ホビー業界インサイド第17回:羊毛フェルトで作る“異素材”美少女フィギュアの魅力 土方クロネ・インタビュー
きれいに二本脚で立たせるための工夫
──羊毛フェルトで小さな動物を作る人は多いですけど、こうしたフィギュアは、何もお手本がないように思うのですが?
土方 そうですね、ネット上での情報だけでは足りないので、「こうしたらできるかも?」と自分で工夫したり、縫い物や染め物の専門の人と仲良くなって、情報を教えてもらったりしています。
──作っているときは、どんな時がいちばん楽しいですか?
土方 顔です。いちばん最初に、顔を作ります。先に「このぐらいの大きさで作ろう」と設計図を書いているのではなく、顔と髪の雰囲気から逆算して、洋服などを決めています。洋服のデザインも、かっちりと描き起こしているわけではありません。買いだめしてあったレースを付けてみてかわいいと思ったら、「じゃあ、これでいこう」と、その時々の気分で決めています。後から色を塗るわけではないので、作りながら考えることが多いですね。
──「今回は、こういうフィギュアにしよう」というコンセプトも決めないのですか?
土方 私はデザインフェスタに出展することが多いのですが、ほかのイベントが重ならなければ、半年間で3~4体ほど作れます。ですので、一度に並べる場合、「こっちは髪を短くしよう」「こっちは羽根の色を変えよう」と、シリーズとしての統一感を考えることは、よくあります。
──作っていて心がけていることは、どこですか?
土方 まず、顔を可愛く作ること。それと、重心が大事なんです。本当は、三点で支持すれば、安定するんです。だけど、接地面は小さいほうがカッコいいので、2本の脚だけで立っている物を作りたい。そうすると、例えば背中の羽根が重たくなると、全身が曲がってきてしまいます。胴体に重心を持ってきて、きれいに立たせるには、ひたすらバランスを調整します。
──他の素材のフィギュアと、どこが一番ちがうのでしょう?
土方 羊毛フェルトは形を決めながら作っていくので、後から足したり引いたりできないところです。切って繋げることはできないわけではありませんが、ギュッと繊維が固まっているところへ、上から刺しつけると違和感が出てしまう。ですから、なるべく切ったりせず、形や色を決めながら作っていくんです。
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