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歩く速さでゆっくり恋をしよう、が歌詞のテーマです
── 作詞はatsukoさんです。歌詞を書くうえで意識したことはなんですか? atsuko ありがたいことにまた全話分のシナリオを読ませていただいて、第2期で起こることをすべて知ってから歌詞を書くことができました。印象に残ったのはやっぱりカタリナのモテぶりで、新キャラも含めて、男性女性問わず、みんながカタリナを好きになるんです。その中には抜け駆けしたり、恋に先走るキャラもいて。彼らの姿を見ていたときに出てきたのが、そう急がずに歩くくらいの速さで、ゆっくり恋をしていこうよというテーマでした。「アンダンテ」というのは、音楽用語で「歩くような速さで」という意味なんです。
── それで「アンダンテに恋をして!」なんですね。 atsuko 曲のテンポ的には全然アンダンテではないんですけどね(笑)。サビの最後のメロディに「アンダンテ」という言葉がぴたりとハマッて、いけると思いました。そこから、いろいろな人に好かれつつカタリナが成長していく姿を書いていくとともに、深刻なシーンでも眠たくなってしまったり、お腹がすいて鳴ってしまったりと、とぼけた一面もあるので、かわいらしい言葉も入れていきました。
── 歌詞の一部にはフランス語が使われてます。 atsuko 私たち日本人が思い描く貴族のいる場所って、どうしてもベルサイユ宮殿になっちゃうじゃないですか(笑)。「はめふら」の世界にはフランスはまったく関わりがないんですけど、「セシボン」とか「モナムール」といったわかりやすいフランス語を歌詞に散りばめることで、宮廷感を出そうと思いました。これもKATSUさんのアイデアなんです。
KATSU atsukoとコーラス隊のかけ合いの部分は曲の重要なフックとなるところなので、どんな歌詞が当てはめられるのか気になって。日本語でも英語でもなく、フランス語にしたら、「はめふら」に合うんじゃないかと提案したんです。でも、angelaがオープニングテーマにフランス語を使ったことによって、「はめふら」の世界でも実はフランス語が使われていると視聴者に誤解させてしまう可能性があるなと思い、アニメの製作委員会に確認を取って。「自由に書いてください」という返事をいただけて、採用になりました。
atsuko フランス語がきれいにメロディにハマって、しかもコーラス隊のみなさんが重厚に歌ってくださったことによって、効果が増したと思います。
── あえて英語が使われている部分もあるんですよね。 KATSU フランス語に統一してしまうと、今言ったような誤解を助長してしまうなと思って、あえてファジーに言葉を選んでもらいました。
── どの言語も自由に使えるのは、異世界ファンタジーの主題歌ならではの利点かもしれませんね。ボーカル録りに関してはいかがでしたか? atsuko この曲は、難しかったです。たとえば、歌い出しは上から下にストンと落ちるメロディだったり、サビはゆったり歌えると思ったら、また後半に忙しくなったり、キーの高さも上はけっこうギリギリで、かなり練習しなければいけないなと思いました。それに、私の声ってどうしてもシリアス感が出て、どちらかというとバトル系のアニメに合う声なんです。こういうメジャー調の跳ねたメロディに乗せるには、いつもとは違った歌い方をしないといけなくて、そこも難しいところでした。ライブで歌うためには、まだまだがんばらないといけません。
KATSU 16年前の「Shangri-La」のときからatsukoは同じようなことを言ってますが、いつもしっかり歌ってくれるので大丈夫だと思います(笑)。
── 「アンダンテに恋して!」のボーカルも、とても華やかでした。そして、この曲の大きな仕掛けとして、途中からベートーベンの「歓喜の歌」(交響曲第9番)が入ってくるんですよね。 KATSU オンエアの90秒サイズだとアウトロにちょっと入るだけなんですけど、フルサイズを聴くとはっきりとわかります。これは「乙女のルートはひとつじゃない!」でベートーベンの「運命」を使ったことからの流れですね。第2期感を出すために、またベートーベンを使おうと。
── 演奏している楽器や軽快なテンポ感によって、庶民のお祭り感がある「歓喜の歌」になっていたのが、面白かったです。 KATSU 一般的にもそうですけど、アニメの世界では特に「エヴァンゲリオン」で使われていたりして、よく知られている曲ですよね。なので、こういう感じに使ってみたというオリジナリティを出そうと思ったんです。
atsuko 神々しいのではなく、お祭り感のある「歓喜の歌」(笑)。
KATSU 楽しい楽しい「歓喜の歌」ですね。
── ミュージックビデオ(MV)も楽しい感じになっていました。 atsuko マネキンの男女と私たちのラブストーリーが進んでいくという構成になっています。マネキンの登場は、監督の強い要望があってのことでした(笑)。
── お屋敷の庭でパーティーをしていたりして、豪華な映像でした。 KATSU ホテルのような施設に見えますが、専門の撮影スタジオなんですよね。スタジオとしてあれだけの規模の施設を運営できるのがすごいなと。ベランダに出ると河口湖が目の前に広がっていて、貴族のような気分が味わえました(笑)。
atsuko 今回のMVは演奏シーンがほとんどなくて、KATSUさんがダンスをしているのもポイントです。本人は大変だったと思いますが、見ていてとても新鮮でした(笑)。
KATSU 振り付けの先生が撮影現場まで来て、ダンスをチェックしてくださいました。
atsuko 面白かったのが、KATSUさんは映像を見て振り付けを覚えるのではなく、紙に人型の絵を描いて、「手をたたく」とか「腕を組んで回る」と文字を書き込んで覚えていくんです。ギターを弾くときの譜面と同じようなもの、ということみたいなんですけど(笑)。
KATSU 逆に、なんでみんなメモを書かずに踊れるんだと(笑)。
── MVでお2人が着ている衣装は、ジャケットと同じものですね。 atsuko スタイリストさんがリメイクをしてくださった衣装です。色味やデザインはどちらかというと渋めなのに、シックなかわいらしさがあるんです。スタッフさんが「立っても座っても、どの角度から見てもかわいい」と絶賛してくれました。
── ヨーロッパ風というより、オリエンタルなテイストが入っていると思いました。 atsuko そうなんですよね。詳しくはわからないんですけど、イメージ的にはアジアの感じが入っていて、多国籍感がある衣装です。今回は楽曲も衣装も地域を限定するのではなく、全体から異国の雰囲気を醸し出していくという手法が成功したなと思います。