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「Goodbye Graffiti」は、今の西沢幸奏を感じていただける曲だと思います
── 「Break your fate」から始まる序盤の4曲はすべて新曲で、アルバムのコンセプトが明確に伝わってきました。2曲目の「Shark」は、「Break your fate」の疾走感を受け継ぎつつ、サウンドはよりヘヴィになっていますね。西沢 最初にこの曲を聴いた時、頭に浮かんできたのは、海の中のイメージだったんです。それで、海の生き物で印象的なのは、なんだろう? って考えたら、鮫が出てきて、それをモチーフに歌詞を書いていこうと思いました。鮫って、恐くて危険な生き物という印象があるじゃないですか。その恐さって、もしかしたら臆病さの裏返しで、虚勢なんじゃないかと考えたら、自分の中にある一面と重なったんです。それから、鮫は呼吸するために泳ぎ続けなければいけないんですけど、臆病なのに動き続けるというのも、めっちゃかっこいいなと思って。私の想像の話すぎて、笑われちゃうかもしれないんですけど(笑)。
── 鮫になぞらえて、自分自身の気持ちをとらえ直してみた、という感じですね。 西沢 そうですね。誰にだって臆病な一面はあって当たり前で、それでも行動し続けることが大事なんじゃないかと。鮫について想像するところから始めて、自由に歌詞を書くことができました。
── ラストは英語詞が続いて、ボーカルも演奏も唐突に終わるのが、印象的でした。 西沢 ラストの展開には、私自身驚かされたので、今までやったことのない表現をやってみたいと思いました。ここまで長い英語のフレーズは、作詞するのも歌うのも初めてだったんですけど、かっこよく決めたいと思いました。
── ライブで歌い終えた時の凛々しい表情が、目に浮かびます。 西沢 まるで鮫みたいな(笑)。臆病だけどがむしゃらに進み続けて、夢をつかみ取っている姿を想像していただけるとうれしいです。
── 3曲目の「Gemini」は、ファンタジーの世界を連想させる曲ですね。 西沢 サウンドが壮大で、ストーリー性が高かったので、何かのお話をモチーフに歌詞を書きたいなと思いました。それで、モデルになるお話を神話の中から探してみたんです。それで見つけたのが、双子座の成り立ちの神話でした。
カストルとポルックスという双子の兄弟のお話で、2人ともゼウスの子供だったんですけど、兄のカストルは普通の人間で、弟のポルックスだけが神の不死の体を持っていたんです。それで、カストルが戦いで死んでしまった時、兄を慕うポルックスは、ゼウスに不死を解いてもらって、兄とともに星座になることを選ぶという。
── ポルックスは、恵まれた自分の境遇を投げ打って。 西沢 兄と死に別れるのを運命だって決めつけずに、自分ができることがあるはずだと。このお話を読んだ時、これもまた、「Break Your Fate」だなと感じました。それで命をキーワードに書いたのが、この曲です。
── 神話的な「Gemini」と打って変わって、4曲目の「Goodbye Graffiti」は、日常的な歌詞が印象的な青春ロックです。この曲は、西沢さんの作詞作曲なんですよね。 西沢 この曲は、ずばり卒業ソングです。すごく爽やかなメロディができあがったので、それに乗せて、高校時代の気持ちを歌いたいなと思ったのと、このアルバムの発売が3月だったので、卒業シーズンに絡めて、大人になるってどういうことなんだろう? ということをテーマに、曲を作っていきました。
── 青春を振り返っている感じが、今の西沢さんの目線なのかなと。 西沢 この曲を作った時は19歳で、アルバムがリリースされるのは20歳という今の自分から高校時代を振り返ると、デビューしてからの2年で自分がすごく変わったことがわかるから、もっと大人になったら、きっとあの頃に感じていた気持ちは忘れてしまうんだろうなと思って。それはすごく寂しいことだけど、音楽という形でなら、私が大切に思っている高校時代を残せると思ったんです。
── メロディも歌詞も、今だから書けたものなのかもしれませんね。 西沢 メロディは、歌詞以上に、今までの自分の経験が出てしまうものなんですよね。そういう意味では、この曲は、今の西沢幸奏を一番感じていただける曲になっているんじゃないかと思います。この先、もっともっといろいろな音楽を体験して、「西沢幸奏って、こんな曲も作れるんだ」と思っていただけるよう、がんばっていきたいです。