アニメライターが選ぶ、2018年冬アニメ総括レビュー!「DEVILMAN crybaby」「恋は雨上がりのように」など、5作品を紹介!!【アニメコラム】

アニメ2018-04-21 12:00

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2018年春アニメがオンエア中の4月下旬という時期に、なぜ前クールの総括コラムが掲載されるのか。それは名作揃いだった2018年冬アニメを忘れてはいけないからだ。Netflix配信の「DEVILMAN crybaby」、冬アニメ一番の話題作「ポプテピピック」、バトルアクション「キリングバイツ」、原作もフィナーレを迎えた「恋は雨上がりのように」、バイトがテーマのショートアニメ「働くお兄さん!」をピックアップしました。


DEVILMAN crybaby

本作のデーモンは本能に忠実な存在として描かれており、デーモンと融合してデビルマンになった不動明は、生理的な衝動に悩まされてしまう。放送コードに縛られないNetflixという媒体ゆえに、食欲はもちろん性欲もきちんと表現されている。ただその欲求はもともと人間が持っていたものとして描かれているのがポイント。
だからフリー編集者はラブホテルを検索しながら女子高生と電話をするし、陸上部の男子は女子の乳揺れを話題にするし、モブの女子高生たちはハードな下ネタで盛り上がる。そんな中でデビルマンになった明は、ヒロインと同じ屋根の下に暮らしながらも性欲にあらがい、悶々とした日々を過ごす。その姿はハーレムアニメの草食主人公にはない人間味にあふれている。



ポプテピピック

2018年の冬は人に出会うと開口一番、「『ポプテ』ってどうよ?」と問いかけられる恐怖の季節であった。その質問が恐ろしいのは、「ポプテピピック」への態度を示すと、アニメに対するスタンスまで丸裸にされてしまうからだ。ヤツらは作品が面白いのかどうかを聞いているのではない。AパートBパートで同じ映像を流す再放送や、全話数で異なる声優が演じるキャスティング、実写映像を織り交ぜたシュールな本編映像。それはアリなのかナシなのか、オタとしての信条を問うているのである。
結局のところ肯定しようが否定しようが、相手は「そっちだったかー」と満足そうな笑みを浮かべ、私たちは信者ないしアンチにカテゴライズされてしまう。そう「いつだって君は監視されている」のだ。そのディストピアから逃れるためには作品の共犯者になるしかない。「クソアニメ」という呼称をためらいもなく使い、キングレコードの社員になったかのように振る舞うしかない。



キリングバイツ

面白いアニメと見やすいアニメはまったくの別モノであって、「この作品は面白いから、体調が万全のときに視聴せねば……」と襟を正し、そのまま見ることなく人生を終えるオタは多い。そんな中で「キリングバイツ」は、面白さと見やすさを両立させた希有なアニメである。
獣のパワーを持った格闘家たちが無人島に集められ、バトルロイヤルを繰り広げるという王道のシチュエーション。流血どころか四肢切断さえ飛び交うバイオレンス描写。女性キャラが見せるお色気たっぷりなセクシーシーン。さらに獣トリビアを詰め込んだナレーションによって知的好奇心さえ満たされていく。「牙の鋭い方が勝つ! それが牙闘(キリングバイツ)だ!」という決めゼリフが毎話のように挿入されるのも、初見の視聴者を楽しませるための心遣いだろう。その取っつきやすさゆえ、深夜に偶然チャンネルを合わせた人であっても、画面に引き込まれること請け合いだ。



恋は雨上がりのように

女子高生・橘あきらは、アルバイト先のファミレス店長・近藤正己に恋をしてしまう。17歳と45歳。ひと回り以上も年が離れた相手にも果敢にアタックするあきらと、そんな彼女の態度にドギマギする近藤の凸凹コンビを見ていると、2人の恋を後押ししたい気分になってくる。
原作と同じように背景美術がていねいに表現されており、ファミレス「ガーデン」や、最寄り駅の元住吉、あきらが通う風見沢高校もリアルに表現された。ガーデンの屋根に水玉模様が隠れているなど、「雨」を意識させる演出も憎らしい。そんな写実的な背景だが、あきらの胸が高まると紗がかかり、幻想的な世界観に早変わりするのも印象的。OPアニメではそんなファンシーな一面も堪能できる。



働くお兄さん!

元気いっぱいで前向きな茶トラ沢タピオと、クールな性格のロシ原クエ彦。2匹の猫がさまざまなアルバイトに精を出すショートアニメ。OPは糸操り人形を使った人形劇で、バイトに励む姿がかわいらしくもダイナミックに表現された。あえて糸を消さずにそのまま残すことで、どこかレトロな味わいを楽しめる。
本編は絵本のようなタッチ。温かみを感じるやわらかな輪郭線と、三頭身のアニマルキャラたちが実にキュート。バイト先の先輩を演じるキャストは毎回異なっており、その熱演も大きな見どころだ。どこか見覚えのあるキャラクター「名前を呼んではいけないその動物」を含めて、オムニバスアニメ枠「ウルトラスーパーアニメタイム」を彷彿とさせる1作。



(文/高橋克則)

(C) Go Nagai/Devilman Crybaby Project
(C) 大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード
(C) 村田真哉・隅田かずあさ・HERO’S/キリングバイツ製作委員会
(C) 眉月じゅん・小学館/アニメ「恋雨」製作委員会
(C) GSC・宇佐義大/働くお兄さん!の製作委員会!

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