【インタビュー】打ち込みと生楽器によるハイブリッドの究極形! MYTH & ROIDがニューシングル「shadowgraph」をリリース

2019年02月27日 19:000

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ミディアムテンポで人の心をつかむ曲を作るのは、得意です。


── カップリングの「Remembrance」は、「劇場版 幼女戦記」の主題歌です。

Tom-H@ck こちらは、上村泰監督から明確なお題を提示されました。MYTH & ROIDの1stアルバム「eYe's」に「雪を聴く夜」という曲があって、それを参考曲にしてほしいと。

── 「雪を聴く夜」を参考に、「劇場版 幼女戦記」のストーリーを意識して、新たな曲を作ったということですか?

Tom-H@ck そうですね。でも、「劇場版 幼女戦記」全体のストーリーというよりは、映画の終わり方を意識しました。ラストシーンを知ったうえで、もっとも効果的に余韻を残せる曲を作ろうと思いました。

KIHOW 嵐が去った後の静けさを感じました。歌詞は、「追悼」とか「記憶」がテーマになっていて、かなり暗い内容なんですけど、私はそういう歌を歌えることが楽しくて(笑)。戦いが終わった後の戦場を覆う空気とか、大切な人を失ったときに感じる悔しさをイメージして歌いました。人をなくしたときは、悲しみと悔しさの両方を感じると思うんですが、この曲の場合、悔しさのほうが大きな気がして、それにぐっと耐えている心を、歌で表現したいなと思いました。

Tom-H@ck 「Remembrance」のボーカルで、ほかの曲と決定的に違うのは、主旋律を歌うボーカルが1本しか入っていないことです。MYTH & ROIDの場合、だいたいの曲はダブリングと言って、同じ旋律を2回歌ってもらって重ねているんです。それを今回は1本にしたことで、KIHOWの声の細かいニュアンスが伝わり、耳にダイレクトに届く歌になりました。

── サウンドは、どのように制作していったんですか?

Tom-H@ck 楽曲制作するときに作ったファイルを「セッションファイル」と言うんですけど、今回は「雪を聴く夜」のそれを引っ張り出して、それをいじるところからやっていきました。だから、ところどころで、「Remembrance」は「雪を聴く夜」と同じ音源を使っていたりするんです。もちろん、同じようには聞こえないように処理しているんですけど。それから、「Remembrance」にも、ギターは入れませんでした。だから、今回の2曲に関しては、僕がいなくてもライブが成立してしまうんです。ギタリストTom-H@ckは、クビですね(笑)。

── クビはあり得ないとして(笑)、ギター抜きの2曲が入ったシングルということでも、MYTH & ROIDの新機軸を打ち出したシングルになったのではないかと思います。

Tom-H@ck そうかもしれないですね。ミディアムテンポで人の心をつかむ楽曲を作るのは、一番難しいことなんですけど、MYTH & ROIDはそこが得意だということを、リスナーに示すシングルになったと思います。自分たちにとっても自信になりましたし、KIHOWのボーカルも含めて、MYTH & ROIDというユニットの熟練度がだいぶ上がってきたというか、完成形に近づいてきたような気がします。

── しかも、静的なイメージの2曲のみというシングルになりました。

Tom-H@ck 「ブギーポップ」と「幼女戦記」という2つの作品とのタイアップが、いいタイミングで重なったおかげですね。その結果、かなり雰囲気のあるシングルになりました。楽曲の雰囲気という面では、エンジニアの藤巻兄将さんの力も大きかったですね。日本のポップスって中間よりも上の音域を重視して作っているんですけど、MYTH & ROIDは逆に中低音や低音を重視しているんです。そうするとどうなるかというと、ボーカルに対して絨毯みたいな音になるんですね。藤巻さんは、海外のレコーディング環境や機材にも詳しいし、中低音や低音をしっかり作れるエンジニアで、それが楽曲に心地よさをもたらして、耳が疲れないサウンド感に仕上がったと思います。

── 最後に、ジャケットのアートワークについて教えてください。MYTH & ROIDのジャケットはいつも先鋭的ですが、今回もインパクトがありました。

Tom-H@ck MVと同じで、「神秘的」と「恐怖」というMYTH & RIODの音の要素を醸し出すことだけをお願いして、デザイナーさんに好きなように作っていただいたんですけど、ジャケットに関しては、打ち合わせのときに僕からキーになる色を提案させていただくことが多いんです。今まで紫とか赤を使ってきたので、今回は黄色でどうだろうかと。そこからデザイナーさんのアイデアでゴールドに変わり、黒と合わせてコントラストを出そうということになりました。

── それで、女性の顔を黒く塗って、その上にゴールドを散りばめたものになったと。

Tom-H@ck 配色以降は、デザイナーさんのインスピレーションです。

KIHOW 私は今回のジャケットが大好きなんですけど、モデルさんには酷なことをやらせてしまったのかなって。申し訳なかったなと思います(笑)。

Tom-H@ck 彼女のおかげもあって、今回も素晴らしいジャケットになりました。



MYTH & ROIDプロフィール


アーティスト・クリエイター・プロデューサーとして活動するTom-H@ckをトータルプロデューサーに、ボーカル・KIHOWをはじめ多数のクリエイターで構成されたコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニット。
2015年8月に1stシングル「L.L.L.」(TVアニメ「オーバーロード」エンディングテーマ)をリリース。2018年2月リリースの6thシングル「HYDRA」から、KIHOWがボーカルを務めている。
世界各国で高い評価を受けており、ドイツ、ブラジル、中国、シンガポールなどの大型フェスにも数多く出演している。


CDデータ

■8thシングル「shadowgraph」

1,200円(税別)

レーベル:KADOKAWA/2019年2月27日発売


〈収録曲〉
01. shadowgraph (TVアニメ「ブギーポップは笑わない」オープニングテーマ)
02. Remembrance (「劇場版 幼女戦記」主題歌)
03. shadowgraph instrumental
04. Remembrance instrumental


(取材・文/鈴木隆詩)

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(C) 2018 上遠野浩平/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

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上映開始日: 2019年2月8日   制作会社: NUT
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(C) カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記製作委員会

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