人民日報で言及される大人気アニメが出るいっぽうで、通報と規制の動きも目に付く中国の7月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

アニメ2018-09-09 12:00

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中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の7月の新作アニメの人気や話題作、それからここしばらくの中国のオタク界隈で動いている規制や通報に関する空気などに関して紹介させていただきます。

中国独自の背景も見て取れる7月の大人気作品


中国では7月の新作アニメに関してもさまざまな人気作品が出ていますが、現在特に人気が高いのが「はたらく細胞」「オーバーロードIII」で、どちらの人気にも中国独自の事情が出ているようです。

まず「はたらく細胞」ですが、「科普(科学普及)な作品」といった、他の日本のアニメ作品とは少々異なる肯定的な評価とともに高い人気になっている模様です。「はたらく細胞」は人体の基礎知識的な内容がテーマとなっていますし、元ネタに応じたキャラ付けと擬人化が合わさって誰もが話題にできる、誰にでも通じるネタの作品となっているそうです。

それに加えて少年マンガ的なノリの面白い作品でありながら、オタク向け作品にありがちなサービス要素や下ネタ的な要素もない
「科学的な知識も得られる、ためになる作品」
ということで表だって話題にしやすく、一般的な若者の話題や中国のメディアにおける話題といったところまで波及しているとのことです。

この中国のメディアでの扱いというのはかなりの広がりを見せているそうで、先日ついに人民日報にも「はたらく細胞」に言及した記事が掲載されました(さすがに記事の内容そのものは作品についてではなく免疫療法などについてで、記事の冒頭で「はたらく細胞」の人気に言及するという形でしたが)。
中国では非常にお堅い、政治的なイメージのある人民日報に、新作アニメ「工作細胞」(中国語版タイトル)の名前が載るというのは、人気を実感している現地のファンにとってもさすがに驚愕の事件だったとのことです。

それから安定した人気を誇り、いつの間にか中国における日本アニメの「大作」的な扱いをされるようになっているのが「オーバーロードIII」です。
前回にも書いた通り、「オーバーロード」はその設定やストーリー展開によりさまざまな層からの支持が集まっているうえに、近年の中国では珍しい長期的な人気を維持している作品で、第3期も前評判にたがわぬ人気とともに順調に再生数を伸ばしています。

またそれ以外にも、「オーバーロード」に関しては、夏休みに重なる配信となったのもよかったという話が聞こえてきます。中国では寮生活ではなくなる夏休みは学生同士の交流が急激に減るので、ひとりでじっくり楽しめる作品の需要が高まり、見応えのある人気作品を一気に視聴する人が多くなるという話もあります。

「オーバーロード」はすでに2シーズンが完結しているうえに、現在進行形で最新話の更新も行われている見応えのある評判のよい作品ということで、夏休み需要が追い風になったところもあるそうで、最新話が更新される第3期だけでなく第1期や第2期のシリーズもここに来てさらに再生数を伸ばしている模様です。

以上の2作品のほかにも、夏休み期間ということもあってか7月の新作に関しては他のシーズンに比べて中盤あたりから人気が上がってくる作品が目に付きますが、なかでも「ぐらんぶる」「あそびあそばせ」は中国のオタク界隈にかなり刺さる作品だったようです。

「ぐらんぶる」は過去に中国でも大人気になった「バカとテストと召喚獣」の作者が原作ということで期待が集まっていたそうですが、大学生活を舞台にした飲酒ネタやサークルネタ、そこで炸裂するキャラの立ったギャグなどが好評だそうです。
そして「あそびあそばせ」は当初出回っていた作品関連の画像から萌え系の内容かと思われたりもしていたそうですが、いざ見てみるとクセのあるキャラやギャグが予想を裏切り「よい意味で詐欺的な作品」として歓迎されているとのことです。

ほかにも前回触れた「Back Street Girls -ゴクドルズ-」「殺戮の天使」は順調に再生数を伸ばしているようですし、「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」「はねバド!」などは作品の内容についてのやり取りがさらに活発になっていくなど、7月の新作アニメに関しては中国のオタクな面々にとって楽しめる作品がかなり多いシーズンとなっているようです。

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