アニメライターによる2018年夏アニメ中間レビュー【アニメコラム】

アニメ2018-08-26 13:00

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講談社の電子書籍セールで単行本を買いあさったライターが2018年夏の新作アニメを中間レビュー。本格バドミントンアニメ「はねバド!」、カイジの悪魔的スピンオフ「中間管理録トネガワ」、極道とアイドルが融合した「Back Street Girls-ゴクドルズ-」、青春ダイビングアニメ「ぐらんぶる」、そして編集部からリクエストのあった「じょしおちっ!~2階から女の子が…降ってきた!?~」の5作品を紹介します。

はねバド!

圧倒的な実力を持ちながらバドミントンを避けている羽咲綾乃と、スランプに陥って日夜練習に明け暮れる荒垣なぎさ。県立北小町高校を舞台に、バドミントンに青春を賭ける少女たちの激闘を描く。
躍動感のある試合描写はもちろん、細やかな光の表現がほかのスポーツアニメと一線を画している。体育館は暗さが強調され、扉から差し込む強い日差しが、バドミントンは室内競技であることを意識させる。部活帰りに寄ったコンビニの窓ガラスが、日の当たり加減によって鏡になるのは移ろぐ心情を思わせるし、店内が見えにくくなるのも何やら示唆的だ。原作は途中で作風が変化したため、アニメでもストーリーは大幅に変更されている。どんなフィナーレを迎えるのか楽しみでならない。



中間管理録トネガワ

帝愛グループの会長・兵藤和尊を楽しませるため、悪魔的な余興のプロジェクトを任された最高幹部・利根川幸雄。帝愛ナンバー2の地位にある彼が、兵藤会長からの無理難題に苦悩しつつも、企画のために奔走する。
スピンオフ元の本家「カイジ」シリーズを手がけたマッドハウスが担当することから、オリジナルの雰囲気そのままで映像化されると思いきや、ナレーションはサッカー中継や楽天カードのCMでお馴染みの川平慈英氏をキャスティング。さらに特徴的な擬音「ざわ…ざわ…」は名前に「ざわ」が付く女性声優が週替わりで吹き替えている。
ショッキングすぎる起用法に戸惑いを隠せないが、この奇抜なアイデアはどこかで見覚えが……。そう、兵藤会長が気まぐれに出す無茶ぶりと似ているのだ。すべてが会長のご意向とあらば、インポッシブルな指示であろうと止めることはできない。かくして本編の悪魔的プロジェクトと「トネガワ」のアニメ化企画は奇跡的なシンクロを果たす。最初は驚きがあったナレーションと「ざわ…ボイス」も意外にリズミカルで心地よく、だんだん病みつきになっていクゥ~!



Back Street Girls-ゴクドルズ-

暴力団・犬金組のヤクザ3人組が不始末の落とし前をつけるために性転換&全身整形を強いられ、裏路地アイドル「ゴクドルズ」としてデビューする異色コメディ。「動かないアニメ」と公言されている通り、本編は止め口パクのオンパレードだが、キャストの熱演とテンポのよさで異様な面白さが生じている。仕舞いにはカットを繋ぐために多用される空を見ただけで、自然と笑みがこぼれてしまうほど。
OPは監督が「絵コンテ 演出 踊り」を担当。その前代未聞のクレジットは話題を集め、次回予告でもキャラクターに突っ込まれるほどの踊りっぷりを披露していた。男性キャスト陣のユニット・ゴクドルズ漢組がキュートなアイドルソングを猛々しい声で歌ったり、女性キャスト陣の虹組がアニメと同じように滝に打たれたりと、本編以外での奮闘も際立っている。



ぐらんぶる

大学進学を機にダイビングサークル・Peek a Boo(ピーカブー)に入部した北原伊織がキャンパスライフを謳歌する青春ストーリー。ひとつ屋根の下の従姉妹たちとドキドキの日々を過ごすという期待とは裏腹に、屈強なサークル部員と無茶な飲み会を繰り広げていく。
アニメ化に当たっては飲酒シーンが改変されてしまう作品もあるが、本作では番組冒頭に「登場人物は全て20歳以上の成人です」という注意書きを表示し、飲み会のテンションを原作そのままに映像化した。さらに初登場シーンではキャラの名前とともに「(20歳)」とテロップを出すことで、健全なアニメであることのアピールにも成功している。ゆえに多くの1年生が多浪生になったが健全さの前では些事でしかない。カラオケでの一幕を描いたEDも力が入っており、健全だった自分のキャンパスライフに想いを馳せてしまうでき映えだ。



じょしおちっ!~2階から女の子が…降ってきた!?~

電子コミック配信サイト「ComicFesta」が送るショートアニメ枠の最新作。これまではティーンズラブを映像化してきたが、今回は男性向け作品であり、ボロアパートで過ごす美女2人との淫靡な共同生活をコミカルに描いている。タイトルは原作から変更されており、「俺の息子」という穏やかでない表現を「…」で省略したことによって、1話のサプライズ感が増す好判断となった。
キャラクターデザインはうるし原智志が担当。リアルな乳首に定評のあるクリエイターが参加しており、ファンの期待も…膨らむが、キャラデに忠実な乳首になのかは濡れ場をカットしたテレビ放送版では確認できない。WEBで配信中の大人向け完全版を購入するしかないのだ。「ComicFesta」の戦略が光る一作。



(文/高橋克則)

(C) 2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
(C) 福本伸行・萩原天晴・三好智樹・橋本智広/講談社・帝愛グループ 広報部
(C) ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画
(C) 井上堅二・吉岡公威・講談社/ぐらんぶる製作委員会
(C) 鳩こんろ/Suiseisha Inc.

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