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「SINGULARITY」の歌詞は、今の私の心にすごく刺さりました
── では、アルバムの新曲について詳しくお聞かせください。まずは2曲目「SINGULARITY」。 藍井 復帰第1弾シングルで、アルバムの1曲目にも収録されている「約束」と同じ、重永亮介さんの作詞・作曲です。何年も前からデモのまま大事に取っておいた曲で、タイミングのいいときにいつか絶対歌いたいなと思っていました。それがようやく歌えることになってうれしかったです。重永さんがアルバムのテーマに合わせて、新たに手を加えてくださった歌詞がすごく心に刺さって。重永さんは普段から明るい方なんですけど、この歌詞はリアルな心の痛みが表現されていたんです。
── 共感できる部分がたくさんあったということですか? 藍井 はい。それこそ活動休止中に考えていたことで、強くなきゃいけないと思っていた過去の私は、自分はこうでなきゃいけないという「自分ルール」があまりにも多すぎたんです。誰かに寄り添ったり、時には弱音を吐いたりすることができなかった自分のことが、「SINGULARITY」には書かれているように感じました。これは誰もが持っているプライドに関係することで、私と同じように心に刺さる人はたくさんいるんじゃないかなと思ったからこそ、この曲を歌いたいと思いました。
── 重永さんは、エイルさんのよき理解者という感じですね。 藍井 「SINGULARITY」は「特異点」という意味なんですけど、重永さんは、自分にとっての特異点はエイルと出会ったことと言ってくれて。初期からずっとお世話になっている方なので、私の気持ちをすごく汲み取ってくださったんだと思います。
── 次の新曲は4曲目の「UNLIMITED」。VRゲーム「東京クロノス」のオープニングテーマです。 藍井 「東京クロノス」はミステリーゲームで、私もプレイしてみたんですけど、キャラクターがすごくかわいいのに、内容はダークで(笑)。そういうゲームは大好きなので、いい作品と出会えたなと思いました。作詞・作曲は篤志さん(歌詞はminami rumiとの共作)で、もともとデモとしてあったものをゲームの世界に合わせて書き直してくださったんですけど、私からは出てこないような難しい言い回しがたくさん使われていて新鮮でした。篤志さんはエイルバンドのメンバーで、ライブを一緒に回ってくださっている方で、私の中ではパリピのイメージがあって。パリピの人がこんな歌詞を書くんだ! と衝撃を受けました(笑)。
── 難しい言い回しを多用することで、ゲームという虚構の世界を巧みに表現した歌詞ですね。 藍井 非現実的な世界観を表現したAメロBメロから、サビに入ると感情が急に浮き彫りになってエモーショナルになっていく緩急がすばらしいなと思いました。トラック数が多い曲でもあるので、厚みのあるしっかりしたボーカルを心がけました。
── この曲はMusic Video(MV)が制作されています。 藍井 リリックビデオとMVの中間みたいな映像になっています。ちょっと壊れちゃっているような世界観が個人的に大好きで、いい映像を作っていただいたなと思います。
── エイルさんは部屋の中で歌っている映像がメインになっています。 藍井 最初にちょっと外を歩くシーンが出てきますけど、ほぼ部屋の中で撮影しました。部屋が真っ白で私の衣装が黒なので、コントラストが際立っていて、モノトーンの映像にしていただいて正解だったと思います。初回生産限定盤Bのジャケットと同じ場所で、衣装も同じですね。
── 次は5曲目の「グローアップ」。これも篤志さんの作曲で、作詞はエイルさん本人です。 藍井 最初に曲を聴いたとき、これに合う歌詞って攻撃的なものに限定されるんじゃないかと思ったんですけど、ハッピーエンドにしたいという気持ちもあって、子どもから大人に成長していく過程で多くの人が通ったであろう反抗期をテーマにしようと思いました。それで、周りから聞いたことや自分の若かった頃の反抗の仕方をつなぎ合わせて、「ありがとう」と素直に言える大人に成長していく姿を書いていきました。
── 選ばれている言葉が若々しいというか、幼さがあって、10代を主人公に設定しているのかなと思いました。 藍井 そうですね。10代の女の子です。「しばらく家には帰りません」って歌詞が出てきますが、実際に私も、そんなことを親に言って家を出て行ったことがあって、お財布を忘れてすぐに帰ってくるみたいな(笑)。自分にもこんな頃があったなって思いながら聴いていただける曲になったらいいなと思いました。
── 最後は、主人公が大人になって、やっと周囲への感謝の気持ちを口に出せたところで終わります。 藍井 結婚式で、両親へ送る言葉を新婦が読み上げるシーンがあるじゃないですか。あれと似た感じですね。ずっと親に対して素直に言えなかった「ありがとう」という言葉を最終的には言えるようにして、ハッピーに終わらせました。
── この曲は10代を演じるように歌っていて、エイルさんには珍しいタイプのボーカルになっていると思いました。 藍井 声を高くし過ぎて、かわいくならないように注意して歌いました。初めての試みで恥ずかしかったですね。恥ずかしい+恥ずかしい+恥ずかしい、くらい恥ずかしかったです(笑)。「愛してくれてありがとね」という言葉とともに笑い声を入れてみたら曲に合うかもしれないと私から提案してみたり、篤志さんからはセリフ調の歌い方をしてみたら面白いんじゃない? という意見をいただいたりして、レコーディング当日にいろいろ試してみました。
── ライブで披露される瞬間が楽しみです。