アニメライターが選ぶ、2018年夏アニメ総括レビュー! 「あそびあそばせ」「はるかなレシーブ」など、5作品を紹介!!【アニメコラム】

アニメ2018-10-14 15:00

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フィナーレを迎えた2018年夏アニメをレビュー! 遊び人研究会の活動を描いた「あそびあそばせ」、体内擬人化アニメ「はたらく細胞」、ビーチバレーに青春を燃やす「はるかなレシーブ」、講談社ラノベ文庫原作の「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」、人気シリーズ第3弾「ヤマノススメ サードシーズン」をピックアップしました。

あそびあそばせ

映像を見ながら吹き替えるアフレコではなく、先に声を録るプレスコを取り入れた本作。映像に縛られることなく自由な芝居を引き出せるプレスコは、役者の熱演をダイレクトに感じられる点が魅力だ。「あそびあそばせ」では女子中学生のキャラらしい心の機微をキャストに託したのかと思いきや、遊びがエスカレートして極限状態に置かれた彼女たちが奇声を上げまくるという予想外の展開に。罰ゲームで腋の臭いを嗅いだときの絶叫は、もはや言葉というより鳴き声に近く、人間もまた動物であるという事実を突きつけられる。セリフも本能に根付いたものが多く、うんこ、ちんちん、肛門、パイオツ、タマタマ、放尿ポーズ、竿といったワードが飛び交い、自主規制音も最低限に留めている。広告審査を通すために過激な単語を伏せ字で隠すという、昨今の日和ったインターネットをあざ笑うような攻めっぷりである。



はたらく細胞

「人間の体の中には、約37兆2000億個もの細胞たちが、今日も元気に働いている」というナレーションから始まったように、細胞を擬人化した本作には大量のキャラクターが登場。メインの赤血球や白血球は当然ながら、モブキャラたちまでところ狭しと動き回っている。何度も出て来るモブもいて、そんなキャラを探してみるのも面白い。
なかでも傷を治す血小板たちは幼い子供として描かれており、そのかわいらしい身のこなしで視聴者を釘付けにした。医療アニメとしての要素もあって、見ているだけで勉強になるのもうれしいポイント。エピソードに合わせて異なるアイキャッチのタイトルコールや、次回予告のかけ合いなど、細部まで楽しさが詰まっている。



はるかなレシーブ

沖縄を舞台としたビーチバレーマンガをアニメ化。高身長がコンプレックスの大空遥と、身長が伸び悩んで一度はバレーを諦めた比嘉かなたがパートナーを組み、夏の全国大会を目指す姿を描く。
第1話の冒頭でビーチバレーが「団体競技の中でも2人でしかできないスポーツ」と語っている本作は、選手同士の結びつきを細やかに表現した。特に記憶に残るのは、ブレークタイム中にビーチパラソルの下で作戦を練り直すシーン。沖縄の強い日差しはパラソルを軽々と突き抜けて、気付けば2人はパラソルと同じオレンジ色の光に包まれている。体も性格もまったく違う遥とかなたが、気持ちは通じ合っていることを印象付ける名場面だ。



異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

異世界に転生された引きこもりゲーマーの坂本拓真。人と話すのが苦手な彼はゲームで演じていた魔王・ディアヴロを名乗り、魔王キャラをロールプレイすることでコミュニケーションに成功。ディアヴロの尊大なセリフと、拓真の小市民的なモノローグが交錯しながら、ストーリーが進展する。本当は気弱な性格だとバレるのを恐れている拓真だったが、ディアヴロは絶大な力を持っており、人々の信頼を勝ち得えていく。
ディアヴロと拓真の境界線が揺らぐのは、ヒロインにアプローチされたときだ。女性に免疫がない彼は、エルフの王女・シエラの豊満な胸や、豹人族の少女・レムのスレンダーな体に戸惑い、いつの間にか素に戻ってしまう。ゆえに本作はエロティックな描写に気合が入っており、真の魔王が復活する第10話に至っては実写では再現不可能なカットまで挿入される。生まれ落ちる魔王の一人称視点とでも解釈すべきアグレッシブな構図を採用したチャレンジ精神には敬服するしかない。



ヤマノススメ サードシーズン

インドア趣味の雪村あおいが、アウトドア好きの倉上ひなたと高校で再会し、登山の面白さにハマっていく人気シリーズ第3弾。山に登るエピソードでは名所はもちろん、ちょっと不思議な看板や出会った動物たちなども、あますところなく表現しており、ていねいなロケハンを行ったことが伝わってくる。
登山靴などのアイテムも欲しくなってしまうほどの存在感があり、作中で紹介される解けない靴の結び方を実際に試してみた人も多いだろう。テンションの上がったキャラクターが口ずさむ「岳人の歌」や「アルプス一万尺」の歌声も心地よく、山の名前が由来のモンブランまで美味しそうだ。山にまつわるあらゆるものを美しく描いた一作。



(文・高橋克則)

(C) 涼川りん・白泉社/「あそびあそばせ」製作委員会
(C) 清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
(C) 如意自在・芳文社/はるかなレシーブ製作委員会
(C) むらさきゆきや・講談社/異世界魔王製作委員会
(C) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

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