「ソードアート・オンライン」シリーズの監督、伊藤智彦インタビュー

2014年10月12日 08:000


キリトがリア充になった理由



――アスナはどう描いていこうと考えていますか。

アスナについては「ウザい」「面倒くさい」と思われてしまわないように気を配りました。例えば第3話でキリトが《GGO》に行くと話したときに「私も行く」とは言わないとか。第7話の電話のシーンでも黙って話を聞いてくれて、《GGO》で何があったかは自分から尋ねないなど、そういう3歩引いた嫁姿勢を前半に入れました。アスナは多分そういう子なのだろうと思っています。
《マザーズ・ロザリオ》編ではゲームを離れて、家ではどういう状態なのかが描かれる話も出てきます。俺もアスナは今でもよくわからなかったりするんですが「お前も大変だったんだなぁ」とアスナを遠巻きに見ていた人も思ってくれるんじゃないかなという気がします。それなら「キリト君キリト君って言ってるのもわかるよ!」みたいな(笑)。

――アスナは女子中高生にも人気だそうですし。

そうなんですか。それはよかった。男の子も助けて自分も戦えるポジションは、これからの女の子の憧れの定番になっていくのかなと『プリキュア』を見て感じていました。戦うヒロインという『セーラームーン』から時代を経て、『プリキュア』は肉弾戦をするヒロイン。黙って守られるだけじゃないのよ的な延長上に、子どもたちが育っているんじゃないかなという気がしますね。

――ちなみに監督の「俺の嫁」にしたいキャラクターはいますか?

最初はリズベットが好きだったんですけど、身近にいる人がシノンに近いんですよ。だから今ではシノンですかね(笑)。機嫌が良いときと悪いときの差が激しくて「あーなんかシノンっぽい」って、そして怒られる(笑)。シノンは原作を読んだときに難物だなと思っていたのですが、結婚してからは「こういう奴いるな。いるよ、いるいる」と気軽に向き合うことになりました。わりと生っぽいキャラクターですし。

――結婚や子育てなど、クリエイターの人生が作品の見方や作品自身に影響を与えることもありますよね。

それはありますね。第1話(のリアル世界)で和人と明日奈がリア充満載だったのは、ちょっと俺の気分もあったかもしれない(笑)。そういうのに抵抗がなくなってきている自分がいるのを感じるんです。ほかの人から「リア充過ぎてイラッときますよ」って聞いても「そうなんだ?」、まぁ俺は抵抗がなくなってきたからいいやって(笑)。



――それでは2人はこれからますますリア充になる?

どうなんでしょう? 劇中でそういう所があるのかはわかりませんが(笑)。

――まだまだ本作の制作が続く中で気が早いかもしれませんが、今後はどのような作品に挑戦してみたいですか?

アホな話をやりたいですね(笑)。コメディ映画で言うとエドガー・ライト監督の『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ』が好きなんです。ついつい悪ふざけをしたくなるので、そういうのを許してくれる作品をやりたいなと(笑)。前のカットでは真面目な顔をしていたのに、次のカットではウンコを踏んでいるくらいのさじ加減がいいです。キリトさんはウンコを踏めないですからね(笑)。

――伊藤監督のデビュー作『世紀末オカルト学院』もシリアスとコミカルが入り混ざった作品でした。

俺のホームグラウンドはそこにあるような気がするのですが、なかなか帰らせてもらえない(笑)。だからキリトがシノンの尻を見たというのも、そういうのが影響していると思います。

――最後にファンへ向けてメッセージをお願いします。

皆さんは本作に対してハードルをものすごく上げられると思うんですが、そのハードルを越えられるように頑張ります。キャラクターデザインの足立(慎吾)さんはユウキを描きたい描きたいと言っているので、「最終回のユウキの可憐さに注目!」という無責任なコメントをここに残しておきます(笑)。



(取材・構成・写真/高橋克則)


■「ソードアート・オンラインII」あらすじ
【ファントム・バレット編】《SAO》事件から一年が経ったある日、キリトは、総務省《仮想課》の菊岡誠二郎から奇妙な依頼を受ける。それは、銃と鋼鉄のVRMMO《ガンゲイル・オンライン(GGO)》で突如発生した怪現象《死銃(デス・ガン)》事件の捜査であった。漆黒の銃を持つ謎のアバターに撃たれたプレイヤーは、実際に現実世界でも《死》に至る……。その不気味な事件の捜査を断り切れなかったキリトは、《仮想世界》が《現実世界》へ物理的に影響を及ぼすことに疑いを抱きつつも、《GGO》へとログインする。《死銃》の手懸かりを掴むべく、不慣れなゲーム内を彷徨うキリト。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、長大なライフル《ヘカートII》を愛用するスナイパーの少女・シノンだった。彼女の力を借りたキリトは、自らがターゲットとなって《死銃》との接触を試みるべく、全ガンナーの頂点たる対人トーナメント《バレット・オブ・バレッツ》に挑む……。

【キャリバー編】《ALO》伝説の聖剣《エクスキャリバー》。その獲得クエストがついに始まった。妖精王オベイロンとの対決の際、管理者権限を用い一度だけ手にした伝説級武器(レジェンダリーウェポン)を本当の意味で手に入れるため、キリトはいつものメンバーに、新たに《ALO》でキャラを作ったシノンを加えた7人パーティを組み、クエストに挑む。しかし、そのクエストには、《ALO》の世界そのものすらも揺るがす壮大な裏イベントが待ち受けていた……!

【マザーズ・ロザリオ編】ある日、アスナはリズベットから奇妙な噂を聞く。新マップ《浮遊城アインクラッド》、その第24層主街区北部に現れる謎のアバターが、自身の持つ《オリジナル・ソードスキル》を賭けた、1対1の決闘(デュエル)で、相手となったプレイヤー全てを蹴散らしているというのだ。あのキリトすらも打ち負かした《絶剣》と呼ばれるそのアバターにアスナも決闘(デュエル)を挑むのだが、結果、紙一重の差で敗北してしまう。しかし、その決闘(デュエル)が終わるやいなや、《絶剣》はアスナを自身のギルドに誘い始めた。《絶剣》と呼ばれるほどの剣の冴え。そこには、ある秘密が隠されていた――。

■「ソードアート・オンライン」あらすじ
【アインクラッド編】2022年。人類はついに完全なる仮想空間を実現した。VRMMORPG(仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム)「ソードアート・オンライン」のプレイヤーの一人であるキリト。SAOの世界を満喫していた彼は、ログインした他の1万人のプレイヤーと共にゲームマスターから恐るべき託宣を聞かされる。それは、ゲームをクリアすることだけが、この世界から脱出する唯一の方法であること。そして、このゲーム内でゲームオーバーは、現実世界での“死”を意味すること。それが、このゲームの恐るべき全貌であった。キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れ、パーティーを組まないソロプレイヤーとして、終わりの見えない死闘に身を投じていく……。

【フェアリィ・ダンス編】《ソードアート・オンライン》に閉じ込められたキリトこと、桐ヶ谷和人は、ヒースクリフこと、茅場晶彦との死闘のすえ、現実世界へ生還を果たす。同時にデスゲームを生き残った者たちも生還するものの、アスナをはじめ300人のプレイヤーたちは意識を取り戻さず、眠りつづけている。アスナを、愛する人を救うため、キリトは新たなるVRMMORPG《アルヴヘイム・オンライン》に挑む。そこは、妖精たちが舞う、全く新しい世界だった---。

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(C) A-1 Pictures/Aniplex・テレビ東京

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