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お団子頭にチャイナドレスは嫌だ! と叫ぶ人が増加中
近年の中国では、具体的な基準や根拠の有無などはさておき、中国国外の作品に出てくる中華要素や中華系のキャラクターに対して「正しくない」「なぜ自分たちの思うような、正しい中国人キャラが描かれないのか」といった不満が頻繁に出るようになっています。
そしてそれは日本のコンテンツに出てくる中華要素、中華系キャラに関しても同じで、近年は中国のオタク界隈のどこでも日本の作品に出てくる中華系キャラに関して
「自分たちの認識と違う、正しくない描写だ」「いつもテンプレ要素ばかりで構成されている」
などといった批判が目立つようになってきています。
そして特に問題視されているのが
「お団子頭に旗袍(チャイナドレス)の中華系女性キャラクター」
だそうで、今年の元旦にFGOで新規実装されたサーヴァントの「楊貴妃」に関しても、キャラクターのデザインが「またお団子頭でチャイナドレスだ!」と批判が殺到することになってしまいました。
この件はさすがに、2017年に発生した、日本のクリエイターに対する突撃まで発生するなど中国オタク史上屈指の大荒れとなってしまったFGOの「始皇帝」に関する炎上ほどではなかったものの、しばらくの間、中国のオタク界隈ではかなりの愚痴が飛び交うことになってしまったそうです。
しかし実際のところFGOの楊貴妃のデザインに関しては、ゲーム内での詳しい描写がまだないのでハッキリしたことはわからないものの、チャイナドレスばかりではなく一説では楊貴妃が起源ともされる前掛け的な下着「肚兜」のデザインも反感を買っているのではないかという見方も出ています。
ですが、中国のほうでは、新キャラのイラストの情報が入った最初の段階で
「日本人がまたチャイナドレスにした」
などと断定されてしまい、別の見方に関する意見は押し流されてしまったようなところもあるとのことです。
この件に関して中国のオタクな方から教えていただいた話によると、現在の中国のオタク界隈では
「日本人の描く中国人キャラはお団子頭でチャイナドレスばかり」
というネタがあまりにも有名になってしまったので、何かと叩かれる扱いになっているそうで、そういったデザインのキャラに関して客観的に見たり、好みを語ったりするのが少々難しい空気にもなっているのだとか。
ちなみに中国ではワンセットで語られていることが多い「日本産のお団子頭とチャイナドレス」のキャラクターですが、実は切り分けて見ると、
「お団子頭が特に不人気なのでは……」
といった見方もあるそうです。
チャイナドレス系の服装のキャラクター自体は中国国産の作品においても頻繁に出てきますし、ゲームのキャラのスキンとしても人気が高く、さまざまな作品で量産されています。
しかしお団子頭に関しては、現在の中国ではほとんど意識されるような機会がないことから(辮髪などであればまだドラマでも見かけるそうですが)、現代の中国人にとってなじみがない、感情移入されるようなものではなくなっているのかもしれません。
ただどちらにしろ、現在の中国では日本のコンテンツに出てくるお団子頭とチャイナドレス(あるいはチャイナドレス風)のキャラが批判的な目で見られるというのは間違いありません。
またそれに加えて外国人の制作による中華系要素に対する中国国内の目がどんどん厳しくなっている背景もあり、「日本人が描く中華要素、中華系キャラ」が含まれる日本のコンテンツが中国に入った際にはイロイロと難しい扱いをされてしまうのは避けられません。中国市場を意識する際にサービスのつもりで安易に中華要素や中華系キャラを入れることが、結果的に反発を招いてしまうようなリスクも高まっているかと思われます。
このあたりに関しては、昔と比べて日中間のさまざまな距離が縮まり、作品に関するやり取りが活発になったことによって逆に難しくなってきている分野とも言えます。
交流が活発になったことや意見を主張しやすくなったことにより、結果として許容される範囲が狭くなる、合わなかったときの反発が強烈になるなどで昔よりも窮屈になってしまっている……という現在の状況を見ると、何とも言えない複雑な気分になってしまいますね。
(文/百元籠羊)