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当時価格300円なのに、頭から手足までくまなく凝った分不相応(?)なキット
この連載は、基本的に“説明書の奴隷”なので、組み立て説明書の指示どおりに腕から組んでいく。オーソドックスに、肩・上腕・前腕の順に左右から挟み込み、そこに水平に丸軸があれば回転するし、垂直に軸があれば曲がるし……という、80年代にはよく見かける構造です。
▲ 肩と上腕が別々になっており、水平に回転可能。肩アーマーと前腕で、組み上がった上腕をはさむ。オーソドックスなパーツ構成だが、1984年の300円キットにしては、凝っているほうではないだろうか? 特に、上腕が回転できるのがうれしい
▲ そして、問題のトゲトゲ。手の甲に接着する。すご味というか、一種の暴力性が備わる強烈なパーツだ。そして、右手は握りこぶし(穴が空いているので武器を保持可能)、左手は平手のみ。取り換えパーツが多数付属とか、そういうセコいことはしない。左手は必ず平手!
▲ 組み上がると、両腕はこんな感じ。よく見ると、ヒジの内側が自然にえぐれていて、わずかながらヒジ関節の可動範囲を広げている。小さな工夫だが、実にスマートどうですか、スカーツの腕は? 丸太みたいでしょ? だけど、ロボットの腕なんてこんなものでいいと思うし、手首が大きくて迫力があるよね。握り手と平手のコントラストが、動きを生んでいる。次は何だろう? 胴体と頭だ。組みましょう。
▲ 胴体、というか上半身を組んで、横から見たところ。肩は、丸い穴に軸をはめ込むだけなのだが、その受け側が別パーツになっている。肩を回したときに一緒に回転してしまわないよう、片側に凸部が突き出ている。こういう細かい素朴な工夫に感動する
▲ 首のパーツ分割は思わせぶりで、組み上げた頭部を前後に細長い板状ブロックで挟む。首の前後がこんなに長くて、しかもわざわざ板状のブロックに頭を固定する意味は?
ひょっとして、背部の鳥型メカが分離する際、首が前にスライドしたり、素晴らしいギミックが盛り込まれているのでは? このように、変なパーツ構成に出会いながら、あれこれ推理するのが面白いんだ。
そして、次は足です。足もオーソドックスなように見えて、「ほほう?」と感心させられるパーツ構成になっている。
▲ フトモモと足首を別々に組み立て、スネで左右から挟む。足首の側面に楕円形の穴があり、内側に関節軸をはめ込む。これによって、足首が前後だけでなく左右にも動かせる80年代中期には定番化していた機構。300円キットでも、かなりの充実感
▲ そして、組み上がったスネの外側に、別パーツになった装甲を被せる! それっぽく二重装甲に見えるよう、一体成型で造形してもよかったのに別パーツにしている。ひと癖あるというか、ひと筋縄ではいかない地味に凝ったキットなんだよねそうそう、頭と手足ができてそろそろ完成なんだけど、「一体全体どうしてこんなに凝ってるんだ?」と不安になるほどの仕掛けが、まだある!
▲ 前のページで、ヤリが長短2種類ついているのはどうして? と書いたけど、なんと未使用のヤリ(ランサー)は、スネ側面の装甲の内側に接着する! 設定では確かにそうかもしれないけど、いちばん省略していい部分でしょ! いやはや、本気すぎるスネの装甲に未使用時の短いランサーを接着しても、チラリと見える程度でしょう。何をそんなに意地になってるんだろう、このキット? 機甲兵の中でもマイナーなスカーツなのに。しかし、ようやく太っちょオヤジ、スラーゼンの存在を忘れてスカーツ本体に集中できてきたので、このまま一気に完成させよう!