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既存のアニメキャラクター作りを打破する狙いとは?
――キャラクター作りはどのように進めていきましたか?
森:まず、つかさは企画書の段階からあって、絵面についても最初からこの方向性でやろうと決めていました。というのも、僕は最近のアニメに氾濫する「記号化されたかわいらしさ」に少し疑問を持っているんです。アニメって昔はいろんなタイプのキャラクターやそれぞれの作家性があったと思うんですが、今は絵柄がほとんど同じで主人公キャラも似ている。僕がやるのであればそこはちょっと違ったデザインにして、新しい扉を開けたかったんです。それによってアニメをこれまで見ていなかった人が入ってくると思っていましたし、今後、僕ら以外にも挑戦的な絵面が増えるとアニメを見る人口も増えていくのかなと思います。
--キャラクター配置も太っているキャラ(堂本あたる)をツッコミ役にしたりと、新しさを感じました。
森:普通、こういうアニメの法則だと太っているキャラっていじめっ子なんですよね。彼の場合はただちょっと太っているだけで、一番冷静なキャラクターにしようと思っていました。いっぽうで、アイドルになりたいという夢も抱いている。これはキャラデザのときにTシャツに書いた「錦」の字を細川さんが「故郷に錦を飾る」とくみ取って描かれたんだと思います。
細川:錦のことは全く意識しなかったけど?(笑)。
――(笑)。マナブはどのように作りましたか?森:マナブは一番苦労したかもしれないですね。彼もツッコミ役でありながら、つかさを慕っているという、かなり扱いが難しいキャラクターではありました。なので、口調については細川さんも苦労された部分が大きかったと思います。
細川:基本的にはつかさ以外はみんなツッコミ役なんだけど、そこは微妙にトーンの違いを出しています。この作品はそこまで「ここは笑うところだぞ」っていうポイントを明確にしないほうが面白いだろうと思ったので、キツくツッコむ人は入れていないし、自分としても強くツッコむのが面白いとも思わないので、笑う人だけ笑えばいいというトーンにしています。
――キリトの場合はいかがですか?森:彼も企画の最初からいた人物で、銀髪・スーツ姿も決まっていました。僕も特定の作品を調べたわけではありませんが、ホビーアニメのミステリアスなキャラといえばこういう格好で、この作品の世界観におけるイケメンキャラ像として造形にも苦労しました。毎回、陰から見ているというシチュエーション作りは細川さんにお任せしました。
細川:一体いつまで見続けているのか、飽きられないようにする苦労がありました。そこで第9話では、「隠れて見ていたのが実はバレていた」というズラしのギャグを入れています。視聴者が飽きるちょっと前で違う展開にもっていくというパターンです。これはコント作家としての感覚ですね。気づかれるちょっと前に言わないと笑いにならないんですよ。
――アフレコにおいても今作では森監督にとって新しいキャストの方を起用されましたが、どのように決められましたか?
森:まず、ブシロードさんから「Gigant Girls」(徳井青空・橘田いずみ・愛美)のお三方をご紹介いただいて、それぞれどの役を演じるかオーディションして決めました。つかさ役は女性の声ではちょっと難しかったので、音響監督に相談したところ、山口勝平さんを紹介していただきました。技術はもちろんですが、他のキャストの士気を高める相乗効果がありました。
それに勝平さんは本当にアドリブが面白くて、それに乗ってみんなも面白おかしく、よりいいものにしようと面白い現場にしてくれます。ときには僕らも想定外なアドリブを入れてきて、それがまた面白いんです(笑)。
たとえば第5話で(イナズマまもる役の)潘めぐみさんと勝平さんのやりとりで、「サッカーで勝負だ」、「ギガントで勝負だ」と繰り返すんですが、最後につかさの側が「サッカーで勝負だ」と言い間違えるのも勝平さんのアドリブなんです。「つかさだったら言い間違える」だろうという解釈からのアドリブだったと思います。それに対して潘さんがとっさにセリフを変えてくるのもすばらしかったですね! 僕らがわかってない部分までキャラクターを理解しているからこそだと思います。