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アニメーターを目指す人の刺激になるような展示を
── たくさんのすぐれたアニメーターと接してこられて、どんな人が第一線に残っていると思いますか? 舘野 いつも「くやしい」と思っている人は、伸びると思います。宮崎駿さんも含めて、相手が自分より年上だろうが若かろうが、「何くそ!」と奮い立つ部分は失わないほうがいいでしょうね。「俺は上手いんだ、偉いんだ」と落ち着いてしまうよりも、くやしがって描いている人は“終わらない”と思うんです。そういう気迫、気合を失わない人たちがトップを走ってるんでしょうね。
── ササユリカフェに来れば、すぐれた原画を手でめくって見ることができますね。 舘野 これからアニメーションを仕事にしたい人に刺激になるでしょうし、原画で興味をもって「この作品を見てみたい」と思ってくれるファンの人もいるでしょう。何より、色を塗られる前の線画の動きって、なんとも言えない魅力があるんですよ。動画チェックをしていると、いまひとつの腕前の人と、最高にうまい動画のプロの人とでは、ぜんぜん仕上がりが違うとわかります。動画のうまい人って、本当にすごくうまいんです。原画の曖昧なところをひろって、よりよい動きにしたり、原画マンに確認をとって「ちょっと引っかかりがあるから、直しておくね」とやりとりする、ベテランの動画マンもいました。ジブリの中では、宮崎さんの方針で、原画も動画も同じ部屋で交じりあって仕事していました。教えたり教えられたり、一緒に話しながら作業していく環境が、人を育てたんだと思います。
原画に昇格できそうな天分があるのに、あえて「動画のほうが好きだから」と動画にとどまる人もいるんです。そういう人は貴重ですね。
── お店に来るお客さんは、アニメ好きとは限らないんですよね? 舘野 はい。そういう方は、「かわいいわね」と眺めて、お茶だけ飲んで帰ります。そういう方たちにとって、じゃまにならないように展示しています。
── アニメ好きのお客さんからのリクエストは、ありますか? 舘野 はい、アドバイスはいただいています。吉成曜さんの個展はアニメスタイルさんからの持ち込みでしたけど、「TRIGGERさんの展示をしてほしい」という声が多い時期と重なったので、とてもタイムリーでした。
── 今後の予定は? 舘野 うちは小さいお店なので、よそではやらないような角度から、ちょっと隙間を狙うような展示をしたいと考えています。個人のアニメーターさんや、ちょっと昔の作品にスポットを当てていきたいですね。展示とは別に、アニメーションの入り口になるようなワークショップを、いずれやりたいと思っています。
(取材・文/廣田恵介)
インフォメーション
・安野モヨコ『オチビサンカフェギャラリー』
開催日時:2017年3月2日(木)~4月3日(月) ※火曜水曜定休
営業時間:11:30~22:00(21:30ラストオーダー)
(期間中は通常通りカフェ営業しております。貸切など特別日の最新情報は、ササユリカフェホームページのお知らせやtwitterなどをご確認ください。)