台風も吹き飛ばした「Fate」シリーズを彩るテーマソング＆BGM！ 人気アーティスト多数出演のライブイベント「Fate Night FES. 2018」レポート

幕張メッセ国際展示場の9ホールを丸々使って行われた「Fate Night FES. 2018」。当日は超大型台風に見舞われながらも、入場前後には激しい雨も止むなど、「Fate」ファンことマスターたちを迎え入れるかのような空模様。しかし、風が吹きすさびどこか不安な気持ちを駆り立てられる夜の風景は、まるでこの会場周辺が“特異点”かのような雰囲気も醸し出している。

いざ会場内に入ると、開演を今か今かと待ちわびるマスターたちがひしめき合う。そして、開演時間になると会場は暗転。一気に拍手と歓声が巻き起こる。そんな観客の目に飛び込んできたのは、スクリーンに現れたマシュ・キリエライトの姿。なんでも、どこかへ行ってしまったエリザベート＝バートリーを探しているとのことだ。続けて坂田金時が登場し、マシュと金時からライブでの注意事項などが伝達される。そのまま、出演アーティストとそれぞれの「Fate」シリーズ担当作品を紹介するOP映像が流れると、「伝説の夜が始まる――」というテロップとともに舞台は幕を開けたのだった。

アニメ「Fate」を盛り上げたアニメソングが続々登場！

まずステージに登場したのはLiSAさん。観客達も待ってましたと言わんばかりにサイリウムを振り上げる。1曲目はアニメ「Fate/Apocrypha」のオープニングテーマ「ASH」。アニメ映像とともに、ホールのボルテージが一気に上がっていく。大サビではステージ前方では火柱が吹き上がるなど、壮大で疾走感溢れる楽曲と相まって会場の熱量はとどまるところを知らない。続いて、「Fate/Zero」のオープニングテーマにしてLiSAさんの1stシングルとなる「oath sign」とたたみかける構成。最後に、LiSAさんは声を大きく張り上げ、その迫力で観客たちを圧倒してステージを去っていった。

激しいナンバーから一転、真っ赤なドレスに身を包んだ春奈るなさんは、ミディアムテンポで荘厳な「空は高く風は歌う」を歌い上げる。自身のデビューシングルであり、アニメ「Fate/Zero」のEDテーマとなっている本曲。スクリーンには、「Fate/Zero」劇中でのアイリスフィール・フォン・アインツベルンと衛宮切嗣を中心とした映像が流れている。曲が終わり、MCで観客をあおったかと思えば、ゲーム「Fate/EXTELLA LINK」オープニングテーマ「Justice」を披露。魔術回路をイメージしたかのような舞台セットには赤、黄色、白の光が走り、ネロ・クラウディスを彷彿とさせるような細やかな演出でも会場のマスターたちを楽しませてくれる。

GARNiDELiAはアニメ「Fate/Apocrypha」のEDテーマ「Désir」を歌唱。ダンサブルな楽曲で、観客席ではみな一斉に横揺れが激しくなっていく。MCもなくクールにGARNiDELiAが退場したかと思えば、次に登場したのは「Fate/Apocrypha」のEDテーマつながりで、「KOE」を歌うASCaさん。グレーのワンピースに身を包んだASCaさんは、熱気ほとばしるマスターたちを急転直下、じっくり聴き入るムードへと持っていく。ステージ上でも派手なパフォーマンスは行わずに、その場の身振りと歌声だけでマスターの視線と注目をその一身に集めるのだった。

続いて、スモークが煙るステージに現れたのはAimerさん。しっとりとしたピアノ伴奏の中、ステージ中央の椅子に腰をかけ、「Fate/stay night ［Unlimited Blade Works］」の挿入歌「LAST STARDUST」を歌い始める。観客席からは手拍子も起こり、スクリーンには「体は剣で出来ている」と、アーチャーの固有結界「無限の剣製（アンリミテッドブレイドワークス）」の口上が映し出される。まるで、幕張メッセにAimerさんの固有結界が展開されたかのようだ。

「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」OPテーマ「Brave Shine」からMCを挟んで、劇場アニメ「Fate/stay night [Heaven's Feel]」の主題歌「花の唄」が始まると、会場には薄紫や白、ピンクのサイリウムの光が開花。また、「私を傷つけるものを貴方は許さないでくれた」という部分では、間桐慎二につかみかかる衛宮士郎のシーンが流れるなど、「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」の映像と歌詞がリンクしていく。Aimerさんは張り詰めるような間桐桜の心情を見事に歌い上げ、最後には会場にパウダースノーが降り注ぐのだった。

こうして、「Fate」シリーズの主題歌パートは終了。スクリーンには、マシュがエリザベートとともに映し出される。エリザベートがハロウィンイベントの主題歌について話題を振ると、マスターたちも興奮。しかし、マシュは「後でダ・ヴィンチに相談する」とその話を受け流す。これはもしや今後の展開の伏線なのか……？　最後に、エリザベートが「会場の子豚たち、まだまだ盛り上がっていけるわよね？」とあおると、マスターたちは歓声でそれに応える。

「Fate/GrandOrder」サウンドが幕張を大きく盛り上げる！

そして、始まったのは、六花さんによる「Fate/GrandOrder」の期間限定イベント「ぐだぐだ帝都聖杯奇譚」の主題歌「二者穿一」の熱唱。炎が吹き上がるステージの中、新第六天魔王・織田上総介といった人気サーヴァントらの映像が流れ出す。最後には「この記憶だけが、私が生きたその生の証だ」と、沖田総司オルタのセリフが画面に映し出されるなど、ひたすらにカッコいいステージと仕上がっていた。

矢継ぎ早に、これまた期間限定イベント「デスジェイル・サマーエスケイプ」の主題歌である「BURN OUT！」を歌う乃藍さんが登場。オイオイコールから始まったポップでカラフルな楽曲が、会場の雰囲気を一変させる。曲中もマスターたちをガンガンにあおっていくなど、まさにデッドヒート・サマーレースのような疾走感あふれるライブパフォーマンスを魅せてくれた。

その後は、「亜種特異点」シリーズのCM楽曲「Lose Your Way」「Indelible illusion」「一刀繚乱」「清廉なるHeretics」を一挙放出。ROUND TABLE feat.Dan、Yuriko Kaidaさん、再び登場した六花さん、DracoVirgo feat.毛蟹がそれぞれに会場を盛り上げる。

なかでも、圧巻だったのはROUND TABLE feat.Dan。アニメファンには「トップをねらえ2!」の「Groovin' Magic」や「ARIA The ANIMATION」の「Rainbow」ほか、坂本真綾さんや花澤香菜さんらへの楽曲提供でも有名な彼らだが、さすがは渋谷系の雄。バンドながらにステージを縦横無尽に使って、マスターたちの士気を上げに上げていく姿が印象的。まるで歴戦の英雄たる者の威光に思わずひれ伏してしまいそうになるステージングを見せるのだった。

そして、バイオリンを弾きながら登場したのは、黒を基調としたドレスを身にまとったAyasaさん。「Fate/Grand Order」BGMをメドレー形式で聞かせてくれる。ときに優雅にときに激しく、ゲームで慣れ親しんだ音楽をより深く迫力のある形で届け、マスターたちの心を揺さぶってくる。

スクリーンにマシュとマスターの後ろ姿イラストが映し出され、始まったのは愛弓さんによる「Eternity Blue」。「Fate/Grand Order」第1部のEDテーマとなる本曲では、主にマシュのシーンと共に名場面が次々と流れていく。サビではマスターたちも渾身の力を込めて、青と水色のサイリウムを振って盛り上がりを見せる。

楽しかった夜も、ついに終わりの時が近づいてきた。ファイナル・アクトとなるのはもちろん、「Fate/Grand Order」の主題歌を担当する坂本真綾×la la larks×伊澤一葉。「Fate Night FES. 2018」を締めくくるにふさわしい第一部の主題歌「色彩」、第二部主題歌「逆光」で、マスターたちをこの日一番の熱狂の渦へと導いていく。その姿はジャンヌ・ダルクが現界したかのよう。会場のマスターたちは、間違いなく眼前に広がるこのステージを“目に焼き付け”たことだろう。

こうして、「Fate Night FES. 2018」もすべてのステージが終了。最後に、マシュ、エリザベート、金時が一堂に会し、ライブでの感動をそれぞれに口にする。それはきっと、会場のマスターも同じ気持ちだったはずだ。まだまだ盛り上がりを見せ続ける「Fate/Grand Order」や「Fate」シリーズ。「Fate Night FES. 2018」には、その熱量が確実に詰まっていた。

（取材・文／須賀原みち）