ホビー

フィギュア2体と宇宙船1機のセットで、税別2,600円！　ハセガワの発売する「ダーティペア」のプラモデル、開発の裏側【ホビー業界インサイド第82回】

2022年07月23日 12:000

プラモデル

インタビュー

ホビー業界インサイド

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原型がデジタルデータであっても、いったん立体に起こしてから型をとる

── パーツ数は抑えめということですが、ケイもユリも髪が別パーツですよね。ある程度、塗装しやすくパーツ分割したのではありませんか？

国分　ユリは前髪と後ろ髪が別パーツになっており、ケイのほうも髪が別パーツですが後頭部にも髪の毛がモールドされています。ですから、塗り分けのためというよりは形状をしっかり出しながら金型からきれいに抜けることを優先してパーツ分割を考えました。

── 小さなイヤリングまで別パーツになっていますね。

国分　イヤリングを別パーツにしたのは塗装しやすさという意味もありますが、耳にモールドすると大きくなってしまって、イヤリングの形がシャープに出せないからです。

── フィギュアをインジェクションキットにする手順は、どうやっているのですか？

国分　原型から直接、金属で型を取っています。精密鋳造と言います。

澤田　昔から、プラモデル業界で使われてきた方法ですね。

国分　今回の「ダーティペア」のケイとユリは、太郎もちこみさんが手で原型を作っています。その手づくりのよさを生かすには、精密鋳造が向いています。

澤田　手原型にこだわっているわけではなく、お願いする原型師さんによって造形手法は異なります。「12リアルフィギュアコレクション」シリーズの辻村聡志さんは手原型ですし、「12たまごガールズコレクション」シリーズの原型を手がけているつるぎだんさんは、デジタル造形です。

国分　弊社では、デジタル原型によるフィギュアのプラモデルは、現時点ではまだありません。たとえばレジンキットの場合、デジタルによる原型でも必ず立体に出力して納品していただきます。デジタルから直接型を起こすことはなくて、レジンに置き換えています。メカニックのプラモデルは3D-CADで設計して、そのまま金型を作っています。

── それで、今回の「ラブリーエンゼル」はスナップフィットで接着剤を使わず組み立てられるんですね。やはり、色分けとスナップはユーザーに求められる仕様かと思うのですが……。

澤田　スナップフィットは接着剤を使わずに組めますので、より多くのユーザーにアピールするためにスナップを目指したい、というのが社内での考え方です。ただ、新金型でキットを開発する際に「スナップフィットにしたい」と話をすると、設計者から「それではディテール再現ができない」と言われる場合があります。そう言われたとき、どう判断するかが課題ですね。弊社なりの強みを生かしながら、どこまで組み立てやすくするか……という部分で、いつもせめぎ合っています。