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メカニック描写と人類滅亡後の年月
──「ADP」のメカニックは、新たにCGをつくったのですか?
下田 メカニックは、2013年に導入された遊技機用に、1度リファインしています。そのときにディテールの密度を上げているのですが、大画面に耐えられるかどうかは、また別の話です。ですから、新規にモデリングしたものもありますし、テクニカルな観点から修正している部分もあります。
──冒頭、“ゴーネ”というやられメカが、廃墟を捜索するシーンが新規カットで入っていて、メカへのこだわりが感じられました。
下田 デザインディレクターのハタイケヒロユキさんが、「人類が滅びた後、ガルズオルムは各地に残った情報端末を解析して、そこから世界を再構築するネットワークを広げていったんじゃないか」という話をされたんです。だったら、人間が使っていた端末を捜索するシーンだけでも入れようと考えました。セレブラムの兵器もガルズオルムの兵器も、量子サーバーを維持するための作業機械が原点です。ゼーガペインは光装甲によって優位に立てましたが、ガルズオルム側のメカは、その時点では、まだそれほど進化していません。 そして、その冒頭シーンによって人類が滅びたのは、2022年頃で、セレブラムが戦っているのは2071年くらいかも……と判断できます。つまり、約50年の時間が経過しています。何度か「ADP」をご覧になれば、「これか!」とわかると思います。
──テレビシリーズでは、そこまで明言していませんでしたね。 下田 テレビでは、ソゴル・キョウが100回以上、舞浜サーバーでループを繰り返していると漠然と言っているだけですね。5か月間のループを100回経験しているとすると、だいたい、40年ちょっとの時間が経っている計算になります。
──「ADP」のキョウは、最初からセレブラントとして覚醒していますが、それ以前はどうしていたのか気になってきます。
下田 僕の考えは単純で、テレビ本編のセリフどおり、100回ぐらい同じ日常を過ごしていたんだろうと思います。「ADP」には、通学シーンが繰り返し出てきますよね? トミガイは同じセリフを言っていますが、キョウはわざと違う言葉で返しています。また、キョウは妹に「自転車のタイヤがパンクしている」とループのたびに言いますが、最後は自分の心がパンクしているという意味が入っています。同じ絵、同じセリフを繰り返し使っても、意味を変えることはできるわけです。
──保健室にいるミズサワ先生がテレビシリーズと同様、ループ構造に気がつくシーンがありますね。彼女は、過去にも何度か覚醒しかけているのではないでしょうか?
下田 そうかも知れません。「ADP」では、フォセッタとシマ司令の会話で「予兆のあった幻体データ」「覚醒にはいたらず」とフォローを入れています。そうした細部から、想像をふくらませてみてください。
──キョウの妹に関してですが、「ADP」で消えてしまった妹が、テレビシリーズの最終回で復活する……という解釈で合っていますか? 下田 いえ、テレビシリーズ最終回に出てくる妹は、キョウの見ている記憶にすぎません。「そうか、夢なんだ」というセリフのとおり、「どちらが現実で、どちらが夢なのか?」という問いかけのためにキョウの家族を出しました。ですが、「全キャラクターが復活して、ハッピーエンドで終わってほしい」気持ちは、よくわかります。そう捉えてもいいんです。