【インタビュー】音楽を作ることで描かれる人と人との螺旋。茅原実里がニューアルバム「SPIRAL」をリリース

2018年09月25日 19:000

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畑亜貴さんには、すべてを見透かされているような気がします(笑)


── 4曲目は「金魚」。唐沢美帆さんの作詞で、大人っぽい曲でした。勢いよく始まったアルバムが、この曲から流れが変わります。

茅原 報われない男女の恋愛をテーマに、歌詞を書いていただきました。唐沢さんには、いつか詞を書いていただきたいなと思っていて、今回やっとかないました。情熱的な恋の歌であり、禁断の恋の歌で私好み。大好きですね。

── 報われない男女の恋愛がお好きなんですか?

茅原 好きですね(笑)。アルバムの中に1曲は必ずあってほしいテーマです。

── 情熱と悲哀が入り混じったラテン調のメロディにもぴったり合った歌詞だと思いました。5曲目「Remained dream」は、TVアニメ「フルメタル・パニック! Invisible Victory」第8話のスペシャル・エンディングテーマです。茅原さんにとっては大事な話数でしたね。

茅原 そうなんです。私が演じるナミが殺されてしまう話数でした。生死という重たいテーマを背負った曲で、ナミと気持ちがシンクロしましたし、この曲を歌うのは精神的に苦しかったですね。

── 作詞は畑亜貴さんです。

茅原 もし自分がこの世からいなくなってしまったとしても、誰かに自分の想いが受け継がれていくのであれば報われるのではないだろうか…? という人生への問いかけ、メッセージが詰まっています。絶望の中で必死に光に手を伸ばしている曲です。

── 6曲目の「Little Wing」は、最初に教えていただいた通り、かなり前に作った曲なんですよね。

茅原 制作したのは2013年から2014年です。「Planet:Valkyrie[プラネットワルキューレ]」というアニメーションの第2章のテーマソングでした。大切な人と青空を飛び回るイメージで作った、とても爽やかな曲で、特別な友だちを思いながら歌詞を書かせていただきました。ファンのみんなから早く音源化してほしいという声がたくさん寄せられていたので、「お待たせしました!」っていう気持ちでいっぱいです。やっとみんなの手元に届けることができます。

── 続いては「奇跡」。作詞は茅原さん、作曲・編曲は黒須克彦さんです。

茅原 「Little Wing」とほぼ同時期に作った曲です。歌詞は平和をテーマに書きました。

── 壮大な歌詞ですよね。まるで、地球の営みを丸ごと俯瞰して見ているような。

茅原 それくらいの大きな気持ちで書きました(笑)。レコーディングのときは「聖母のようなイメージで」とディレクションされて、慈しみややさしさを大事に歌いました。この曲も、いち早くリリースしたかったんですよね。作った直後から大好きな曲で、ライブでも歌いたいし、みんなにも日々聴いていただきたいなってずっと思っていて、今回、音源化できたことがすごくうれしいです。

── 室屋光一郎さんによるストリングスアレンジも美しいんですよね。

茅原 黒須さんと大先生(室屋さんのこと)のコンビには、いつも感動させられてばかりです。大先生のストリングスが加わると、サウンドから感じる愛がどんどん深まっていく印象です。本当に2人は素敵な組み合わせだなって思います。

── 黒須さんと室屋さんと茅原さんのスパイラルが生んだ曲ということですね。次の8曲目「声もなく始まる世界」は、アルバムの中でもっとも古い曲だと?

茅原 はい、2012年の制作です。「プラネットワルキューレ」のさらに前に、私の音楽を原作にしたアニメーションを作ろうという企画があって、それのために作った曲です。企画が実現しなかったので、この曲も世に出ることがなく、それ以来ずっと温めてきました。

── そして、6年越しで世に出ることになったと。

茅原 すごいですよね、本当にようやくです(笑)。

── 作詞は畑亜貴さんです。企画のストーリーにそって書かれた歌詞だったのでしょうか?

茅原 まず企画の根幹となる楽曲を先に作ろうということで、何もない状態から作った曲だったと思います。ここで立ち上がった企画が、後の「プラネットワルキューレ」として形になっていったんです。

── でも、「声もなく始まる世界」の歌詞にはストーリー性をすごく感じて、TVアニメの主題歌らしい曲だなと思いました。

茅原 私もそう感じています! アニメのオープニングテーマにすごくハマりそうな楽曲なんです。もし企画が実現していたら、この曲にどんな映像が付いたのか、見てみたかったなあと思います。この曲も進化していて、今回、新たにレコーディングするにあたって畑さんが歌詞を微調整してくださり、もともとサビ中にあった英語の歌詞が日本語に変わりました。「今のみのりんだったら、日本語でしっかり説得力を持たせて歌ってもらえると思うから」って。

── 茅原さんの成長に合わせて、畑さんが歌詞を変えたと。

茅原 はい。「自分の“今”を詰め込む」というアルバムのコンセプト通りの曲になりました。

── 9曲目「Hopeful “SOUL”」は、「フルメタル・パニック! Invisible Victory」第8話の挿入歌です。シングルでは、「Remained dream」のカップリング曲でした。

茅原 テーマが「怒り」で、この曲を受け取った当時の自分自身の気持ちとすごくシンクロしました。実は、「まさにこの曲の通り!」って思うような事件があったんです(笑)。「理不尽なことって、生きているといろいろあるよね」って葛藤していたときに、この曲をいただいて気持ちが晴れたというか、理不尽なことにいちいち怒るんじゃなくて、まるごと受け入れていったほうが強くなれる、と言い聞かせて。「避けられないものと受け入れろ…!」という歌詞があって、「はい、畑さん!」って感じでした(笑)。

── 人生のアドバイスをもらったと(笑)。

茅原 そうなんです(笑)。今年の夏の河口湖のライブでは、一番気持ちをこめて歌えた曲でした。「時間は過ぎるだけで 戻らない」という歌詞もあって、自分自身も励まされましたし、みんなの背中を押してあげられる曲だなって思いました。

── 「フルメタ」に即して聴くと、相良宗介の気持ちを表現しているのかなと思いました。

茅原 もう、畑さんって本当にすごくって…。宗介視点でもハマるし、ナミ視点でも、私視点でもハマる。あらゆる角度から聴いても誰にでも自分へのメッセージとして受けとることのできる歌詞なんですよね。私のすべてを見透かされているような気がして、いつも「神なのか!?」って思っちゃいますもん(笑)。

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