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日本のアニメだけでなく、中国の国産アニメまで規制の対象に
以上のように7月は中国独自の事情も反映された人気作品が出る中国オタク事情的にも面白いシーズンになっているのですが、それと同時に中国のネットにおいてアニメやマンガも対象にした規制の動きが出ており、不穏な空気が漂い出しています。
この規制の動きに関する発端となったのは、中国国営放送・CCTV(中央電視台)のニュース番組において「子供たちの夏休みに健康でキレイなネット視聴環境を作る」 「ネットプラットフォーム上の低俗なアニメマンガ作品をなくす」といった政府の通知に沿った一連の報道が行われ、その中で日本のアニメも数多く配信している「bilibili」が名指しでの批判を受けた事件でした。
そしておそらくこの件に対応して、bilibiliのサイトでは、bilibili自身も製作委員会に名を連ねている日本の新作アニメ「ISLAND」を含む複数の作品が突然の配信中止、あるいは検索しても見つからない状態になってしまった模様。さらにその後、中国の各プラットフォームのアプリストアでbilibiliのアプリが一時的に配信中止となっているそうです。
また、この規制あるいは自主規制の動きはbilibiliだけにとどまらず、ほかのアニメを配信している各動画サイトでもさまざまな作品が配信中止になる、ある或いは検索に引っかからなくなるといった動きが出ている模様です。
政治方面にも詳しい中国のオタクの方の話によると、このCCTVのニュースでの批判やそれに対応した自主規制の動きに関しては、中国で定期的に行われている、ネットの不法行為や海賊版に対する取り締まり(とそれにともなう諸々)を行うネットの浄化活動「剣網」 が影響していると考えられるとのことです。 また今回名指しの批判となったbilibiliに関しては、近年商業的に急成長して中国の動画サイトの競争で生き残ったサイトであることから、これまで本格的な規制や取り締まりの対象となったことがなく、自主的な配慮や、通報やクレームへの対応が甘かったというのも批判の理由として考えられるそうです。
確かに今年の「剣網2018」 に関する報道を見ると、重点的な対象として、「ネット転載」、「ショートビデオ」、「動漫」 (アニメやマンガ)などとあります。 そしてアニメやマンガが対象になっていることから、今回の一連の規制の動きについては、「日本のアニメ作品だけでなく中国の国産アニメの人気作品に配信中止が出ているのも目立つ」 という話も聞こえてきます。
以上のような状況から、今回の規制の動きは、たとえば2015年に日本のアニメ作品のブラックリストが発表されたときなどのように、中国でたびたび行われている日本のコンテンツを主なターゲットにしたものとは少々異なる、現在の中国のネットに流れているアニメやマンガコンテンツ全体をターゲットにしたものだということが見て取れます。
実際、中国のオタクな方々からは「中国国産アニメは昨年あたりから対象年齢の高い作品を増やし、過激な内容をアピールするようになってきていたので、どこかで規制が入るのは十分に考えられた」 といった話も聞こえてきます。
もっとも、日本のコンテンツだけが主なターゲットになっているわけではないとは言っても、日本のアニメなどが「動漫」カテゴリーとして規制の対象となってしまうのは避けられません。
現在中国では、作品の配信に関する自主規制の強化やユーザーのアップロードする動画に対する審査の強化、アニメ関係で「動漫」という言葉を使わないようにする、別の言葉に変更するといった方向での自粛の動きなども出ているという話ですし、アニメやマンガ関係についてはしばらくの間、難しい状況が続きそうです。
(文/百元籠羊)
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