※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
2018年10月6日(土)よりMBS、TOKYO MX、BS11、AT-Xにて放送開始の、キャラクター原案・なもりさん×企画原案/シリーズ構成・タカヒロさんによるオリジナルTVアニメ「RELEASE THE SPYCE」(以下、リリスパ)。
主人公・源モモを演じるのは、本作がアニメ初主演となる新人声優の安齋由香里さん。放送前からイベントや動画配信に出演し、藤田茜さん(相模楓役)、のぐちゆりさん(石川五恵役)とともに“ピリペッパーズ”としてキャラクターソングをリリース。さらに、アニメのOPテーマ「スパッと!スパイ&スパイス」とEDテーマ「Hide & Seek」はツキカゲの6人(安齋由香里、沼倉愛美、藤田茜、洲崎綾、のぐちゆり、内田彩)が担当している。
そんな今注目の声優である安齋さんのインタビューを2回に分けてお届け。前半の今回はTVアニメ「RELEASE THE SPYCE」の魅力やアフレコのエピソードなど、作品のことを中心にお聞きした。
沼倉さんはアフレコでも師匠です
――先日はインドネシアのAFA(Anime Festival Asia)に出演されていましたね。ほかにも多数イベントに出演されていますが、もう慣れましたか?
安齋由香里(以下、安齋) そうですね。AFAはインドネシアの方々があたたかくて楽しくやらせていただきました。それも含めて、イベントはお客さんがいるから緊張がほぐれてやりやすいです。
――インタビューを受ける機会も増えたのでは。
安齋 「リリスパ」に関しては(藤田)茜さんと(のぐち)ゆりさんと3人で受けたのが初めてのインタビューだったので、2人の受け答えを見て「こんな風にやっていくんだ」と感じていました。最近はひとりでのインタビューにも慣れてきましたね。
――ピリペッパーズとしても活動している藤田さんとのぐちさんとの印象はいかがですか?
安齋 2人とも先輩の心強さがありつつ、やさしくフォローしてくださいます。私は新人でまだ慣れないことも多いんですけど、そこをうまく汲み取ってくれて。ほかの作品ではリーダーという立場をやらせていただいているので、その反動もあってか「リリスパ」では2人に甘えているかもしれないです(笑)。
――本作がアニメ初主演となります。まずは、モモ役に決まった経緯を教えて下さい。
安齋 テープオーディションとスタジオオーディションがありました。スタジオオーディションではできないところをできるまでやらせていただいて、受かっても落ちてもいい経験だったなと、前向きにスタジオを出た記憶があります。
結果が来るまで結構期間があったので、「落ちたかな……仕方ないか」と思っていた時に最終オーディションの連絡がきたんです。そこではかけ合いもやらせていただきました。
――そして見事に合格の通知が来たと。
安齋 最初は半信半疑ですよね。「え? 私が??」って(笑)。スタジオオーディションではすごく緊張していたので、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。その後、活動が始まるにつれて「モモを演じるにあたって何が必要なんだろう」といろいろ考えたので、受かった後しばらく経ってから自覚した感じですね。
――活動としては、アフレコよりも先にキャラクターソング「SPICY THE LIFE」のレコーディングが?
安齋 そうです。1曲をフルで歌い、ハモリやセリフの部分も入れさせてもらったのは初めてだったので、緊張しながらレコーディングに臨みました。
――実際にやってみてどうでしたか?
安齋 レコーディングにはタカヒロさんに来ていただいて、どういうキャラ感、どういう声質で歌うのか、セリフはどんな感じでやるのか、いろいろディレクションしていただきました。そこで「モモってこういう感じなんだ」とつかめた気がします。タカヒロさんが道を示してくださったので、その思いに応えられるようにがんばりました。
――タカヒロさんはアフレコにも?
安齋 はい。毎回来ていただいています。
――アフレコはどのようにモモを演じたのか教えてください。
安齋 第1話の前にテストアフレコがあったんですね。そこで私と茜さんとゆりさんの3人でキャラ感の確認とかやらせていただいたんですけど……メタメタでした(苦笑)。モモはどういう人間でどんな考え方をするのか、もっと私自身がモモについて考えなきゃいけないなと気づかせてもらったんです。それがあったおかげで1週間後の第1話のアフレコはテストアフレコほど緊張せず、ディレクションに従ってやれたと思います。
――そうやって演じていくうえで、特に苦労したことなどはありますか?
安齋 モモの成長が垣間見えるシーンは毎話毎話つまずいています。音響監督の藤田(亜紀子)さんからディレクションを受けたり、モモの師匠役の沼倉(愛美)さんにかけ合いのシーンをつき合ってもらったりして。
第1話でモモがツキカゲに入ると宣言するシーンは(アフレコ後に)居残りで、映像を消して沼倉さんと対面してやらせていただきました。セリフは覚えていたので、台本を置き沼倉さんと向かい合って実際のモモと師匠のようにやらせていただいて。沼倉さんは言葉で示してくれることも多かったですが、存在自体が心の支えです。本当に師匠という感じがします。
――沼倉さんは格好いいですからね。
安齋 大好きなんです。だからこそうまく話せなくて(笑)。話したいんですけど、言葉が出てこないんです……。
もちろん、沼倉さんだけじゃなく皆さんが私にとっては業界としても声優としても人間としても先輩なので、先輩方の背中をみて「こうやるんだな」と教わっています。ゲストで出演してくださった先輩方や、文鳥の女役の伊藤静さんにはなまりを正しいアクセントに直すコツを教えていただきました。とてもあったかい現場で、本当に頼れる先輩方です。
――挨拶ひとつから全部が勉強ですからね。
安齋 (スタジオの)席は茜さんとゆりさんが隣にいてくれて、わからないことは2人に聞いていました。茜さんは最初にお会いした時に「わからないことがあったら聞いてね」と言ってくださって。もう「好きです!!」となっちゃいました(笑)。ピリペッパーズの活動で多くの時間を共有したこともあり、いろんなことを聞きまくっています。
タカヒロ先生だからどんな展開になるのか心配でした(笑)
――「リリスパ」の魅力はどこだと感じますか?
安齋 アクションや小道具も魅力ですが、個人的には人間関係や人の成長という部分が魅力だと思っています。アニメには、ポジティブでへこんでも自分自身で乗り越える強いキャラクターが多いと思うんです。でもモモは落ち込んで立ち直ってを繰り返し、結局は自分では立ち上がれなくて。人との関わりの中で成長していく人間味のあふれる子なんですよ。
モモ以外の弟子たちも師匠との関わりの中で成長していきますし、師匠同士の関係や同級生の関係、師匠と弟子との関係、敵との関係がいろいろ描かれているので、人間関係には注目してもらいたいです。
――台本を読ませていただいて、いろいろな人間関係があって面白いなと感じました。
安齋 私自身も最初は自分のことに必死で気づかないこともあったんです。モモが成長した姿を演じるところは結構つまずいたりして。そんな時に沼倉さんが演技で引っ張ってくださったので、モモの成長は自分のことと相まって感慨深いです。
――モモと雪(師匠)に関して言えば、新しいキービジュアルが発表された時に好きなシーンだとつぶやいていましたね。
安齋 そうなんです。師匠のモモに対する厳しさの理由がわかり、モモの成長も見られるので好きなシーンのひとつです。
――そのシーンも含め、人間関係や熱い展開、謎解きの要素もあって見どころ満載です。
安齋 謎に関してはブース内でもみんなが話していたんですよ。私たちも台本をもらわないと謎が明かされないもどかしい気持ちがありましたね。実は知っている方もいたんですが、何も表に出さないのは役者だなって思いましたね(笑)。
――第1話からいろいろ仕掛けがしてあるみたいですね。
安齋 そうですね。上映会で第1話と第2話を見たら「ここはこういう意味があったんだ」と気づく部分が結構あったので、全話見終わってから見直してみると楽しいんじゃないかなって思います。
――完成した映像を初めて見た時の感想はいかがでしたか?
安齋 完成した映像の前にダビング作業を見学させていただいたんですが、まず音楽が格好いいなと思いました。PVで流れる音楽も格好よく使われていて。アクションシーンについては完成した後に見させていただき、作りこまれた細かな動きにひとりの視聴者として「これいいな!」と思いました。
でも、やっぱり完全に第3者としては見られなかったです。映像を見ながら「こういう理由で、あのディレクションがあったんだ」とか振り返っていましたね。
――そういうことも初めての経験ですね。
安齋 モブを演じさせていただくことはありましたけど、全話同じキャラクターを演じて、成長や心情の変化もやらせていただくのは初めてですからね。正直、最初は演じきれるか不安もありました。(成長や心情の変化で)声は大丈夫かな……とか。でも、茜さんに「声帯は一緒だから大丈夫だよ」と言われて、本当に「茜さん♡」という感じでした。
反省点もありつつ「次はもっとこうしなきゃいけないな」「事前に読み込む時はこうした方がいいな」など、いろいろ気づかされた経験になったと思います。
――映像的なことでは、キャラクター原案がなもり先生なのも皆さんが注目しているポイントです。なもり先生の絵の印象についてお聞かせください。
安齋 「リリスパ」をやる前に「ゆるゆり」を観させていただいたのですが、女の子がかわいく動くのに加えてとっても面白い笑いもあって。「これはなもり先生の絵じゃないと成し得ないことなんだろうな」「なもり先生の絵はいいな」って思いました。「リリスパ」でもなもり先生の絵の雰囲気がアニメにそのまま出ているので、期待している人はとてもテンションが上がると思いますよ。
――絵も音楽も楽しみですね。さらに企画原案・シリーズ構成はタカヒロ先生ですし。
安齋 私、(タカヒロさんが企画原案を務めた)「結城友奈は勇者である」が本当に好きで、オーディションが来た時は普通にファンとして「マジか!?」と思ったんです(笑)。タカヒロさんが新作をやることにひとりで盛り上がって。でもタカヒロさんが携わるアニメ作品はシリアスな展開になることが多いイメージがあって。リリスパはどんな展開になるのかなと、オーディション資料を拝見した時にふと思ってしまいました(笑)。
――そういった意味でも楽しみにしてもらいたいですね。
安齋 そうですね。どんな作品になっていくのか、ぜひ全話見て確かめてほしいなって思います。
(取材・文/千葉研一)