。
── ベルは春姫のことを身請けすることで解決しようとするわけですが、第9話まで見たうえで振り返ると、春姫はすでに「殺生石」のことをわかっていたから、自分から行動を起こそうとしなかったんだろうという感じがありますね。 千菅 諦めた覚悟も相当なものだったと思うんです。覚悟を持って自分の未来を諦めているからこそ、簡単には揺るがないっていうのがあったんだろうなって。そうなると、ベルくんの救いたい思いの熱量と、春姫の一世一代の覚悟との「対決」ですよね。そういう感じがしました。すごくそこは「ダンまち」らしいというか。心と心のぶつかり合いと、そのうえでどっちに行くの?っていう……。私が視聴者として「ダンまち」を見ていて一番心を動かされるのが、こういうストーリーなんです。
── 「殺生石」と春姫の関係を知ったときはやはりショックでしたか? 千菅 アニメより前に原作で読んで知ったんですけど、もう、そんなに重い話だったの!って。やっぱりひとりで背負えるような運命じゃないようなすごくヘビーな運命を背負っていたんだって……。本当に、胸が苦しくなりました。
── その運命をベルは知らずに奮闘するんですが、松岡さんとのかけ合いはどうでしたか? 千菅 本当にベルくんはまっすぐで、私はその熱量に引っ張られながら演じるという感じでした。やっぱり初登場だった第6話が一番緊張して。第6話はかなりのシーンでベルくんと春姫は会話をしっぱなしだったんですけど、そこで初めて松岡さんとのかけ合いもしたので、結構最初はドギマギしてしまいました。そこからストーリー的にも、私のアフレコの経験値的にも、段階を踏んでなじんでいったといいますか。松岡さん演じるベルくんには、本当に心を動かされるから、すごいなぁ!って。それは回を重ねていくごとに感じます。