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TVアニメ「有頂天家族」の全話上映イベントが9月28日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。
これは、TVアニメ「有頂天家族」の全話をオールナイトで上映するという催し。特に、第13話(最終話)は、9月29日の放送に先駆けての先行上映で、キャストやスタッフによるトークショーも実施された。イベントは、トークショーと最終話の上映を行った後、改めて全話を通してオールナイト上映するという構成。会場を埋めたファンは、翌日の最終話放送よりも一足先に物語の結末を堪能した。
トークショーは、最終回上映前後の2回にわけて行われたが、上映前にまず登壇したのは、中原麻衣さん(下鴨矢四郎役)、佐倉綾音さん(海星役)、森見登美彦さん(原作者)の3人。森見さんは、「アフレコ現場に最初に行った時は、プロデューサーとか偉そうな人が真剣な顔でアフレコを聞いているので、すごく緊張した」としながらも、中原さんが演じた矢四郎の印象を聞かれると「矢四郎は、最初声だけを聞いた時は『かわいすぎるんじゃないかな?』とも思ったんですが、実際に映像が完成してみると『これが矢四郎なんだな』と納得がいきました」とコメント。レギュラーで男子を演じたのが初めてという中原さんは「長男しっかりしているし、次男はアレ(カエル)ですけれど、三男は要領がいいし、そういう兄弟の中で、どうやったら矢四郎の魅力が生きてくるかを考えた時に、四男はやっぱりかわいさだろうと考えました」と、矢四郎を演じるにあたっての狙いを説明した。一方、なかなか姿を現さない海星について佐倉さんは「声だけが先行して登場しているので、私の声が第一印象を決めてしまうんです。だから海星が実際に姿を見せた時に、視聴者の方に違和感を感じさせてはいけないというところがプレッシャーでした」と苦労を語った。ちなみに、佐倉さんが森見さんに「どうだったでしょうか」と感想をたずねると、森見さんは「海星だったと思いますよ」と答えていた。
そして、最終話上映を挟んだ後に登壇したのは吉原正行さん(監督)、堀川憲司さん(P.A.WORKS プロデューサー)、菅正太郎さん(シリーズ構成・脚本)、森見さんの4人。「原作を読んで自分が感動した部分をそのままアニメにしたかった」という吉原監督は最終回の感想を聞かれて「人の多さですね。もともと京都が舞台ということで、シリーズを通じて、街をゆく人など多く描いてきましたが、最後の最後で正月(の初詣)かよ、と(笑)。なんてところで物語を終わらせてくれたんだと思いました(笑)。作画枚数も相当いってしまいましたが、アニメの醍醐味はいっぱいあったのかな」と裏話を打ち明けた。そんな制作上の苦労話を受けて、菅さんは「原作を読んで(制作上大変そうな場面も多いが)『本当にやるんですか?』と聞いたら、吉原監督や堀川さんが『本当にやるんだ』ということで、その覚悟は最初から聞かされていました」と、企画スタート時から覚悟を決めて本作に取りかかっていたことを明かした。
アニメ化はスタッフにお任せしたという森見さんは、最終話の感想を聞かれると、仙酔楼が壊れるシーンについて「モデルになった建物は江戸時代からの貴重なもの。小説で壊した時は、特になにも思わなかったんですが、映像で見ると『うわ、(貴重なものを)壊してる』と思いますね(笑)」と語り、「金曜倶楽部と狸たちと赤玉先生が入り乱れるところは、本当にぐちゃぐちゃになるようになるように書いたところなので、それが本当に画面でもぐちゃぐちゃに描かれていて非常に楽しみました」と満足気だった。堀川さんは「第十二話で偽叡山電車が走るところで、吉原監督は3DCGを使わず手描きにこだわってた。あれはどういう理由だったのか気になっている」と吉原監督へ突然の公開質問。吉原監督は「あなたが枚数使えっていうから(笑)」と冗談で応じつつ、「ものではなく、キャラクターとして描きたかったから」とその理由を明かした。
続いて会場が盛り上がったのは、公式サイトで募集した質問の中から「何に化けて、誰を驚かせたいですか」という質問が紹介された時。森見さんの回答は、「強いていうなら」という前提で、散歩で訪れる近所の神社の池にいる「亀」。そこを訪れた、妻を驚かせてみたいという。菅さんは、本編で銀閣がそば屋に化けていたシーンが、どういう仕組み/構造になっているのかずっと気になっているため、銀閣に化けてその仕組を知りたいとのこと。堀川さんは、なかなか理解できなかったキャラクターが弁天なので、弁天に化けて森見さんの心の中をのぞいてみたい、との回答。面白い作品を生み出す森見宇宙をのぞいてみたいのだという。堀川さんはさらに森見さんに「弁天は好みのキャラクターですか?」と直球で質問。そんな無茶ぶりに森見さんは「遠くから見ている分には好きは好きですけど、直接関わりになりたい人ではないですね(笑)」と答えた。吉原監督は「矢四郎になってみなさんの携帯を充電したいです。一日中やっていたいですね(笑)」と会場の笑いを誘った。
最後のあいさつで吉原監督は「通してみるとまた見えてくるものがあると思います。一人一人自分たちで感じられる何かがある作品だと思うので、最後まで楽しんでいただければ」とトークを締めくくった。
なお、「有頂天家族」は、音楽イベント「有頂天音楽感謝祭」が12月1日に開催されることやキッズステーションで10月7日21時26分から再放送が行われることが決定している。