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最後の最後まで、いいことを言わないアルバムです(笑)
── 次に作ったのは、どの曲でしょう? 岸田 「life logistics」と「zero-sum game」ですね。「life logistics」は、最近メジャー感のある曲が多かったから、インディーライクな曲を作りたいなと思って作りました。シンプルに、ローファイに、パンクバンドっぽさを意識した曲です。
── たしかにパンクのシンプルさを感じる曲でした。 岸田 逆にミックスしている時に、音が汚れなくて苦労しました。もっと安い機材を使えばよかったと。高い機材の音がするのがイヤで、それを一生懸命消しました。「zero-sum game」は、最初、「天鏡のアルデラミン」みたいな曲ができあがって、同じタイプはダメと思いながら、がんばってずらしていった曲ですね(笑)。
── この曲は、現代社会に対するメッセージ性が強いですよね。 岸田 社会批判をしているのではなく、現実を否定も肯定もせず、こんなもんでしょ、という感覚ですね。
── 「zero-sum game」が顕著でしたが、シングル曲も合わせて、アルバム収録曲の歌詞からは、一貫したメッセージを感じました。 岸田 それはあると思います。一貫してクソですね。あまりいいことは言ってないです。普通のバンドは、もうちょっといいことを言うと思います。最後の最後まで、いいことを言わないアルバムです(笑)。
── それが岸田教団 & THE 明星ロケッツの味なのかなと。 岸田 いいことを言うには、いい人じゃないと説得力ないですからね。相当ワガママなんで、ichigoさんの人間性は(笑)。「LIVE MY LIFE」が限界点。あれ以上いいことは言えないと思います。そして、最後に作ったのが、「希望の歌」と「Ruler」と「LIVE MY LIFE」ですね。そのタイミングで、ichigoさんが「vivid snow」を作ってきました。この曲だけは、彼女の作詞作曲です。
── アルバムも完成に近づいてきたという感じですね。「Ruler」はリズムは立ってますが、メロディはキャッチーで、アイドルグループが歌ってもいいくらいの曲だと思いました。 岸田 そうですね。この曲ははやぴ~さんとの話し合いの中で生まれたんですけど、米津玄師の曲は米津玄師が歌うからかっこいいんだと、はやぴ~さんが言い出したんです。で、実際にマネして作ってみたら、歌謡曲バリバリみたいな曲ができて、それを改造して作ったのが、「Ruler」です。
── なるほど。だからメロディは歌謡曲テイストが強いんですね。 岸田 逆にサウンドはポップにならないように気を配って。はやぴ~さんが好き勝手やってます(笑)。
── 岸田さんから見た「vivid snow」は、どんな曲ですか? 岸田 ichigoさんが作詞作曲し、レコーディングも彼女のやりたいようにやったので、僕から言えることはないですね。ただ、原案段階ではもっとR&B的なサウンドだったんですけど、残念ながらドラムのみっちゃんにR&Bを理解できる知識はなく、まったく違う曲になりました(笑)。
── でも、アルバム唯一の横ノリの曲になってますよね。 岸田 それはベースでがんばりました。ドラムはハードロックですね。人間、聴いたことのない音楽は再現できないんだなと思いました(笑)。