アニメ業界ウォッチング第36回:荒牧伸志監督が語る「3DCGとモーションキャプチャにこだわる理由」

アニメ2017-08-26 12:00

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

「神山健治、荒牧伸志、両監督により『攻殻機動隊』が再度アニメ化される」……そんなニュースがネットを駆け巡ったのは、今年4月。その2か月後、荒牧伸志監督がCCOを勤める制作スタジオ「SOLA DIGITAL ARTS Inc.」が、求人広告を掲載しはじめた。
新プロジェクトに挑むSOLA DIGITAL ARTSの新スタジオには、モーションキャプチャ用のスタジオまで完備している。現在、神山監督と机を並べて「攻殻機動隊」の準備作業を進めているという荒牧監督に、これまでの足跡と今後の展望をうかがった。


スタジオをつくりながら、同時に作品をつくっていった裏事情


── 荒牧監督は、「APPLESEED」(2004年)と続編の「EX MACHINA -エクスマキナ-」(2007年。以下、エクスマキナ)以降、一貫して3DCGアニメを監督してきましたね。少しずつ、海外資本の作品が増えているように感じますが?

荒牧 タイミングよく海外から企画が来るようになったことも大きいし、僕自身も、日本国内よりは海外マーケットに向けた作品のほうがやりたいことが出来る、と感じています。現在の制作体制をつくったのは、「スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン」(2012年)の企画をソニー・ピクチャーズからオファーされたときです。「エクスマキナ」のころから僕の作品をプロデュースしてくれているジョセフ・チョウという男がいまして、「Halo Legends」(2010年)を企画したとき、ジョセフと「そろそろ、自分たちのスタジオを持つべきじゃないか」という話をしていました。そこから始まって、実際に「スターシップ・トゥルーパーズ~」が決まったとき、現在のスタジオ(SOLA DIGITAL ARTS Inc.。以下、SOLA)を設立したのですが、当初は、スタジオは借りたのに、制作スタッフが本当にひとりもいませんでした。作品づくりとスタジオ立ち上げを同時進行で進めていくしかありませんでした。偶然の出会いもあり、口づてで、ちょっとずつスタッフを集めていったんです。

── 荒牧監督の作品を見ていると、国内外のスタッフが半々といった印象ですが?

荒牧 一部は韓国やカナダ、香港などのCG会社にも手伝ってもらいましたが、「スターシップ・トゥルーパーズ・インベイジョン」の制作ベースはほぼ、80%から90%、日本国内だと思います。


── 驚いたことに、「スターシップ・トゥルーパーズ~」の翌年に「キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-」(2013年)が公開されています。

荒牧 「キャプテンハーロック~」はSOLAの制作ではなく、東映アニメーションとマーザ・アニメーションプラネットの制作です。この企画が始まったタイミングでは、まだSOLAは存在していなかったんです。のちに、SOLAでもプリプロや海外セールスのプロデュースの部分で協力しています。2009年ごろから時間をかけて企画を進めていたので、「スターシップ・トゥルーパーズ~」と実制作が丸かぶりしてしまったんです。両方の作品をつくりつつ、自分たちのスタジオも編成するという、大変な事態になっていました。

前へ 1/3

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連作品

関連記事