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玩具・プラモデル・食玩を、それぞれ違うメーカーが担当した場合、何が起こるのか?
── 「太陽の牙ダグラム」のプラモデルといえば、放送当初はタカラ(現タカラトミー)と日東科学の2社が発売していましたよね。 内田 そうです。1/48スケール、1/72スケール、それから低価格のビギナーズコレクションがタカラさんでした。さらに小型のキットが、今回の日東科学さんのシリーズ。全部で、4ラインが展開していました。大まかに言うと、サンライズさんのロボット物という括りがあります。「機動戦士ガンダム」を例にすると、第1作目は他社が玩具や食玩を発売していましたが、現在ではバンダイさんが玩具とプラモデルの両方を手がけています。ほかに食玩にいたるまで、バンダイさんが1社で商品化していますよね。
── 食玩というと、簡単な組み立てキットに、ちょっとだけお菓子が入っている商品ですね。今では、バンダイキャンディ事業部が担当しています。 内田 玩具・プラモデル・食玩まで、一括してバンダイさんが商品化しているのが「ガンダム」です。「ガンダム」と比較するとわかりやすいのですが、「ダグラム」の場合は玩具とプラモデルはタカラさん、低価格のプラモデルはタカラさんと日東科学さん、食玩はカバヤ食品さんでした。次番組の「装甲騎兵ボトムズ」(1983年)も食玩はカバヤさんだけど、低価格キットは、ユニオンモデルさんに変わりました。
── タカラがプラモデルを発売していた「機甲界ガリアン」(1984年)も、低価格キットはクラウンモデルから出ていました。 内田 つまり、玩具とプラモデルはタカラさんだったけど、低価格キットは、いろんなメーカーが入れ替わりながら担当していたんです。そこが、タカラさんのサンライズ路線と「ガンダム」との大きな差ではないかという気がします。
── 「鎧伝サムライトルーパー」(1988年)のプラモデルは、最初から童友社さんではありませんか? 内田 玩具はタカラさんで、プラモデルは弊社でした。「獣神ライガー」(1989年)も、同じ座組みです。それ以外で弊社がプラモデル化させてもらったサンライズ作品に、「太陽の勇者ファイバード」(1991年)があります。玩具がタカラさん、食玩がカバヤさん……と、やはり何社かで分担していました。
── しかも「ガリアン」を最後に、タカラはプラモデル事業から抜けてしまいますね。 内田 ええ、それが大きかったと思うんですよね……。人材が散ってしまっただろうし、金型の管理も難しくなっていったんじゃないでしょうか。よく、「タカラさんのプラモデルを童友社で復刻してくれないの?」と言われるのですが、単純に金型が手元にないので無理なんです。日東科学さんの「ダグラム」シリーズは、正式に金型を入手できたので、今回のように問題なく発売できるのですが。
── 最近では、「サムライトルーパー」や「ファイバード」のキットも復刻していますよね。 内田 「サムライトルーパー」は一昨年、30周年記念コレクターズボックスとして発売しました。主人公たち5人のセットです。なぜ5個セットかというと、「サムライトルーパー」のころには私も業界に入っていて、工場で商品を間近に見ていたからです。すると、キャラクター物のプラモデルは、主役から順番に売れていくことがわかります。それで「サムライトルーパー」では、主人公たちだけ復刻したんです。「ダグラム」30周年の実績がありましたし、ボックスで売るのが最適だと判断しました。
── でも、古いプラモデルのマニアたちは、全種手に入れたいのではないでしょうか? 内田 そうかもしれませんが、復刻ブームにも賞味期限のようなものがあると感じています。「今度、○○が復刻されるぞ」とファンが盛り上がっても、主役、準主役、ライバルぐらいまで復刻されると、だいたいブームの終わりが見えてしまうんです。主役を3個、準主役を2個買ったから、あとはもう1個ずつでいいや……となってしまい、脇役ばかり大量に残ってしまう。売れ筋の零戦が売れてしまって、それ以外の戦闘機ばかりたくさん残っている売り場には、魅力がない。キャラクター物も同じことで、「脇役が余ってしまったので店頭に置いてくれ」とは言いづらいです。売り上げに凸凹ができてしまうとわかってはいるのですが、主役だけ大量に生産しても、トータルの売り上げ高が少なくなってしまう。そこが悩みどころです。