【Steam】買い逃しはない? Steam新作インディーズゲーム7月新作この3本!

2022年07月30日 12:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。暑い日も続き、いよいよ夏本番になってまいりました。ゲーム界では、夏は新作や話題作のラッシュが風物詩という雰囲気もありますが、Steamでもさまざまなインディータイトルが発売されております。というわけで今回は、6月~7月にリリースされた新作ゲームの中から、オススメのインディータイトルを厳選してご紹介していきたいと思います。

 

併せて読みたい

【2022】これを買っとけば間違いない! 絶対にオススメSteam93選!

項目
目指せ最速タイム!「Neon White」
6つのボードゲームがオンラインで楽しめる「レッツプレイ!オインクゲームズ」
伝説の“奇ゲー”が令和に復活!「GARAGE ガラージュ」

1.目指せ最速タイム!天国を舞台に繰り広げられるクールな3Dアクション「Neon White」

皆さま、RTAを見たことはありますでしょうか。RTAとは「リアルタイムアタック」の略称で、ゲームスタートからクリアまでの実時間の短さを競う、ゲームプレイスタイルのひとつです。大規模RTAイベント「RTA in Japan」などを動画配信で見たことがある方もいるかもしれませんが、いざ自分が挑戦しようとするとハードルが高く感じるもの。ここでご紹介する「Neon White」は、そんなタイムアタックの面白さを手軽に味わうことができる作品です。



本作は1人称視点の3Dアクションゲームです。まず目を引くのは洗礼されたグラフィック。クールでありながらポップでキャッチーなビジュアルは、ゲームやアニメが好きな人ならグッとくるのではないでしょうか。ちなみに記事では伝わりませんが、本作は音楽もクール。疾走感のあるBGMがゲームプレイを盛り上げてくれること間違いなしです。



ゲームの内容紹介に入る前に、まずは本作のストーリーと世界観をご紹介していきましょう。

 

本作の主人公は、死んで記憶をなくしてしまった、とある男。彼は地獄へと落ちる運命にあったのですが、目覚めるとなぜかそこは天国。そこで神の使いたちが言うことには、主人公のような人間たち「ネオン」に、「審判の10日間」でデーモン討伐をしてもらい、その中で最も優秀な成績を収めたデーモン討伐者には、報酬として天国への永住権を与えるとのこと。天使たちから爆弾が仕込まれたマスクを付けられた主人公は、「ネオン・ホワイト」として、ほかのデーモンハンターであるネオンたちと、天国への永住権を賭けて競い合うこととなるのでした……。

 

「天国で罪人たちの悪魔退治レース開催!」という、とがったストーリーがなんとも魅力的。天国や悪魔といった要素が登場することから、どことなくおごそかで神秘的な雰囲気もゲーム中に漂う、ユニークな世界観となっています。



本作は、ステージクリア型のアクションゲームです。ステージ中にいる敵のデーモンをすべて倒して、ゴール地点を目指すことが目的となります。基本アクションは「攻撃」と「ジャンプ」となっており、アクションゲームとしては比較的オーソドックスな構成。ですが1点、本作ならではの特徴的なシステムが存在します。それが「ソウルカード」。これは、ステージ中に置かれていたり、敵を倒すことでドロップするカードで、これを拾うとマシンガンやショットガンなどカードに描かれている武器を使用することができるようになります。

 

近接武器の「カタナ」は最初から所持していて、かつ無制限に使えますが、敵は近接攻撃が届かない場所に配置されているものも多くいるため、ステージ中に置かれた「ソウルカード」を使っての攻略が必須となります。「ソウルカード」の遠距離武器では、スコープを覗き込んで狙いを定めるといったアクションはできませんが、画面中心のカーソルに向かって弾を射撃するという、FPSゲームで言うところの「腰撃ち」に近いプレイ感となっています。



ステージ中には、明らかに通常のジャンプでは届かない段差や地形がしばしば出現します。こういった場合、アクションゲームではステージ中に隠されたギミックを起動したり、レベルを上げてスキルを習得することで乗り越えるものですが、本作の乗り越え方はまったく別次元。それは「獲得したソウルカードの破棄」です。

 

実はソウルカードには、武器としての使い方以外に、カードを破棄することで一度だけ使えるアビリティが備わっています。


たとえばハンドガン的な武器「エレベイト」なら破棄することで2 段ジャンプが可能になり、マシンガンのような武器「ピュリファイ」なら破棄することでボムを設置する、といった具合。破棄アビリティはその名のとおり、ソウルカードを破り捨てることで発動するものなので、一度使うと消えてしまう点がポイントです。

 

さらに、「エレベイトを破棄して2段ジャンプをした先でまた、エレベイトを手に入れて即破棄をして連続ジャンプ」や、「ピュリファイで設置したボムの爆風を利用してハイジャンプ」など、高度なアクションが求められるシチュエーションも存在します。ソウルカードを武器として使って敵を蹴散らしつつ、うまく破棄アビリティを発動して地形をどんどん乗り越えていくという、疾走感あふれるパルクールアクション的なプレイ感が本作最大の醍醐味となっています。



スピード感のあるプレイが楽しめる本作ですが、物語を進めるためにもこの「スピード」、すなわちどれだけ最速でクリアできるかというクリアタイムが重要となっていきます。

各ステージではクリアタイムによってブロンズ、シルバー、ゴールド、エースという4段階の評価を得られる仕組みになっており、ゴールド評価以上でプレイヤーのランクが上昇。一定のランクに達することで先のチャプターへと進むことができるため、プレイヤーはゴールド以上の評価を狙って何度も同じステージを挑戦することとなります。

最速クリアのためには、可能なかぎり無駄のないアクションを突き詰めたり、カードの破棄アビリティを組み合わせてショートカットを見つけたりといった創意工夫とトライ&エラーが必要に。これこそ、筆者が冒頭で触れた、本作が「RTA(リアルタイムアタック)」的な面白さを味わえるという点なのです。



とは言え、「同じステージを何度もプレイするのはちょっとダルいな……」という方も多いのではないでしょうか。しかし本作には、同じステージを繰り返し楽しくプレイするための工夫が施されているのです。それは、ステージクリア時の4段階の評価によってたまる「インサイト」というポイント。


このインサイトがたまると、各ステージでさまざまな要素が解禁されていきます。解禁される要素は世界中のツワモノたちのタイムと競える「グローバルオンラインランキング」や、自分の最速データのリプレイがステージ中に表示される「プレイヤーゴースト」」と、実にボリューム満点。これらの解禁要素によって同じステージを再プレイする楽しみが増えていくため、作業感を感じずに自然とタイムアタックにのめり込んでしまう仕組みになっています。

 

ちなみに、たとえクリアタイムを更新できなくても、ステージをクリアさえすればインサイトが少しだけ手に入るので、根気よく何度も周回プレイをすれば、いずれ要素を解禁できる作りになっています。細かい点ではありますが、カジュアルゲーマーにうれしいポイントと言えるでしょう。



解禁要素の中で筆者が特に推したいのは、ずばり「プレゼント」です。本作のストーリーには、ミステリアスな雰囲気をまとったセクシーな女性「ネオン・レッド」や、テンション高めでちょっとアブない少女「ネオン・バイオレット」など、魅力的なサブキャラクターが多数登場します。そして各ステージ中に置かれたプレゼントをゲットして彼らに贈ることで、特別な会話イベントやサブクエストが発生する仕組みになっているのです。プレゼントを渡して好感度を上げてイベントを回収するというこのシステムは……そう、まるでギャルゲーです!

 

タイムアタックを楽しむスタイリッシュでストイックなアクションパートと、ギャルゲーを思わせるシステムのアドベンチャーパートの両方が一気に体験できるゲームというのは、広いゲーム界の中でもなかなか類を見ないのではないでしょうか。とにもかくにも、このプレゼントシステムによって本作は、プレイヤーにさらなるプレイモチベーションを与えることに成功していると筆者は感じました。



爽快感と疾走感あふれるパルクールアクション、繰り返しプレイが苦にならない練り込まれたタイムアタックシステム、そして個性が爆発しているキャラクターたちが織りなすユニークなストーリーと、数々の魅力がギュッと詰まった「Neon White」。アクションゲームが好きな人にはもちろん、普段あまりアクションゲームで遊ばないような方にもぜひ触れてみてほしい、中毒性バツグンのタイトルです。


2.海底探索すごろく、お絵描き人狼、だまし合い推理ゲームなどなど、6つのボードゲームがオンラインで楽しめる「レッツプレイ!オインクゲームズ」

  • 「レッツプレイ!オインクゲームズ」(Oink Games Inc.)
  • ジャンル:ボードゲーム
  • 発売日:2022年7月7日
  • 価格:2,500円
  • コピーライト:(C) 2022 Oink Games Inc.
  • https://store.steampowered.com/app/1933490/_/

突然ですが、ボードゲームはお好きでしょうか? 集まってワイワイ楽しむのがボードゲームの醍醐味ですが、このご時世、なかなかひとつの場所に集まってみんなで遊ぶというのも難しいものです。そんな今のご時世だからこそ遊びたいオススメのタイトルが、「レッツプレイ!オインクゲームズ」です。



本作は、実際に存在するさまざまなアナログボードゲームをひとつのソフトで楽しむことができる、デジタルボードゲームタイトルです。収録されているゲームは本記事執筆時点で6本。公式サイトには「収録タイトルは今後も追加予定」と説明されているため、アップデートなどでさらに多くのボードゲームが遊べるようになることが期待できます。というのも本作は、Steam版に先駆けて昨年12月にNintendo Switch版がリリースされており、リリース時は4本のボードゲームのみが収録されていたのですが、その後、無料アップデートによって新たに2本のゲームが追加され、合計6本が遊べるようになったという経緯を持っているのです。



タイトルになっている「オインクゲームズ」とは、本作を手がけるゲームメーカーの名称。スタイリッシュでキュートなアートワークと、手のひらに乗ってしまうトランプサイズ程度の小箱に必要なコンポーネントがすべて収まっているという革新的なデザインが、オインクゲームズのアナログゲームの大きな特徴です。ボドゲ好きの方なら、ゲームショップでひときわ目を引くオインクゲームズの小箱を見かけたことがあるのではないでしょうか。

そんな本作で遊ぶことができるのは、以下の6本です。


・海底探検」「エセ芸術家ニューヨークへ行く
・スタータップス
・月面探検
・この顔どの顔?
・藪の中

対戦ゲーム、協力ゲーム、お絵描きゲーム、推理ゲームなど、プレイ感のまったく異なるバラエティ豊かなラインアップとなっています。ちなみにゲーム選択画面では、実際のアナログ版を模した小箱が並んでいるのですが、それぞれ箱の裏面も鑑賞することができるというこだわりよう。ボドゲ好きの方なら裏面を眺めているだけでもワクワクしてくること間違いなしです。



6本のボードゲームを好きなだけ遊べるというだけでも魅力的な本作ですが、最大の魅力はやはりなんと言っても「オンラインプレイ」に対応しているという点でしょう。

 

ボードゲームの醍醐味はみんなでワイワイ遊ぶことではあるものの、一緒に遊ぶプレイヤーを集めるというのがハードルになりがち。特にこのご時世では、ひとつの場所に複数人で集まって遊ぶというのはなかなか難しいものですが、そんなハードルをクリアするのが、ずばりオンラインプレイなのです。

 

本作は2人から8人までのオンラインプレイに対応しており、離れた友だちとはもちろん、世界中の見知らぬ人とリアルタイムで一緒に遊ぶことができるのです。さらに、CPUを混ぜて遊ぶことも可能だったり、Switch版とのクロスプラットフォームプレイにも対応していたりという充実っぷり。スタンプを使って簡単なコミュニケーションがとれるのもうれしいポイントです。

ちなみに、オンラインプレイだけではなく、もちろんオフラインプレイにも対応しています。6本中4本のゲームに関しては、ひとりでもCPUと一緒に対戦や協力プレイを楽しむことができます。



人数集め以外でのボードゲームのもうひとつのハードルと言えば、ルールの把握です。特に本作に収録されているゲームはすべて完全オリジナルの作品なので、遊ぶ前にはルールの確認が必須となります。とは言え、文字だらけの説明書をしっかりと読み込むというのは、なかなか難解で骨が折れる作業。しかし本作は、短い動画でゲームの概要を知ることができる「イントロダクション」、4ページのイラストとテキストでざっくりと遊び方を把握できる「かんたん説明」といった機能が実装されており、さらに詳細なルールについてはイラスト付きでわかりやすく確認できる仕組みになっています。

 

しかも、すべてゲーム中いつでも確認が可能。これらのシステムによってルールの把握に対する敷居はかなり下げられており、総じて誰にとっても遊びやすい作品になっていると筆者は感じました。



ではここからは、本作に収録されているボードゲームの中から、筆者的「推しゲー」をいくつかご紹介していきたいと思います。

・海底探検



まずは「海底探検」です。これは、なんと全世界で20万部を突破している人気作。潜水艦の乗組員となったプレイヤーたちが、サイコロを振って海底へと進んで宝を拾って引き返し、潜水艦へまた帰ってくるという、すごろくタイプのゲームです。

 

奥に進めば進むほど高得点の宝を獲得できる可能性が高くなるのですが、宝を拾うとその数の分だけサイコロの目が引かれてしまい、さらに全員共有の「空気」がどんどん減っていってしまいます。空気がゼロになるまでに潜水艦に戻れなかったら得点がゼロになってしまうため、ほかのプレイヤーの動向を見つつ、引き返すタイミングを見極めなければなりません。

 

誰でも遊べるシンプルなすごろくゲームでありながら、宝と空気のシステムがからむことで、チキンレースのようなハラハラ感を楽しめるこの「海底探検」は、とりあえず迷ったらこれを遊んでおけば間違いないという「レッツプレイ!オインクゲームズ」における鉄板のゲームと言えます。

 

・エセ芸術家ニューヨークへ行く




続いてご紹介したいのは「エセ芸術家ニューヨークへ行く」。一風変わったタイトルのこちらは、ひとことで言うならば、お絵描き人狼ゲーム。

プレイヤーは提示されたお題に沿ってみんなでひと筆ずつ線を描いていくのですが、プレイヤーの中にはひとりだけお題を知らずになんとな~く適当に描いている「エセ芸術家」がまぎれこんでいます。全員が2回ずつ描いたあとに「誰がエセ芸術家だと思うか」の投票をして、エセ芸術家に一番票が集まったらエセ芸術家の負け、エセ芸術家が最多得票でなければエセ芸術家の勝ちとなります。

 

つまり「お題を知らずに絵を描いているうそつき=人狼を探すゲーム」ということで、別名・お絵描き人狼というわけですが、実はもうひとつ大きなルールがあります。それは、「エセ芸術家が一番票を集めても、何を描いているか(お題)を当てられればエセ芸術家が逆転勝利になる」というもの。

 

このルールによってプレイヤーたちには、「エセ芸術家にお題を悟られないように描かなければならない」けど、「自分がお題をしっていることをアピールしたい」というジレンマが発生します。この悩ましさこそ本作最大の魅力。また、会話で嘘をついて議論をする必要がないため、一般的な人狼ゲームよりもカジュアルに遊べる点もうれしいポイントです。パーティーゲーム感覚でサクッと楽しめるオススメのゲームとなっています。

・藪の中




そしてもうひとつご紹介したいのが「藪の中」。これは芥川龍之介による同名の小説をモチーフにした推理&だまし合いゲームです。

 

プレイヤーは探偵となって、事件の容疑者である、場に置かれた3人の人型のタイルのうちの2人の情報を見て、殺人事件の犯人を推理します。人型のタイルには2から8までの数字が書かれており、3人の中で1番大きい数字が犯人となるのですが、もしも3人の中に「5」があると条件が逆転し、1番小さい数字が犯人となります。つまり「3人の中に「5」があるかないか」が推理のポイントとなるわけですが、気をつけなければならないのは、ほかの探偵が「誰かを間違わせるためのウソの推理」をわざとているかもしれないということ。プレイヤーは、順番に犯人だと思うタイルにチップを置いていくのですが、最後に間違った推理をした人はペナルティを受けてしまうのです。

 

「1番大きな(または小さな)数を当てる」というシンプルなルールでありながら、推理とだまし合いが同時に楽しめるこの「藪の中」は、何度も繰り返し遊びたくなる中毒性バツグンのゲームです。

 

バラエティ豊かなボードゲームの数々を、オフラインでもオンラインでも、気軽に思う存分楽しめる「レッツプレイ!オインクゲームズ」。アナログボードゲームファンの方はもちろん、普段あまりゲームで遊ばないような人でも楽しめる作品なので、気になる方はぜひ、チェックしてみてください。

 



3.伝説の“奇ゲー”が令和に復活! 精神世界からの脱出を目指す摩訶不思議なアドベンチャーゲーム「GARAGE ガラージュ」

  • 「GARAGE ガラージュ」(作場金属製作所 Sakuba Metal Works)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 発売日:2022年7月8日
  • 価格:2,400円
  • コピーライト:(C) 2022 Sakuba Metal Works
  • https://store.steampowered.com/app/1946430/GARAGE/

 

日本には「三大奇書」と呼ばれる小説があります。夢野久作の「ドグラ・マグラ」、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」、そして中井英夫の「虚無への供物」という、奇抜で幻惑的な魅力にあふれる3作品を指す言葉なのですが、いっぽう、ゲーム界にも「三大奇ゲー」と呼ばれる作品があるのです。それは、1997年発売の「クーロンズ・ゲート」、1998年発売の「BAROQUE」、そしてこれからご紹介する「GARAGE ガラージュ」です。



「GARAGE ガラージュ」は、3大奇ゲーの一角としてゲーム界にその名をとどろかす、「ガラージュ - Garage: Bad Dream Adventure」のリマスター版としてSteamで発売されたタイトルです。

 

オリジナル版は1999年にWindows向けにリリースされた作品なのですが、なんと諸般の事情で市場にわずか3500本しか出回っておらず、その希少さゆえに中古市場ではかなり価格が高騰しているという作品。筆者、実際に某ショップの通販サイトで調べてみたところ、なんと最高30万円というすさまじいプレミア価格がつけられていました。さすがは幻のゲーム……! そんな「ガラージュ」がこの令和の時代にSteam向け完全版として復活するということで、主にゲームマニアの方々の間で、発売前から大きな話題を呼んでいました。ちなみに本作は、スマートフォンアプリ版も発売されています。



「ガラージュ」について、その名前と奇ゲーであるというウワサはしりつつも、それ以上の情報は何もしらず、もちろんオリジナル版未プレイの筆者なのですが、今回はそんな「ガラージュ初心者」である筆者の初見プレイでのインプレッションとレビューをお伝えしていこうと思います。というわけで、まずは本作のストーリーからご紹介していきましょう。

 

本作の主人公は、被験者の深層意識に働きかけ奇怪な暗闇の世界を作り出すと言われる奇妙な精神治療装置「ガラージュ」にかけられた、とある人物。


自分の精神に入り込むことで精神を治療するというこの奇妙な装置「ガラージュ」にかけられたことで、主人公は、崩れそうな木造建築物とさびた金属、そしてあらゆる場所が汚水で満たされた閉ざされた空間に放り込まれてしまいます。さらに、自分自の体も機械とも生物ともつかない「生体機械」に変わり果てていることを発見する主人公。はたして主人公は、この奇妙で複雑な世界から脱出できるのでしょうか……。



自分自身の精神に入り込んで生体機械となる、というあらすじだけでも「奇」な雰囲気ですが、やはりひときわ目を引くのはそのビジュアル。どこかレトロでサイバーパンク的でありながら、美しくも退廃的な独特のグラフィックは、ひと目見れば「ああ、これは間違いなく奇ゲーだ」と納得できるほどのインパクト。長時間プレイしていると夢に出てきそうな強烈さですが、そもそも本作は精神世界を舞台にしている「Bad Dream Adventure」ですから、プレイヤーの夢に出てくるぐらいが当たり前なのかもしれません。



本作は、謎解きを主体としたポイント&クリック形式のアドベンチャー作品です。画面に表示されるカーソルをクリックして移動し、画面上の気になる個所をクリックして調べ、謎を解きながら物語を進めていくという、アドベンチャーゲームとしては比較的オーソドックスなスタイルとなっています。ちなみに、調べられるポイントは基本的に明るく光っているため、さほど迷うことはありません。

そんな本作の目的は、ずばりこの世界から脱出すること。目覚めた際に発見した置き手紙に、脱出するためには自分のカゲを探し出すこと、プシケという存在に頼めば、カゲが見つかるかもしれないと記されており、これらのヒントをもとに世界を探索していきます。

この「カゲ」や「プシケ」といった言葉もそうですが、この世界には聞き慣れない独自の用語があふれています。蟹や蛙といった「水棲機械」、蟹を捕まえるための「ビンドウ」、尽きるとゲームオーバーになってしまうHP的なステータス「順応度」と「白瓦斯」など、日本語ではありながらもどこか奇妙な響きの言葉たちは、最初はとまどってしまいます。ただ「ガラージュ」の世界で探索を続けているうちに、どんどん日常生活で使う言葉として慣れていくという、まるで見知らぬ土地で旅をするような不思議な感覚が味わえます。



ビジュアルや世界観、言葉などだけではなく、本作はシステムまわりもかなり独特。そのひとつとしてあげられるのが移動手段です。行きたい方向のカーソルをクリックして移動するというのは先述のとおりなのですが、その移動手段はなんと台車。機械でも生物でもない「生体機械」の主人公は、足の代わりの台車で、世界に張り巡らされたレールの上を移動するのです。レールが敷かれたこの世界には、さながら山手線の内回りと外回りのような「内周」と「外周」の2つの路線があり、少々複雑な構造となっています。この慣れるまで時間のかかる複雑な作りも、本作を「奇ゲー」たらしめる要因かもしれません。



さらにもうひとつ、本作の重要な要素が「順応度」と「白瓦斯(白ガス)」です。

順応度とは「自分がどれだけ自分らしいか」ということを表すステータス。
順応度が減るとしゃべることができなくなるオトヌケという状態になり、さらに減ると腕がいうことをきかなくなるウデヌケという状態になってしまいます。ウデヌケ状態では、なんとセーブができないため、順応堂という施設で「木馬」や「順応器」を使って回復をしなければなりません。

もうひとつのステータスである「白瓦斯」は、機械の体を動かすために必要な燃料のようなもの。
尽きてしまうと身動きがとれなくなるので、そうなる前に給油をしなければなりません。実はこの白瓦斯、主人公たち雄機械は精製できず、雌機械は蟹や蛙を食べて精製することができるという仕組み。そのため、燃料が不足してきたら白瓦斯屋に行き、そこに並ぶ雌機械から給油をしてもらう必要があります。
言いかえれば「主人公には2種類のHPがあり、どちらかが尽きるとゲームオーバーになるため、お店で回復をする必要がある」という単純なシステム。そこに濃厚に作り上げられた世界観と設定が絡んでくることで、本作が一度プレイしたら忘れられない唯一無二の「奇ゲー」になっているのです。

ちなみに主人公は、順応度と燃料の最大値を上昇させたり、燃費を向上させるために、タンクを取り付けたり台車を改造したりといった「身体改造」を行うこともできます。これもまた、主人公の体が機械であるという独特の設定だからこそ実現した、奇妙でとがったパワーアップシステムであると言えるでしょう。



順応堂も白瓦斯屋も、使用するためにはこの世界のお金である「スタンプ」が必要となります。ではどうやってスタンプを稼ぐのかというと、それはずばり釣り。実は本作、謎解きアドベンチャーでありながら、釣りゲーであると言っても過言ではないぐらい、釣りが重要な要素となっています。

そんな釣りのやりかたは比較的簡単。世界の中にいくつかある釣りスポットへとおもむき、釣り針や餌を選んでスタート。魚……ではなく蛙が食いついたら、針がゲージ内の一番上と一番下の赤いエリアに入らないように、リールを上下に動かしてうまく調整していきます。クセの強い「奇ゲー」である本作ですが、この釣りのシステムに関しては非常にわかりやすく、ミニゲームとしてバランスのいい作りとなっています。絶妙な難易度設定と珍しい蛙が釣れたときの喜びによって、ついつい奇妙な世界から脱出するという本来の目的を忘れて、どっぷり釣りにハマってしまうかもしれません。



強烈なインパクトのグラフィック、濃厚に作り上げられた唯一無二の世界観、そしてそんな奇妙な世界観への没入度を加速させる独自システムの数々と、どこをとってもまさに「奇ゲー」であると断言できる、「GARAGE ガラージュ」。しかし、マニアックで奇抜なゲームだからといって決して「遊びづらい」「難易度が高すぎる」ということはなく、基本システムさえ理解できればしっかりと楽しめる、完成度の高いアドベンチャーゲームとなっています。また、「精神世界」という特殊な世界を舞台にしているからこそ、物語のさまざまな考察や解釈が楽しめる点も本作の大きな魅力と言えるでしょう。気になる方はぜひ実際にプレイして、摩訶不思議な精神世界からの脱出を目指してみてください。



オススメSteamタイトル、気になるものはあった?


というわけで、6月から7月発売のSteamの新作タイトルの中からオススメの3作をご紹介しました。


クールでスタイリッシュな3Dアクションゲーム、オンラインでワイワイ楽しめるボードゲーム集、そして伝説の奇ゲーと呼ばれるアドベンチャーゲームと、バラエティ豊かな作品をピックアップしてみました。気になるタイトルがあった方は、ぜひ夏休みにおうちでのんびりと楽しんでみてくださいね。

筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
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