【インタビュー】コンセプトミニアルバム「off」、リリース。東山奈央にゆっくり休むときがやってきた？
アニメ2021-05-11 18:00
「なおぼう」こと声優・歌手の東山奈央が、初のコンセプトミニアルバム「off」をリリースする。タイトル通り、「休みと癒し」にちなんだ楽曲で構成された作品で、アラームの音で目覚めて、1日活動し、夜再びおふとんにくるまるまでの流れに沿った6曲が収録されている。
今までのインタビューしてきた中で、ワーカホリックであることを公言することもあった、なおぼう。果たして、どのような休日をイメージして楽曲を制作したのか？ 話を聞いた。
今までのインタビューしてきた中で、ワーカホリックであることを公言することもあった、なおぼう。果たして、どのような休日をイメージして楽曲を制作したのか？ 話を聞いた。
自分にはもっとも縁遠い「休みと癒し」をコンセプトにしたミニアルバムです（笑）
── お仕事が大好きな東山さんなので、コンセプトミニアルバム「off」という字面を見て、「えっ!?」と思ってしまいました（笑）。
東山 今まで休むということを考えたことがなかったので、私も、自分にはもっとも縁遠いコンセプトかもしれないと思いました（笑）。だからこそ、コンセプトミニアルバムという新しい取り組みの中で、チャレンジしてみるのはいいかもと思いましたし、今は特に、自由にしたいことをして気分転換するということが難しい時期が長く続いているので、誰もが癒しを求めているのではないかなと思って。みなさんの心に栄養が行き渡るようなアルバムにできたらいいなと思いました。
── 音楽には、気楽に手に取れる気分転換の道具という一面がありますよね。
東山 そうですよね。リラックスできる音楽に触れて心が安まったなぁとか、力強い曲にガツンとパワーをもらえたわとか、そういうふうに受け止めていただける1枚になったかなと。私自身、もっとアコースティックな、音楽が収録されたミニアルバムになるのかなと、最初は想像していたんですけど、全然そんなことはなく。結果、完成してみると表情豊かなバラエティに富んだ作品になりました。
── やさしい曲はもちろん、ガツンとした曲も入ってますからね。
東山 「グー」は驚きの1曲というか、飛び道具ですね（笑）。でも、パワフルな曲ではありますが、言っていることは「みんなー、休もうぜー!!」なので、「off」というコンセプトに忠実に作られているんです。
── さらに、1曲ずつ、「日常の音に癒やされるoff」とか「恋愛にときめくoff」とか、細かなテーマに沿って作られていて。
東山 はい。こういうことをすると気持ちが休まるよねとか、こういうことをすると元気になるよねということを、チームの皆さんと話し合って決めて、そのテーマを元に曲を作っていただきました。
── 最後の曲「あした会えたら」は、東山さんの作詞・作曲です。
東山 1曲は自分で作詞・作曲したいと、ディレクターさんにお願いしました。やっぱり休まないタイプなんですよね、私ってヤツは（笑）。「おふとんで心のスイッチをoff」がテーマなので、お休みの日の最後に眠りにつく歌ということになりますよね。最初に、そのシチュエーションには、どういうメロディがふさわしいのかな、音が上下に忙しく動いたり、音符を詰め込み過ぎたりしないほうがいいなと考えていって。そうしたら、メロディに合わせて歌詞も一緒に出てきてくれて。サビの「あした会えたら ここで会えたら」という歌詞とメロディを思いついたとき、今の私の気持ちにもぴったりだし、この時期だからこそみなさんに届けたい曲になるかもしれないと思いました。
── 明日になったら、大切な人と会うというのは、本当に今、多くの人がかかえている気持ちなんじゃないかと思います。
東山 実はこの曲とは別にもう1曲作っていて、そっちのほうがお休み感はあったんですよね。でも、「あした会えたら」のほうが今歌う意味のある曲になりそうな気がして。なので、その直感に抗わずにこちらの曲の制作を進めていくことに決めました。特に「あなたと あなたと 手をとり生きたい」という歌詞のある2番のサビはワルツのイメージで作って、穏やかでやさしい人生が続いていく感じを出しました。編曲の扇谷（研人）さんにも私の考えを伝えて、4拍子の中に3拍子のリズムを感じさせるようなアレンジに仕上げていただきました。
── ゆったりとしていながら、どこか力強いんですよね。
東山 そうなんです、推進力があるというか。リラックスした眠りに誘いつつ、明日になって目覚めたときにきっと希望も感じられるようなあたたかさもあって、ラスサビに繋がっていくんです。ラスサビは盛り上がるんですけど、お休みソングの範疇からははみ出さず、心穏やかになれる感じはずっと意識して作っていこうと、扇谷さんともお話ししていました。
── アレンジにも東山さんの意向が入っているということですね。
東山 何度も扇谷さんに電話で相談させていただきました。私はプロの作家のように音楽の知識があるわけではないので、頭の中にイメージがあっても、それをどういうふうに言葉にして伝えていいかわからなくて。でも扇谷さんは、私の言いたいことを正確に汲み取ってくださるんです。それはまるで、赤子の泣き声で「あ、お腹がすいているのね」「おむつを替えてほしいのね」とわかるお母さんのように（笑）。そしてとても贅沢なことに、電話の先で実演してくださって、「あ、それです！」みたいなやり取りをしていきました。私がヘンテコなコード進行をしている部分があると、「面白いんだけど、お休みソングとしてはユニーク過ぎちゃうから、安心して聴ける和音はこっちかな」と、音楽のプロとしての提案をしてくださいました。
── かなり深いやり取りをしたんですね。
東山 私は楽譜が書けないので、エレクトーンで作曲して、それを携帯で録った音源を、いつもお渡ししているんです。歌詞もできたところから部分的にお送りして、アレンジのイメージ作りに少しでも役立てていただけたらと。その結果、とても温かい世界観を作っていただけて、本当に感謝しております。
── 扇谷さんと一緒に作っていった感がありますね。
東山 時間と気持ちをたっぷり掛けて曲作りをして、それに扇谷さんもお忙しい中、付き合ってくださって。結果的に、表現したいことをたくさん込められた楽曲になって、私としては感無量です。みなさんにも気に入っていただけたらうれしいです。
── リラックスできるのは確かであり、さらにこの曲には、今の時代に対するメッセージ性も含まれているような気がしました。
東山 「あした会えたら」に、これを聴いたら元気になれたという部分がひとつでも多くあったらいいなと思います。がんばってもがんばっても、自分だけがひとりぼっちで追い込まれている方もいらっしゃると思うんですよね。でも、どんなときでもあなたらしいひたむきさを手放さないでいただきたいなと思って。時代の風に負けずに、自分が自分らしく生きていられることが尊いし、がんばって生きていくあなたと私に絆を感じていただけたらいいなと思いながら、歌詞を書きました。
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