プラモデルに詳しい人、そうでもない人……
さまざまな立場が関わって生まれたアニメ、その今後とは?
──お話を聞いていると、アニメ制作の現場もかなり盛り上がっていそうですね。
千葉 はい。アニメを観ていただいても、スタッフのみなさんがすごく楽しんでつくってくださっているのが伝わるのではないでしょうか。
川口 制作スタッフも、やはりすでに立体物があるというのがすごくテンションが上がるみたいで。今後放送になる話にはFAガールを(3DCGモデルを使わず)すべて作画で描いている回なんていうのもあります。
──なんと。
川口 明確にはFAガールではないのですが、それは見てのお楽しみということで(笑)。とにかく本当にみんながFAガールのことが好きで、やりたいことをやっている作品なんです。スタッフはこの仕事のギャラで、FAガールのプラモデルを買っているぐらい(笑)。
千葉 そんな……言ってくだされば送るのに(笑)。というか、すでにけっこうな量をお送りいたので、これ以上はむしろ迷惑なんじゃないかと思っていたぐらいだったんですが……。
川口 スタジオの分はまだまだ足りてないぐらいで。とはいえ「ちょうだい!」って気軽に言うにはお値段がするものですから、なかなか(笑)。あと、組み立てたFAガールをスタジオに置いていると、作画の資料として持って行かれちゃうんですよね。今、自分のスティレットもその状態で……そろそろ返してくれないかな(笑)。
千葉 (笑) アニメと模型の関係の話をすると、実は最初、コトブキヤでは充電くんの商品化は予定になかったんですよ。でも監督をはじめとするスタッフの皆さんが作品の中で活躍させてくれて。コトブキヤとしてもその様子をみて、じゃあ商品化しましょう、というのが決まっていくんです。
2017年8月発売のプラモデル「充電くん」は、アニメから生まれたアイテム。価格は2,500円(税別)
川口 ホビー系のアニメだと、商品展開の都合で「次の話にコレを登場させて!」みたいな無理難題が飛んでくることがあって、このアニメでもそういう話が飛んでくるのを楽しみにしていたんですが、むしろ逆の流れになっていますね。
いや、しかし充電くんは早く欲しいですね。全色欲しい(笑)。今、制作陣が一番楽しみにしているキットですよ。
⇒春アニメ「フレームアームズ・ガール」より、サポート機体「充電くん」プラモデルが登場! 2017年8月発売
──模型の話になりましたが、本作は各所に登場する模型ネタが魅力的な作品でもあります。あれは川口さんの実体験なのでしょうか?
川口 自分も含めた、いろいろな人の体験ですね。実は本作のシナリオライター陣は、赤尾でこさんをはじめ女性の作家が多く、ひとりを除いて模型の知識がほとんどないので、こちらからいろいろとアイディアを出しています。
千葉 そのおかげで、プラモデル初心者側からの視点も取り入れることができたと思います。我々のように、普段からプラモデルにガッツリと関わってるメンバーのみだとビギナーの方が陥る部分を見落としがちですから。
川口 模型に対する、あおの「めんどくさい~」みたいなリアクションは、そのときの赤尾さんのリアクションそのままですね(笑)。
千葉 すでに模型を作っている人はもちろん、アニメをきっかけにプラモデルをはじめたという方でも1話を見直したら「ああ、わかる、わかる」と思っていただけるのではないでしょうか。
──さきほど、“ひとりを除いて”とおっしゃいましたが……。
川口 はい。ひとり、ものすごく模型に詳しいライターがいるんです。武希子に関しては、そのライターがセリフを担当していて、ほかのライターが書いたシナリオでも、武希子のセリフについてはその人がチェックを入れています。
千葉 武希子を体現したような方ですよね。「ジャーマングレーと結婚したい」なんて、こんなフレーズがよく思いつくなと感心していました(笑)。
──いっぽう、FAガールのキャラクター設定はもとのプラモデルシリーズでは明確に設定されていません。こちら、どなたが設定されたのでしょうか?
千葉 これはコトブキヤの社員ですね。ものすごくFAガールが好きな社員が、ファン代表の目線で各キャラクターの設定のたたき台を作ったんですよ。
──版権元としてではなく、あくまでファンの代表という立ち位置からのアイディアなんですね。
川口 なかなか濃い方ですよね(笑)。すごく細かく設定を考えてくださったので、たたき台というより、わりとそのまま採用しましたね。もちろん、アニメ用に微調整はしましたが、そういう方が作ってくれたからこそ、FAガールのプラモデルが好き! というファンの方にも違和感なく各キャラクターが受け入れられているのではないかと思います。
千葉 結果として、模型をまったく知らない人と詳しい人、そしてファン代表、とそれぞれの視点が合わさったことで、FAガールを知っている人はもちろん、知らない人でも楽しめる作品になったと思います。
──それでは最後にアニメの今後の展開について、そして視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。
川口 すでに第7話までご覧になった方は、この感じでずっと続いていきますので、安心して楽しんでいただければと思います。これから急に人が死んだりとか、そういう展開にはなりませんので……。プラモデルファンの方は……、フレズヴェルクが出てきたということは当然……? ということで、楽しみにしていてください(笑)。
ついに第7話で登場したフレズヴェルク。今後の展開にも期待大!
また、実は第1話からずっと作中にちりばめてきた要素がありまして、最終話までお付き合いいただくと「おっ!」と思っていただけると思います。最後まで観ていただいて損はありませんので、是非。そしてアニメを観たあとは、プラモデルを買っていただければ(笑)。
千葉 ありがとうございます(笑)。コトブキヤでは、これまでFAガールのプラモデルを楽しんでいただいている方にはもちろん、アニメを観てFAガールに初めて触れたという方にも楽しんでいただけるような、アニメとリンクした商品を鋭意企画中です。アニメともども是非よろしくお願いします!
──ありがとうございました。
(取材・文/編集部)
【プロフィール】(※敬称略)
■川口敬一郎(かわぐち・けいいちろう)
代表作は『ハヤテのごとく!』『SKET DANCE』『まよチキ!』『ファンタシースターオンライン 2 ジ アニメーション』等。監督を務める傍ら近年では音響監督やシリーズ構成を兼任するなど、数々の作品で活躍を見せる。『フレームアームズ・ガール』では趣味の一つであるフィギュアや玩具集めから得た知識や経験を、余すところなく発揮している。
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