ホビー業界インサイド第14回:模型を作って、世界中の人々とのコミュニケーション! “模型工房ばーちゃわーるど” 亀田誠インタビュー!

2016年08月27日 12:000

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日本では知られていない小さな国の人たちのために


──2020年のオリンピックに向けて、206か国すべての風景を再現したミニジオラマを作っていると聞きました。それは自主的に作っているのですか?

亀田 はい、誰に頼まれたわけでもなく、自主的に作っています。日本に来た選手の皆さんに見てもらえる場所に展示したいと思っています。ひとりで旅行していて、夜、ポツンと異国にいてさみしい思いをしたことがあります。オリンピックで来日される選手の方たちは試合のことも大事でしょうけど、日本なんていう島国に来たら寂しいに決まっています。アメリカやロシアなどの大国ならまだしも、小さな国だと1人や2人で来るわけです。そうした方たちが、自分の国を再現したジオラマを見て、ちょっとでもホンワカした気持ちになれるように……。ですから、その国の方たちが見て、ガッカリしない模型にするよう、心がけています。

──あまりに小さな国だと、何を題材にジオラマにすればいいのかわからないのではありませんか?

亀田 その通りで、まず初めて聞く国の名前があるわけです。「セントビンセント・グレナディーンってどこ?」という状態から始めて、「この国のシンボルって何だろう?」と調べるわけですが、日本に大使館がなかったりします。日本人が見て「ああ、あの国のジオラマか」と納得するのではなく、その国の方に見てほしいわけですから、情報や資料を探すのにもっとも時間がかかりますね。シンボルらしいシンボルが、何もない国もあるんです。


──普通は、誰でもよく知っているものを作りますよね。

亀田 誰も知らないものをジオラマにしていますからね。コモロ諸島でシーラカンスがよく獲れるなんて、僕も知りませんでした(笑)。また、僕らから見てカッコいい建物であっても、戦争や暗い歴史を思い起こさせる題材は、避けないといけません。たとえばシエラレオネ共和国の場合、ちょっと詳しい人ならダイヤモンドを思い浮かべると思います。だけど、現地の人たちからすればダイヤモンドは内戦をまきこした、負の遺産なんです。  それと、有名な建物や像の場合、「版権があるから作らないで」と言われたパターンが、何か国かありますね。

──これらの模型は、どこに展示する予定なのですか?

亀田 首尾よく話が進めば、オリンピック記念館かどこかに寄付したいと思っています。選手村に置いてもらえたらベストですけど、無理だったら選手村近くのレストランでもいいんです。

──すると、置く当てもなく作ってらっしゃるわけですか!

亀田 当ては……僕自身が作るものだけですね(笑)。全206か国ありますが、178か国まで作りました。作り始めてみて、ものすごく大変であることがわかりましたけど、これは自分自身に課したノルマですね。206か国のジオラマ、絶対に最後まで作りますよ。



(取材・文/廣田恵介)

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