■第3章「挑戦、或いは逃避」
第3章は「エヴァ」のテレビシリーズ、そして「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」、同「Air/まごころを、君に」を経た庵野氏が挑んだ実写映画を中心とした展示。「ラブ&ポップ」(1998年)、「式日」(2000年)、「キューティーハニー」(2004年)などの作品が取り上げられているが、まずは「キューティーハニー」に関する資料を紹介。
映画「日本沈没」(2006年)から庵野氏がデザインした「D3計画 N2爆薬用BOP」のデザイン画とそのミニチュア。
社会現象を巻き起こした「シン・ゴジラ」(2016年)から各形態。進化の道程を追えるように順番に並べてあるのも◎。
「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」(2021)のために用意された、第三村のミニチュアセット。実物の1/45スケールで作られ、9m×4mと巨大なもの。「映画のあの場面はここだ」と見つけるのも一興かと思う。
「劇場版:||」で使われた背景画。特撮作品でのホリゾントで知られる島倉二千六氏によって描かれたもの。
「新劇場版:Q」(2012年)と「劇場版:||」に登場したヴンダーとそのブリッジ、ネルフ戦艦の検討用模型。今回の展示を通じ、実写とアニメを行き来しつつ、やがて、その手法が渾然一体と化して行くのを体感できるが、その一例といえよう。
■第4章「憧憬、そして再生」
第4章では、庵野氏が企画・脚本を手がけ、樋口真嗣氏がメガホンを取る「シン・ウルトラマン」と、そして「シン・仮面ライダー」の2作品が取り上げられている。コロナ禍で延期されたままとなっている「シン・ウルトラマン」の公開が待ち遠しい。
今回、初出となる「シン・仮面ライダー」関連のデザイン及び造形まわりの資料。まさに現在進行形で作品が進められている作品で、「ここに展示している画像は、すべて制作過程上の検討用の資料であり、本編映像とは意匠が異なる」と注意書きが貼られてある。
■第5章「感謝、そして報恩」
展示の最後はシン・ウルトラマン、シン・ゴジラ、シン・仮面ライダーの3大キャラクターの立像がお見送り。撮影可能なブースとなっているので、思う存分写真を撮ってほしい。
特に、シン・仮面ライダーの実物展示は今回が初となる。せっかくなので、さまざまなアングルで撮ってみた。ヘルメット部の色合いは、明らかに旧1号を意識しているのがわかる。またクラッシャーに隙間がある、ヘルメットから変身者の髪の毛が見えている、といった細かい部分も今回の展示で明らかに。なお、マスクがヘルメットであることは石ノ森章太郎の「仮面ライダー」原作でも描かれていたが、髪の毛がはみ出しているのも含め、その辺りを映像作品できちんと明文化したのは、出渕裕さんが以前に関わった「仮面ライダーTHE FIRST」 (2005年)が初で、本作でもこの解釈を踏襲したものと思われる。
実物の持つ情報量は多い。数々の展示を通じて、その人だからこそ気付くさまざまな発見がきっとあるだろう。ぜひ現地に足を運んで、しかとその目で確かめ、記憶に留めていただければと思う。
なお、「庵野秀明展」は2021年12月9日(日)まで開催予定。毎週火曜日は休館予定だが、11月23日(火・祝)は開館する。
(取材・文/トヨタトモヒサ)
【イベント情報】
■庵野秀明展
・会期:2021年10月1日(金)~12月19日(日)
・休館日:毎週火曜日 ※ただし11月23日(火・祝)は開館
・開館時間:10:00-18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
・会場:国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
・お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
・主催:国立新美術館、朝日新聞社、日本テレビ放送網、日テレイベンツ、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
・協賛:DNP大日本印刷
・企画協力:カラー、グラウンドワークス:、アニメ特撮アーカイブ機構
※会期中に一部、展示替えを予定しています。最新情報は、本サイトをご確認ください。