また配信中止作品が出てしまった中国における4月新作アニメ【中国オタクのアニメ事情】

1月の大作の人気が続く中、手堅い作品が多く出た4月の日本新作アニメ事情

もっとも、中国のオタク界隈では1月の新作における屈指の「大作」としてさまざまな話題と人気を集めた「ダーリン・イン・ザ・フランキス」が2クール目に入ってからも好調で、引きの強いストーリー展開やキャラの人間関係の変化に振り回される人が続出し、よくも悪くも非常に盛り上がっています。話題の集中する大作的な作品としては、本作が1月のシーズンに続いて中心的な存在になっていると言えそうです。
また、大作扱いの作品こそないものの、4月に始まった新作に関してもそれなりに盛り上がったり、高く評価されるような作品が出ている模様です。

まず再生数で人気も好調なのが「ヒナまつり」でしょうか。「ヒナまつり」のようなギャグ系の作品、それも動画サイトのコメントでツッコミを入れながら見られるような作品は、中国のアニメ視聴者の笑いのセンスに合うかどうかというハードルが存在しますが、現地の笑いのセンスに合った場合は比較的長期間にわたり安定した人気を獲得できます。
それに加えて、原作マンガを知っている中国のオタクの方からは「アニメ版の『ヒナまつり』は原作に比べて黒社会的な部分が薄くなっているので、中国でも比較的受け入れやすく安全に思える」といった話も聞こえてきます。

次に、中国では予想外の良作として4月のダークホース的な扱いにもなっているのが「メガロボクス」。こちらは硬派な作風やストーリーとクオリティの高さから、マニア層を中心に評価の声が集まっているとのことです。
「メガロボクス」の硬派なストーリーは「近頃は萌え要素を備えた作品ばかり」だと感じている人の飢えを満たすことになっているそうですし、作風も中国のマニア寄りのオタク層が評価する日本の00年代前後の名作アニメの雰囲気が感じられるということで、どことなく懐かしさを覚える人も出ているという話です。
現在の中国のオタク界隈で「メガロボクス」を追っかけている人のほとんどは、原案の「あしたのジョー」に対する思い入れはないという話ですが、それとは別にストーリーや作風に対してある種の懐かしさを感じる人が出ているというのは面白い流れですね。

それから中国では4月シーズンは続編系のアニメが安定した人気を獲得することが多く、続編枠として扱われている作品、「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」や「フルメタル・パニック！ Invisible Victory」などが手堅く人気を獲得しているのが目に付きます。こうした続編系作品の中でも特に好調なのが「STEINS；GATE 0（シュタインズ・ゲート ゼロ）」だそうです。

「STEINS；GATE」は中国でも非常に評価が高く、現在の中国のオタク界隈の主流となっている世代の面々の嗜好やスタイルに対しても多大な影響を与えた作品です。
中国のオタク系のサイトを巡回していると「STEINS；GATE」がアニメを語る際の定番的な作品として扱われているのが感じられますし、飛び交うさまざまな話題においてもこの作品のストーリーやキャラクターが頻繁に言及されているのを見かけます。
そういった背景がある中、「STEINS；GATE 0」は「新作アニメで描写される過去作とは別の世界線のストーリー」ということで中国のオタク界隈ではファンが再び熱く語れる、ハマれる作品になっているとのことです。

以上のように4月の新作アニメに関しては飛び抜けた人気作品や大きな再生数を稼ぐ作品というのは出なかったようですが、上であげた作品をはじめ、手堅い人気や固定のファンを獲得する作品はそれなりに出ている模様です。