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“メカメカしいけどかわいい”！「テクノポリス21C」のスキャニー（アオシマ製）を組んでハートがときめいた！！【80年代B級アニメプラモ博物誌】第1回

2020年07月05日 12:001

企画記事

プラモデル

B級アニメプラモ

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胸パーツは「接着しなくてもよい」と、購買者を試すかのような挑戦的な仕様

手足と頭さえつけば、ロボットのプラモは何となく完成っぽくなるわけだが、スキャニーの場合、何か足りなくないだろうか？　そう、胸ですよ、胸！　胸のパーツは結局、どうなるんだろうか！？

▲なるほど、胸の内部メカニックが胴体に彫刻してある。やや左右不対象だが、実は設定画でも左右対称ではないので、これで正しい。しかし、どうしても“着ていない”感じがしてしまう

▲組み立て説明書で確認してみると……なんと、胸のカバーパーツは「接着してもよい」。まるで「ただ接着するのはもったいないよね」「あなたも接着してしまうのは惜しいと思ってるでしょ？」と言わんばかりじゃないか？　俺は…俺はどうすれば……

意地の悪いことに、胸のパーツは「接着してもよい」と書かれている。戦車や飛行機でカバー状のパーツを開閉どちらか選ぶ仕様はよく見かけるが……女性型ロボットの胸のカバーを「どうするか自分で決める」ことを迫ってくるプラモデルは、空前絶後であろう。「だから何だ？」と言われても、困ってしまうが。

▲設定画では、自分の手で左右に広げているのだが……片方だけ接着すると、こんな感じになる。パチッと嵌めこんで、後から着脱可能などという便利な仕様ではないので、接着するかしないか、買った者が必ず選択せねばならない

▲閑話休題。背中の小さなスラスターは、取りつけ部分が丸い。接着せずに嵌めこむ指示があり、完成後も上下に動く。そう、宮武一貴氏のアイデアは300円の限度いっぱいまで盛り込む、そういうキットなのだ

さて、スキャニーは後頭部におさげ髪（探査プローブ）さえ接着してしまえば完成だが、オマケのテクドッグ・トムも組み立てておこう。

▲あらためて見ると、箱絵のトムは「でへへっ」とにやけた表情でスキャニーのほうを見ているのだが……まあ、気のせいだろう。アニメ本編では、別にそういうキャラクターではなかったので

▲ふとももの辺りに小さなファンがあったりして、なかなかメカニカルな感じに造形されているのだが、説明書では足を「箱絵などを見て、らしい感じに接着して下さい」という投げやりな指示が……。「らしい感じ」って何だよ、真面目にやってくれよ。でも、左右で少しだけ角度を変えて接着してやると、生き生きした感じになる

組み立てていて思い出したのが、「うる星やつら」のラムちゃんプラモデルに付属していたテン。こういうマスコット系のかわいいキャラクターをオマケに付属させることで、“水着の女の子のプラモを買ったモヤモヤした男子の気持ち”をボヤかしている気がする。トムにも同じことが言えるような、言えないような。皆さんは、どう感じるだろうか？

▲1982年発売、バンダイ模型「1/12 トキメキラムちゃん」。二頭身のマスコットキャラクターを登場させて、「本当はこのアニメ、子ども向けなんですよね」「水着の女の子ではなく、この小さいキャラが人気なんですよ、実はね」とごまかしているように見えるのだが、おそらく考えすぎであろう

これで全パーツを組み終えた（握った手と、収縮した状態の探査プローブの計4個のパーツが余る）。首と脚は1ミリぐらいしか動かないので、ほとんどポーズをつけられない。右腕は最大限まで曲げてみたが、なかなか女の子らしいポーズがつけられず、困ったものだ。

▲足首が動かないが、自立させることを考えると、下手に可動部分を増やさないほうがいいのかもしれない

▲ちょっと体を傾けて、なるべく肩を引き締めて両手の先が左右に広がるよう調整してみた。すると……見よ！　ちょっとだけかわいく見えてこないかな？

頭部から伸びる探査プローブの曲線が、シルエットにやわらか味を与えているのがわかる。プラモを作って改めて実感する、驚愕の大傑作デザインである。
ロボットアニメにおいて女性型ロボットは稀少で、スキャニー以降は「機動武闘伝Gガンダム」（1994年）のノーベルガンダムまで10年ほどのブランクがある。スキャニーのように、機能美と女性らしさが高次元でミキシングされたデザインとなると、滅多に見られない。
女性型戦闘ロボットのみのプラモデル企画を考えているのだが、あちこちで頭のおかしい人と思われたせいか、まだ実現していない。「ちょっと面白そうかも！」と思ったメーカーの方、いつでもご連絡ください。

（第2回へつづく）

（文／廣田恵介）