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「2199」の完結から「2202」の再起動まで
――前作「ヤマト2199」という傑作があり、しかも象徴と言える波動砲を封印して、一度はピリオドを打ちましたね。そこから再起動されるのは大変でしたか?
福井 でも、あれで終わりにするつもりだったら、劇場版「星巡る方舟」でもガトランティスを出してないですよね。あの「波動砲にふたをした」というのは、作り手側からすると「これ以上おいしい状況はない」ですよ。それだけで、ドラマがいっぱい作れちゃいますからね。
――ピンチではなくチャンスであると。
福井 思う存分使わせていただいていますね。
――「ヤマト2202」の企画自体は、かなり早い段階から動いていたんですか?
福井 俺が話をもらったのは「2199」をまだ作り終わってない頃で、確かに早かったですね。でも、どういう方向性でやっていくかが決まったのは2015年の頭ぐらいです。おれが企画書を出してから、本格的に動き出した感じですね。
――福井さんが企画書を出されたんですね。旧作の劇場アニメ「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」はガミラスとの戦い(2200年)から1年後ということで2201年でしたが、今回は「2199」から3年飛んで2202年なんですよね。
羽原 やっぱり、たった1年であの復興は難しいだろう、という考えがまずありまして。
福井 まあ単純に「2並び」というこで、前作の「2199」を受けての「2」ですよということです。あと旧作ファンの人達にとっては「宇宙戦艦ヤマト2」(テレビ版)かもしれないし、「愛の戦士たち」ってサブタイトルもついてるから「さらば」かもしれない。でも、どっちでもないかもしれないという含みを持たせるために、この2は強調したかったんです。
羽原 福井さんが最初に出された企画書の段階から、すでにこの「2202」が大きく打ち出されていました。
――第一章の冒頭で、敵であるズォーダー大帝が愛を口にしていたのは驚きました。
羽原 そこが新しいですよね、もう最初にシナリオを読んだときは震えました。「無限に広がる大宇宙」からこう繋がるのか!と。その時点で、あの冒頭の絵がぜんぶ発想できた感じでしたね。
――旧作では力押しの印象が強かった大帝が哲学を語っているという。
羽原 あれを冒頭に持ってくることで、方舟のときのダガーム(ガトランティス・グタバ方面の大都督。粗暴で豪快な性格)達は、ガトランティス全体ではなくて一部族だということが印象づけられると思うんですね。そうやってズォーダーが哲学を語る部分があればこそ、あのパイプオルガンの曲が使える。シナリオを読んでいて「これだ」と感じるところでしたね。
――あの場面でのズォーダー大帝の原画を担当されているのが、湖川友謙さん(「さらば」で総作監とキャラクター設定を担当)なんですよね。
羽原 やっぱり湖川さんしかないだろうと。ご本人に描いていただくのが一番だと。時々、飲みに誘っていただいているご縁もあって、お願いできたんです。
――羽原監督と湖川さんは「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」(2009年)のお仕事も一緒にされていて。
羽原 その縁もありましたね。湖川さん、本当にお忙しいのにやっていただけたので本当に助かりました。絵が素晴らしいのは当然として……、やっぱり、僕自身がテロップの中に湖川さんの名前を見たかったんです。
――大ベテランでいらっしゃるのに現役で、今でも数々のアニメで名前をお見かけしますよね。
羽原 でも、実は今の湖川さんが描かれるズォーダーよりも、結城信輝さん(キャラクターデザイン担当)の描かれたズォーダーの設定のほうが、当時の湖川さんに近いと思うんです。結城さん、すごい湖川さんをリスペクトされていて、もうこれしかないくらいのキャラクターになっています。また湖川さんは湖川さんで、「今の湖川さんの絵」で描かれているからこそ、あの迫力になっている。お互いの関係がいい感じにフィルムになっているんじゃないかなと思います。