【インタビュー】作家活動15周年を迎えた澤野弘之が、ボーカル曲を集めたベスト盤「澤野弘之 BEST OF VOCAL WORKS [nZk] 2」をリリース!

アニメ2020-04-07 12:00

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

作曲家活動15周年を記念した澤野弘之のボーカル曲ベストアルバムがリリースされる。本人の名義で制作された、数々のアニメ作品のサウンドトラックからボーカル曲を選りすぐっただけでなく、アーティストへの提供曲や、ボーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk] (サワノヒロユキヌジーク)の曲も網羅。さらに初回限定盤には、CD初収録の3曲を収録したボーナスDISCと、昨年12月のライブ映像を収録したBlu-rayも同梱。最近5年を中心に、澤野弘之のボーカル・ワークスを多角的に知ることができる内容となった。
SawanoHiroyuki[nZk]に関しては、シングル、アルバムのリリースの折りにインタビューをおこなってきたので、今回はサウンドトラックの楽曲を中心に話をうかがった。

初回限定盤は、Blu-rayも含めると4枚組の豪華盤です


── 2015年2月にリリースされた「BEST OF VOCAL WORKS [nZk]」に続く、ボーカル曲のベストアルバムです。今回はすごいボリュームになりましたね。

澤野 特に初回限定盤は、Blu-rayも含めると4枚組の豪華盤です。前回のベストは[nZk]プロジェクトが始動したばかりの頃で、このタイミングで、それまでサウンドトラックで作ってきたボーカル曲をまとめたいと思って作ったんですけど、今回は[nZk]も6年目に突入して、サウンドトラックのボーカル曲とともに[nZk]の楽曲もシングルメインで振り返ってみようと思って、このような構成になりました。

── 前回のベストから5年ということで、ここ5、6年の楽曲が中心となった内容ですね。

澤野 そうですね。いろいろな作品に関わらせていただきつつ、[nZk]を始動させ、軌道に乗せることができた5、6年で、すごく有意義な時間を過ごしてこられたと思います。

── 作家活動15周年ということについては、どう感じていますか?

澤野 新人だった頃は予算だったり時間のかけ方だったり、自分の思うようなレコーディングができなかった部分があったので、それを考えれば今は理想的というか、自分が納得できる環境でやらせていただいているなと思っています。考え方も変わってきたと思うんですけど、今でも20代のころに何を考えていたか思い出してみたり、当時作っていた音楽を聴いてみたりしているんですけど、あの頃は若かったな、青かったなという感慨はまったくなくて、むしろ今の自分は初心を忘れないでやれているのかなと自問自答するきっかけになっています。自分には目指している場所が明確にあって、そこにはまだまだ近づけていないという思いが強いですね。

── 我々リスナーとしては、重要な作品に関わり続けていて、その日々が今回の作品として結実したと感じています。まずDISC 1ですが、サウンドトラックのボーカル曲とアーティストへの提供曲から18曲が収録されています。どのようにセレクトしていったんですか?

澤野 まずサウンドトラックに関しては、自分にとっても作品にとっても重要になった曲をメインに、ライブで盛り上がる曲を加えていきました。そこにDo As Infinityさん、西川貴教さん、Aimerさんといったアーティストへの提供曲を4曲加えました。最後に収録されている「theDOGS」は、『劇場版「進撃の巨人」 後編 ~自由の翼~』のエンディングテーマですが、サウンドトラックの流れで作った曲です。

── もっとも古い曲は、16曲目の「Release My Soul」ですね。「ギルティクラウン」の楽曲です。

澤野 前のベストからこぼれてしまった曲です。TVアニメの最終回に流れた曲で、ライブでは今も演奏しているということで選びました。ボーカルを担当してくれたAimeeさん(Aimee Blackschleger)のお気に入りの曲でもあります。

── Aimeeさんのボーカル曲はもう1曲、「No differences」が選ばれています。

澤野 「アルドノア・ゼロ」のサントラです。[nZk]を始動した頃にやっていた作品で、懐かしさがあります。この曲も頻繁ではないですけど、ライブで演奏し続けている曲です。最近では去年の上海で演奏しました。

── 「甲鉄城のカバネリ」からは、「Warcry」、「Next of Kin」、「S_TEAM」の3曲が収録されています。

澤野 「甲鉄城のカバネリ」は、「ギルティクラウン」「進撃の巨人」に続いて、荒木哲郎監督とまた一緒に仕事できた作品でした。どの作品もそうですが、荒木監督の作品には刺激をもらえるので、自分のモチベーションも自然と上がるんです。また、劇中での楽曲の使い方にも個性があるので、ワクワクしながら作っていた部分がありました。特にボーカル曲は、どのシーンにどんなふうに当ててくるのかなと。

── Aimer with chelly (EGOIST)による「ninelie」は、アーティストへの提供曲という扱いですが、「カバネリ」のエンディングテーマでした。

澤野 最初にサウンドトラックを担当することが決まって、エンディングテーマを提供させていただくというのは少し後になって決定したんです。mpiさんに歌っていただいた「Warcry」は、自分だったらこの作品にどんな主題歌を書くかな? と考えながら作った曲でした。「S_TEAM」はゲーム「甲鉄城のカバネリ -乱- 始まる軌跡(みちあと)」の主題歌で、「Warcry」のサウンド感を別の形に発展させて、Elianaさんに歌ってもらったらどうなるだろうと思って作った曲です。

── 「進撃の巨人」からは3曲が収録されています。古い順に並べると、劇場版・後編の「theDOGS」、Season 2の「Barricades」、Season 3の「Zero Eclipse」となります。

澤野 「進撃の巨人」は2013年に始まったので、かれこれ7年の付き合いになるんですね。自分の音楽活動にとって、大きな影響を与えてくれた作品となりました。「theDOGS」はピアノのシンプルなリズムから始まり、サビを繰り返すにつれて厚くなっていくという、僕自身、好きな構成の曲です。mpiさんの歌声もすごくマッチしていて、劇場版のエンディングとして、自分の求めるサウンドに作れたなと思っています。この曲のメロディを使って劇中のオーケストラ楽曲も作ったりして、映像自体はTVの総集編だったんですけど、音楽的には新たに面白いことができました。

── Season 2の「Barricades」はいかがですか?

澤野 Season 1のときはバンドサウンドを強めに押し出したロックの曲を書いたのですが、Season 2では、そのころ自分が好きで聴いていた洋楽のトレンドも踏まえて、デジタル要素を含んだロックサウンドで構築できたらいいなと思って作った曲です。Yosh (Survive Said The Prophet)さんとmpiさんの男性2人に加え、キーの高さを補ったりサウンド感の広がりを出すために、Gemieさんにも歌っていただきました。

── Season 3になると、つい最近という印象があります。

澤野 そうですね。Season 3はアクションよりもドラマに重きが置かれた展開になってきたので、サウンドトラックもキャラクターの心情寄りの曲が多くなりました。その中で、アクセントとしてエモーショナルなボーカル曲があればいいなと思って作ったのが「Zero Eclipse」です。

── ボーカルを担当したのは、Lacoさんです。

澤野 この曲がLacoさんの出会いとなって、その後「プロメア」の曲を歌ってもらったり、[nZk]に参加してもらったりするようになっていきました。

── どのような出会いだったのですか?

澤野 ボーカルの資料を聞かせていただいて、声的にも惹かれましたし、「進撃の巨人」のために作った「Zero Eclipse」に合うんじゃないかと思って歌っていただくことにしました。レコーディングではこちらのイメージとLacoさんの持ち味を摺り合わせていく作業が必要だろうなと思っていたんですけど、一発目に出た歌声が本当にすばらしかったんです。彼女の楽曲へのアプローチに圧倒されて、自分のイメージを大事にするよりも、このままでいこうと判断しました。

── 「Zero Eclipse」は、どのような曲として完成したと思っていますか?

澤野 クライマックスや重要なシーンを力強く盛り上げるために作った曲ですが、今までの力強い曲とは違ったサウンドのアプローチをしようと思っていて。意識したのは海外の映画のエンディングにあるような、しっとりとダークに始まって、次第に盛り上がっていくサウンド感です。実は劇中では想定していたのとは違うシーンで使われたのですが、それはそれで個人的に面白かったです。

前へ 1/3

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連作品

関連記事