【インタビュー】デジタルサウンドを積極的に取り入れた2曲。SawanoHiroyuki[nZk]の未来を示すニューシングル「Tranquility/Trollz」

今の自分がやりたい音楽を突き詰めたのが、「Trollz」です

── もう1曲のタイトル曲が「Trollz」。ボーカリストにLacoさんを迎えての曲です。

澤野　Lacoさんは[nZk]では初めてなんですけど、「進撃の巨人」や映画の「プロメア」のサウンドトラックに参加していただいている方です。彼女もずっと[nZk]で歌っていただきたいなと思っていた方で、「Trollz」でそれが実現しました。

── 「Trollz」はノンタイアップ曲ですが、どういうコンセプトで作っていったのでしょう？

澤野　今の[nZk]でやりたいサウンドというか、これからの自分が軸としていきたいサウンドを示す曲にできたらいいなと。「Tranquility」も、縛りを感じていたわけではないんですけど、「銀英伝」という作品をテーマにして作った曲なので、「Trollz」では本当にやりたいサウンドを突き詰めてみようと思いました。

── 「Trollz」でやりたかったことというのは、どういうことですか？

澤野　やっぱり昨今の海外の音楽を聴いてかっこいいなと思ったサウンドを、自分なりに昇華してみたいなと。

── 澤野さんが最近お気に入りの海外アーティストは誰ですか？

澤野　ワンリパブリック（OneRepublic）とか、イマジン・ドラゴンズ（Imagine Dragons）とかフォール・アウト・ボーイ（FALL OUT BOY）とか、バンドにデジタルの要素をうまく取り入れている人たちが好きですね。ここ数年は、EDMの要素を取り入れたロックバンドが多くなってきたなと思います。「Trollz」も、ギターと歌以外は全部デジタルなんですよね。

── かなりデジタル寄りのロックになっているということですね。

澤野　CDではそういうサウンドで聴いていただいて、ライブで生のドラムやベースに変わったときに違う聞こえ方になって面白がっていただければいいなと思います。

── 「Trollz」の作詞も、Benjaminさんとmpiさんですね。歌詞は、どのようなテーマになっているのでしょうか？

澤野　今年3月にリリースした3rdアルバム「R∃/MEMBER」は、日本語詞の曲が多かったので歌詞も自分で書くことが多かったんです。そこでテーマになったのが、今までの音楽活動で感じたことや、今の世の中に対して疑問に思っていることなどでした。「Trollz」はその延長線上で歌詞を書いていただいたらどうかなと思って、お2人にお願いしました。

── 社会的なメッセージを含んだ歌詞になっているということですか？

澤野　僕自身は特にメッセージを伝えたいという思いはありませんが、歌詞では「怒り」を表現してほしいとお願いしたので、そういう要素が少しは入っているんじゃないかと思います。でも基本的には、サウンドに乗ったときに心地よさを感じてもらえるような歌詞になりました。

── 「Trollz」というのは、どういう意味なのでしょうか？

澤野　もともとは怪物のトロルのことなんですけど、「荒し」とか「ネットアンチ」という意味合いのネットスラングでもあるらしく、その両方に掛けたタイトルになっていると思います。タイトルと歌詞については、リスナーの方に自由に解釈して楽しんでいただきたいですね。


── 3曲目は、GemieさんとTielleさんのボーカルによる「Felidae」です。

澤野　この曲も「Trollz」と同じで、自分が今作りたいサウンド感で自由に作りました。EDM要素を取り入れて、ポップな曲にしたいなと。歌詞についても僕からは何も注文せず、Benjaminさんとmpiさんにサウンドからイメージしたものを自由に書いていただきました。

── ボーカルをGemieさんとTielleさんにした理由はなんだったのですか？

澤野　ここ最近、GemieさんとTielleさんには海外のイベントで[nZk]の曲を歌っていただくことが多かったんですけど、合わせて僕のサウンドトラックの曲もお2人にお任せしていたんです。それを聴いて、改めてこのコンビはかっこいいなと思って、新曲でもフィーチャーしたいと思いました。

── この曲は、リズムが変わった感じになっている印象がありました。

澤野　自分としては自然に作ったリズムだったんですけど、変わっているとよく言われます。楽器的にもスネアドラムの音に、パーカッションにリバーブをかけた音を重ねたりして、楽しみながら突き詰めていった感がありました。それが不思議な印象になったのかもしれないですね。