中国での日本アニメ映画、一般向けの大ヒットとオタク向けの限界 中国の7月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

アニメ2019-08-11 12:00

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中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の7月の新作アニメの話題作の動向や、6~7月に中国で公開された日本のアニメ映画の注目作の状況などについて紹介させていただきます。

平穏無事にいってほしい7月新作アニメ


今年の中国は建国70周年というイベントが控えていることもあってか、社会のさまざまなところが「厳格」になっているそうです。
中国から旅行や交流関係で日本に来ている人たちからは「昔より便利になったが管理の厳しさを頻繁に実感する」といった話も聞こえてきますし、近頃は一般の旅行者よりも幹部などのお偉いさん、地位を持っている人に対する出国管理が厳しくなって、交流イベントへの気軽な参加が難しくなっているなどという話もあるとか。

こういった厳しさは中国のネットで配信されるコンテンツに関しても同じで、ここしばらくの間は規制あるいは自主規制の流れが強まっていますし、日本のアニメ配信に関してもイロイロと厳しい空気が漂っているようです。

4月の新作アニメにも唐突に配信中止となった作品がいくつか出ましたし、通常配信作品にも結構な数の配信中止作品が出ました。(その後また復活した作品もあれば配信中止のままになっている作品もある模様です)
そんな訳で7月の新作アニメの配信に関しても作品の内容によってはどうなるかわからない……といった見方も出ているとのことです。

もっとも、少々不穏な空気が漂ってはいるものの現在の中国のオタク界隈では7月の新作アニメに関してイロイロと盛り上がっている模様です。
初動の時点での注目作や話題作を見ていくと、まずは中国でも大人気のFateシリーズの新作アニメ「ロード・エルメロイII世の事件簿-魔眼蒐集列車 Grace note-」が放映開始前も開始後も何かと話題になっています。
中国では「Fate/Zero」のアニメから本格的にFate人気が爆発しましたが、「ロード・エルメロイII世の事件簿」は主人公が「Fate/Zero」の重要キャラであるウェイバーの成長した姿であるというのも注目を集める要因となっているそうです。

また手軽な定番ジャンルとして「ありふれた職業で世界最強」、「魔王様、リトライ!」などの異世界転移転生系の作品も堅調な人気となっているようです。
このジャンルに関しては近年日本の新作アニメに転移転生系の作品が増えていることに加えて、中国のほうでも「穿越」というトリップ系ジャンルが確立されていることなどから現地のオタク界隈でもスムーズに受け入れられる傾向があるとのことです。
もちろん設定やストーリー展開の好みに関しては日中で微妙な違いもありますが、日本の異世界転移転生系にありがちなネタに対して中国の感覚も交えてツッコミを入れながら気楽に見られるということで、根強い人気と堅実な再生数となっている模様です。

それから中国のオタク的に予想外の収穫となっているのが「ダンベル何キロ持てる?」だそうで、アニメのクオリティに加えて「アニメで学べる」「知識が得られてためになる」ということで見始めて、予想外の面白さやネタ満載の内容にハマる人が出ているとのことです。
中国のオタク界隈のこの作品に関するやり取りを見ていくと、トレーニング方法にひと言あるような人がそこかしこで出て自分の信じるトレーニング理論を語ってめんどくさいことになったりしているのも傍から見ている分には面白いですね。

ほかにも続編枠の作品としては「からかい上手の高木さん2」が旧来のファンからの支持に加えて新規ファンも獲得しつつあるそうですし、「とある科学の一方通行」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII」などは安定した人気となっているそうです。
そして7月以前から続いている作品では「鬼滅の刃」が好調に続いていますし、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」は7月28日の最終回が中国のオタク界隈でも非常に盛り上がったとのことです。

現在の中国では規制に関する先行きが不透明ではあるものの、7月の新作アニメに関して中国の日本アニメ視聴者は普通に楽しんでいるようですし、本当に何事もなく進んでいってほしいですね。

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