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“プラモデルの都合”に左右されない、デザインとしてのダボ穴
── もうひとつの大きな売りが、目が光って、なおかつ可動して表情をつけられる点ですね。 中原 放送当時の作画の加減で、ハロの目が少し斜めになって、しょんぼりしていたり怒っていたりしているように見えるシーンがあります。それを再現したくて、大河原先生に「目が動くのはどうでしょうか?」と、逆提案させていただきました。先生は新技術や新しい発想が大好きなので、「ぜひ動かしましょう」と言っていただけました。
── 左右の目が、連動するんですね。 中原 はい、目の下の歯車を動かすことで、自由に角度を変えられます。動かして表情を変えたあと、お客様が「あれ? 普段のハロの目はどの位置だったかな?」と迷ったときに困らないよう、定位置が目印としてモールドしてあります。少し目が飛び出ている理由は、LEDで光ったとき、外装パーツの裏側から目が透けて見えるようにしたいからです。プラスチックを薄く成形することはもちろんなのですが、なるべく光源と外装との距離を近づけて、ちゃんと透けるようにしたかったんです。
── この「Figure-rise Mechanics ハロ」は、縮小スケールは決まっているのですか? 中原 いえ、ノンスケールです。手の中に収めたときに気持ちのいいサイズを意識しました。いろいろな大きさのボールを買ってきて、自分の手で握ってみて、感覚で大きさを決めました。
── 外装パーツの裏面にも、それっぽいディテールが施されていますね。 中原 クリアグリーンの外装パーツは内部メカの見え方にも関わってくるので、外装パーツの裏側のディテールも大河原先生にデザインしていただきました。そのため、ちゃんと内部メカと外装の裏側モールドが、リンクするようにデザインされています。
── 外装パーツを取り付けるためのダボ穴も、ただのダボではなくて四角いんですね。 中原 はい、外装を取り付けるための“プラモデルの都合”の穴に見えないよう、取り付け部分もディテールとしてデザインしていただきました。ウソのない“メカニックデザイン”として、細かい部分までトータルに考えていただきました。平面デザインだけでなく、ふだんから立体でモノづくりをされている大河原先生ならではの気づかいですね。
── 中原さんご自身も、メカがお好きなのですか? 中原 はい、メカニック・ディテールが好きです。なので商品を開発する際も、スミ入れしたら映えそうなディテールを入れたり、自分の手でディテールを加えたい方のために余地を残したり、バランスを考えています。また、今回のハロは、生みの親である大河原先生と一緒に開発できたので、打ち合わせが楽しかったし、アイデアを盛り込みやすかったです。単にハロを模型化しただけでなく、ハロ本来のかわいらしさを壊さず、お客様に「本物のハロを手にしていただける」、そういう製品をつくることができました。
(取材・文/廣田恵介)
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