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唯一無二のアーティストが集結する「犬フェス!」
── 梶浦由記さんも実力と人気を兼ね備えた作曲家で、フライングドッグ作品を多く手がけられています。また、FictionJunctionとしてのボーカル曲のリリースも重ねてきました。 佐々木 梶浦さんとのお付き合いも長くなりましたね。最初が「NOIR(ノワール)」なので、2001年からということになります。ウチの野崎(圭一)ディレクターが梶浦さんともともと知り合いだったというところから始まったんですけど、唯一無二の音楽性を持っていらっしゃる方で、映像制作にとってはありがたい存在ですよね。フィルムに独特の色を付けてくれる音楽家です。
── 聴けばすぐにわかる梶浦さんならではのサウンド感があって、そこが多くのファンに愛されています。 佐々木 菅野さんにも共通することですが、自分のアルバムを作るように劇伴を作ってらっしゃるんですよね。作曲は技術や知識でできることではあるんですけど、彼女の場合は鶴の恩返しのように、自分の羽根をむしりながら作っている感がします。まさにアーティストですね。
── 石川智晶さんも独自の道を歩んでいるアーティストですね。 佐々木 自分のカラーを濃く持っている方で、後進のアニソンアーティストに大きな影響を与えてきたと思います。梶浦さんと一緒にやっていたときもそうでしたけど、ご自分で曲を作って歌うようになってからは、本当に個性的な詞とメロディを作り続けています。「アンインストール」を筆頭に、いい曲が多いですよね。
── そして、唯一無二の存在と言えば、ALI PROJECTです。 佐々木 CLAMPさんがアリプロさんと一緒にやりたいとおっしゃって、そこから繋がったんですよね。1996年の「Wish」がウチから出した最初のシングルだったと思います。
── 「NOIR」のオープニングテーマ「コッペリアの柩」や、「コードギアス 反逆のルルーシュ」のエンディングテーマ「勇侠青春謳」など数々の曲を、ビクター、フライングドッグから発表していったアリプロですが、同時にほかのレーベルからのアニメタイアップ曲やオリジナルアルバムのリリースもあって、彼らの活動形態も独特ですね。 佐々木 これはメンバーの片倉(三起也)さんとも話したことがあるんですけど、メーカーを通して音楽を作るよさと、インディペンデントで活動するよさと、両方がありますよねと。(宝野)アリカさんも片倉さんも、やりたいコンセプトがしっかりとあるし、それを実現させる方法も持っている方なので、今のようなお付き合いの仕方がベストなのかなという気がします。お2人が作り出す音楽は本当にほかにはないもので、貴重な存在ですね。彼らも本物のアーティストだと思います。
── そして、比較的最近のアーティストとして、ナノさんが「犬フェス!」に出演されます。ナノさんの印象はいかがですか? 佐々木 動画サイトの「歌ってみた」出身のアーティストで、僕らがもともと得意ではなかったジャンルなんですけど、今では文化として確立していますよね。最初のライブでたくさんのファンが集まってきて、しかも大半が10代の女性だったのを見て、新しい流れが起こっているのを感じました。ナノは歌が上手いし英語がネイティブだし、アーティストとしてしっかりとしていて、素人感は最初からなかったですね。
── 迫力のある歌い手ですし、立ち居振る舞いにも雰囲気のある方ですよね。 佐々木 随分前に、自分が使っていないギターをプレゼントしたことがあったんです。最近そのギターで練習していると聞いて、親戚のおっちゃんとしては、うれしいなと(笑)。
── やっぱり若手アーティストには、親戚目線になってしまうんですね(笑)。「犬フェス!」はとにかく実力派ばかりが揃っていて、すごいイベントになりそうです。 佐々木 会場だけでなく、全国各地の映画館でライブビューイングを開催しますので、多くの方に楽しんでいただきたいですね。いろいろとサプライズも用意していますので。
── 最後に、これからのフライングドッグについて、お考えをお聞かせください。 佐々木 レーベルはそこで働く人間が作っていくもので、もう自分の時代じゃないと思っているので、若い人たちに自由に未来を作っていってもらえればいいと思っています。僕が手伝えることがあれば、お手伝いするという感じですね。また、アニソンというジャンルに関しては、かつてアメリカで生まれたブルースが世界中に広まったみたいに、日本で生まれたアニソンもそうなってくれたらいいなという思いがあります。現状でも世界中にファンがいるジャンルなので、もっともっと広がっていってほしいですね。
プロフィール
ささきしろう/株式会社フライングドッグ代表取締役社長
1982年、ビクター音楽産業(当時)入社。3年の大阪営業所勤務を経て、アニメ音楽制作ディレクターとなる。以降「AKIRA」「トップをねらえ!」「マクロスプラス」「マクロス7」「逮捕しちゃうぞ」「MEMORIES」「勇者シリーズ」「エスカフローネ」「カウボーイビバップ」「X」「カードキャプターさくら」「ラーゼフォン」「人狼」「攻殻機動隊STANDALONE COMPLEX」「創聖のアクエリオン」「マクロスF」「Panty & Stocking with Garterbelt」等の音楽プロデュースを担当。
2009年1月、株式会社フライングドッグを設立。2017年3月、株式会社アニュータを設立。
CDデータ
■NON-STOP FlyingDog MEGA MIX「DOG RUN!!」DJ WILD PARTY/監修:kz(livetune)
2,500円(税別)
レーベル:FlyingDog/2019年1月23日発売
※フライングドッグ、ビクターエンタテインメントからリリースされたアニソンの名曲の数々を、ノンストップで100曲繋いだMEGA DJ MIX CD
(取材・文/鈴木隆詩)