「特装機兵ドルバック」に出てきた強化服「パワードアーマー」のプラモデルを組み立てたら、1983年のロボットアニメ隆盛期が垣間見えた!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第6回

2020年12月29日 12:002

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常日ごろ、80年代のロボットプラモは手足を先に組んで、胴体の前後でガチャッと挟み込むパターンが多いと思い込んできた。だけど、このパワードアーマー「ガーディアン」の場合、組み立て説明図で胴体から先に組むよう指示がある。胴体と手足を別々に組み上げてからの後はめ、それが設計上のポイントであることがわかる。

▲ 左右分割された胴体の内側から、手足部分にポリキャップをはめ込んで、さらにポリキャップが外れないよう円盤状のパーツをかぶせる鉄壁の構造。巨大なバックパックまで含めて頭部・腹部と一体成形なので、卵のようなシルエットの面白さを楽しむこともできる

▲ 左右を張り合わせると、もう全体像がつかめてくる。腕の前あたりがえぐれた形になっているのが“腕部を動かすためのクリアランス確保”という機能美を表していてカッコいいんだけど、これは左側のみ。右腕は巨大な大砲なので、えぐれはない。左右非対称なんだよ、このデザイン!

いかにも避弾経始(戦車が敵弾をはじくため装甲に傾斜などをつけること)を考慮したようなフォルムに、すでに惚れこんでしまいそう……。アニメキャラクターらしいアイコンとか皆無なんだよね、このデザイン。同じ1983年放送の「銀河漂流バイファム」にも作業用の強化服“ウェアパペット”が出てくるけど、あっちはキャラクターの顔が見えること前提のデザインで、プラモデルもフィギュア付きだった。パワードアーマーは機能重視の愛想のなさが徹底されていて、大変よい。

▲ 背部のロケットノズル部分が別パーツなのは、それほど珍しいことではない。だけど、四角いノズルの左右に小さなバーニアが付く! こういう、可動と関係ない部分にパーツを割く心意気、私は好きです!

▲ 腰の両側の装甲板……やっぱり、ホビージャパン誌で連載の始まっていたS.F.3.Dの影響を感じてしまうけど、この丸い装甲板を太もも側に一体成形したら「わかってーな」と笑われるところだよ。無可動ながらも胴体側に装甲板を付ける! そう、それが正しい模型のあり方だ!

ほかに、頭部上にエアインテーク(このパーツも左右不対象でイカしたデザイン!)、頭部左側にアンテナなどを接着して、胴体は完成となります。次に腕ユニットの組み立てなんだけど……これがまた、とんでもないパーツ分割になっている!!

▲ そうか、考えてみれば右腕は大砲なんだから、左腕だけ組めばいいのか。まず上腕。肩とヒジにつながる部分に可動軸とポリキャップをはさんで、まずは上腕だけ組み上げてしまう。上腕と下腕も後はめ可能な設計

▲ そして、ぶっとい前腕。この円柱型の前腕内に、半球型のパーツを2つ! 2つ組み入れます。この半球が円筒の中で垂直方向に動くんだよね、グリグリと。この可動構造が結果的にどういう働きをするのかは、最終ページにて!

▲ じゃあもう、足もいっちゃいますか。まず、フトモモ。内股にも外股にもひねれるよう、可動軸を入れる。ヒザ関節が、球状になっていることをおぼえててほしい。「どうせ隠れる部分じゃないの?」と思ってしまうけど、球体であることには、ちゃんと意味があるのです

▲ 足首の中にも、前後だけでなく左右方向に振れる可動軸を入れます(右)。そして、足の裏側(左)、ちゃんと滑り止めのような、靴底らしいモールドが入ってるでしょ? 400円クラスのキットで、もうこれは最高のおもてなしでは?

▲ そして、フトモモと足首を左右から挟むでしょ? だけど、ふくらはぎの辺りをよく見てほしい。ふくらはぎからフトモモ側の球体、ようするにヒザ関節が露出してる! これ、すごく“構造”を感じさせる素敵な演出! 薄い装甲が折り重なって、かろうじて人型を保っている感じが、すごくよく出ている!

▲ もう、この足だけで萌え萌えでしょう……このボリューミー具合も官能的だし、カカトあたりのふくらみの内側に、別パーツでバーニアノズルが入るんですよ? そんな凝ったことやって、誰のウケを狙っていたんだ、「ドルバック」シリーズ……もうメロメロ

どうですか、ガンプラとはことごとく別の方向を向いたパワードアーマーのキット。たった400円でポリキャップも込み込みで、形状も構造も「装甲強化服」を再現する目的のみに先鋭化した異色のプラモデル。これは宝ですよ、キャラクタープラモ界の。
では、全身を組み上げてみましょう! 大興奮モノです、神様に感謝!

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放送日: 1983年10月7日~1984年7月6日

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コメント(2)
かわやかわや2021/12/04 11:08

アニメも未見なうえモデル経験もない素人ですが、製作者様の細部にわたる深いこだわりが感じられます。 正直、パッと見はカッコいいとはとても思えないデザインなのですが、製作者様のこだわりを拝見してなるほどなと感心させられます。このポッテリしたフォルムもとてもリアルに思えてきました。 モデルとしての優秀さも理解できます。かつてはこういう優れたモデルを販売するメーカーがたくさんあったのでしょうね。 他作品の記事も楽しく拝読させていただいております。

ソウキソウキ2021/03/01 17:06

アニメはほとんど見たことなかったんだけど、主題歌はラジオで聴いて知っている。

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