少しだけ落ち着いた中国の10月新作アニメ事情と、中国に入った日本の作品から消える連載雑誌などの情報とその影響【中国オタクのアニメ事情】

アニメ2022-11-12 11:00

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の10月の新作アニメに関する動向や、中国に日本の作品が入る際に消える連載雑誌やレーベルなどの情報と、その影響などについて紹介させていただきます。

7月よりはよいものの今後の不安が残る10月新作アニメ


新作アニメの配信に関する情報がほとんどないままシーズン入りして大混乱だった7月の新作の後に、今後どうなるのかという不安もあった中国における新作アニメの配信ですが、10月の新作に関しては、以前と比べればまだよいほうではある……といった状況のようです。

相変わらず具体的な配信スケジュールが事前に出ることはなく、配信開始後の更新ペースも不安定なようですが、配信作品に関する情報自体は比較的早い段階で出ていたそうです。また動画サイト側も新作アニメ特集ページを作るなどして新作アニメの宣伝を行っており7月のシーズンと比べてかなり活発に動いているとのことです。

そういった状況もあってか、中国のオタクの方からは
「7月は新作アニメが始まっているはずなのに中国では配信に関する情報がなく、プラットフォーム側もほぼ口を閉じたままの状態だったので、『日本の新作アニメはもう終わった』という見方も有力でした。それに比べれば10月の新作に関してはかなり落ち着いた気分でいられます」
などといった話もありました。しかし例年と比べるとやはり10月の新作関連の話題についての盛り上がりはいまひとつのようです。

もっともこれに関しては新作の配信の不安定さだけが理由ではないようです。
中国では9月から新学年が始まりますし、それに加えて現在の中国では9月から10月にかけては就職活動が本格化する時期なので、近頃の中国国内における学生の就職難も相まって中国のオタク層の中心となる学生は、娯楽に割く時間や心の余裕が大幅に減少しているそうです。
さらに今年は政治のあれこれで中国のネットはかなり強めに規制あるいは自粛が入っていたので、オタク関係のコミュニティであっても気楽に盛り上がるのは少々難しい空気になっていたのだとか。
そんなわけで、中国における10月の新作アニメの人気の動向に関しては、この原稿を書いている11月上旬の時点でもまだハッキリとしたものが見えてきません。

とりあえず現時点で配信が始まっている作品について見ていくと、やや遅れて始まったものの「SPY×FAMILY」の第2クールが好調なようで、大人気となった第1クール(これも中国ではかなり遅れて配信が始まりましたが)で獲得したファンとその熱量が維持されているとのことです。また続編作品ではほかにも、「モブサイコ100 III」が堅調な人気と話題性を獲得しているそうですし、10月下旬になってようやく配信が始まった「ぼっち・ざ・ろっく!」なども期待作として扱われている模様です。

ほかには「機動戦士ガンダム 水星の魔女」が中国のオタク界隈でも非常に注目されているそうで、bilibiliでの配信も予告されています。しかし11月上旬の時点ではまだ中国本土における配信が始まっていないようで、中国のオタクの方からは
「ロボや百合がわかるマニア層はともかく、ライト層の間でどういう受け止め方になるのかはまだよくわかりません」
などといった話もありました。

ちなみに10月の新作アニメの中にも、中国のオタク界隈の期待作でありながら現地での配信予告がなく、おそらく中国本土向け配信は行われないのだろうという作品がやはり出ている模様です。
そういった作品の中でも、マニア層を中心に評価が高くアニメ化の発表後はさらに活発な話題が飛び交っていた「チェンソーマン」や、9月の中国のオタク界隈で話題の中心となっていた「サイバーパンク エッジランナーズ」などは、「もし中国でも配信されていたらかなりの人気と数字になっていたのでは?」と考える人も少なくないそうです。

ただ中国のオタクな方の話では、これらの作品に関しては最初から中国本土向けの配信は困難だろうという見方が主流だったこともあり
「中国向けの配信がなくて残念に思う人はいるものの、ガッカリして精神的なダメージを受ける人はそんなにいません」
とのことでした。

前へ 1/2

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連作品

関連記事