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ラストの「gift song」は、椅子に座って歌いました
──音作りのお話も聞きたいのですが、2曲目「What a Wonderful World Line」は、どのようなサウンド感を目指して作ったんですか?
佐藤 実は前段階があって、最初は1曲目の「The Color to Gray World」をアルバムのリード曲にしようと思っていたんです。でも、壮大なミディアムテンポの曲だったので、ミュージックビデオを作ったり、アルバムの顔となる曲はもっとアップテンポなほうがいいかなと。それで生まれたのが「What a Wonderful World Line」で、ストレートにポップなメロディを作ろうと思いました。
──演奏には勢いを感じました。
佐藤 メジャーデビュー以降、アニメの主題歌ではナマのストリングスを多用して、贅沢なサウンドを作ってきたんですけど、この曲はあえてストリングスを使わずにバンドだけの音で作ってみようと。メジャーデビュー前の「New World Line」の頃と同じやり方で、当時の自分たちをアップデートしたものにしようと思いました。
kevin ストリングスの音も入っていますが、ナマの演奏ではなくサンプリングによる構築なんです。
yuxuki ベースは、いつもサポートしていただいている田辺トシノさんです。
佐藤 全体的にエレクトロな質感だけど、ポップで泣けるメロディで、ギターも気持ちよく入っていて。そういう曲を、今、作ってみたいなと。
towana アルバムの新曲は7曲あるんですけど、その中で一番最初に録ったのが「What a Wonderful World Line」でした。サウンド的にはfhánaの原点かもしれないんですけど、ボーカルとしては、ここまでやってきた経験がなければ歌えない難しい曲で、この曲を録りきれたのはアルバム制作に向けての自信になりました。
──新曲が揃ったところで、アルバム全体の流れをどう作っていこうと思いましたか?
佐藤 曲順は必然的にこうなったというか。3曲目の「ワンダーステラ」と13曲目の「コメットルシファー」は曲調だけで判断するなら位置が逆でもよかったんですけど、「ワンダーステラ」は「冒険の地図を見つけた」という歌詞がある通り旅立ちの歌で。
towana 「コメットルシファー」には「長い旅終えた」という歌詞があるんです。
佐藤 だから、それぞれ序盤と終盤に入れたほうがいいだろうと。曲調と歌詞の両方がうまくつながっていくように並べました。
yuxuki エンディングのような雰囲気を持つ「The Color to Gray World」から始まるというのが、とてもよくて。全部聴き終わって、また1曲目に戻った時に、また違った気持ちで聴けるような仕掛けがあると思いました。
towana 私は1曲目の「The Color to Gray World」とラストの「gift song」には、いつもじーんと来て、泣いてしまうんです。メロディと歌詞に心打たれて、レコーディングの時も、涙を流しながら歌いました。特に「gift song」は涙が出すぎて、むしろ心を無にして歌おうと思ったほどで。それくらい表情が乗ったボーカルになったなと思います。
佐藤 「gift song」はパフォーマンスだけではない素の表情を出してもらいたかったので、椅子に座って、リラックスした状態で歌ってもらったんです。そうしたら、涙が出てきたという。
──「gift song」の歌詞は、シンプルでありながら深みがあります。
yuxuki (作詞の林英樹さんに)とにかくわかりやすい言葉で書いてほしいと、メンバーで相談した上で歌詞をお願いしました。僕の中では、子守唄というイメージがあります。やさしくて、でもメッセージは深いという部分が好きです。
──それぞれの魅力を持つ14曲を、towanaさんが見事に歌いこなしていて。
yuxuki 1つひとつの曲で、それを歌っているtowanaの声の表情がよく見えるボーカルになっているんです。
towana そうですね。ファーストアルバムと比べても、表現力が上がったというよりも、曲によっていろいろな表情を出せるようになったと思います。