【アニメコラム】アニメライターによる2017年秋アニメ中間レビュー
脱サラを期に実世界からドロップアウトした盛岡森子が、ネットゲーム「フリドメール」の世界でイケメン男子に変身。充実した日々を過ごす恋愛ストーリーだ。アニメでは原作以上に森子の生活感が強調されており、本当は三十路なのに大学生とウソをついた罪悪感でカーペットクリーナーをコロコロしまくったり、いつの間にかゲーマー仕様の発光キーボードを使っていたりと、日常描写が微笑ましい。真っ暗な部屋でモニターの光を浴びながらゲームに興じる姿も他人事には思えないほど。
ゲームを題材にした作品は数多いが、本作はネット仲間とのコミュニケーションが現実と交錯しているのがポイント。相手がゲーム仲間だと知らないまま夜の街を散歩する第6話では、「フリドメール」と同じように満点の星空が輝き、2人の会話を見守っているのが印象的。原作はまだ完結していないが、アニメではどのようなフィナーレを迎えるのだろうか。
生物が不死の宝石になった遠い未来を舞台に、彼らを装飾品にしようと月から飛来した月人との戦争を描いたアクションファンタジー。性別のない宝石たちは少女のような外見を持ち、フォスフォフィライトは薄荷色、シンシャは洋紅色と、それぞれの名前と同じ鉱物の輝きを放つ。3DCGによって生み出されたキャラクターはどれもきらびやかで、髪の毛は巨大な宝石そのもの。肩に落ちた光の反射まで細やかに描写され、幻想的な世界観を生み出している。
月人とのバトルは腕や首が吹き飛ぶほどの激しさを見せるが、血が流れない代わりに切断面がまばゆいほどの輝きを見せる。傷を負えば負うほど美しくなっていく宝石たちには背徳的な魅力が備わっている。キャストはほぼ全て女性声優陣が務めており、きらきらとした声を聴いていると女子高に迷い込んだかのような気分も味わえる。そんな世界でハーレム状態のまとめ役・金剛先生がうらやましくなってくる一作。
高校3年生の冬にかつて住んでいた街へ戻ることになった泉瑛太が、中学生のクラスメイトたちと再会するオリジナル青春群像劇。学園ドラマでありながら、ストーリーの始まりが卒業まで残り3か月に設定されており、何かをやり残してしまったのではないかという焦燥感が作品全体に流れている。
転校先の高校で友人の相馬陽斗と再会した瑛太は、野球の1打席勝負に付き合わされる。それを見ていた吹奏楽部の森川葉月は応援歌を何気なく奏で、音色は2人がいるグラウンドにまで届く。写真部の小宮恵那が持つカメラは季節外れの転校生をフレームに収め、陽斗に恋心を抱く夏目美緒は勝負の行方を見守る。そして陽斗がホームランを放ったことで物語が動き出す。4月からは別々の道を歩む登場人物たちがひとつの場所に引き寄せられる第1話は、物語の幕開けにふさわしい仕上がりだ。
クールな美人OLとして仕事をバリバリにこなす水沢千里だが、夫の壮良が作ったカクテルを飲むと甘えん坊キャラに一変。夫の壮良に膝枕やお姫様だっこをしてもらう千里がキュートで、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。普段はスーツをパリッと着こなしている千里が、家ではゆったりとした服を着ているというギャップ萌えがかわいらしく、プロポーションのよさにもドキリとさせられる。
お酒を飲んだときに漏らす「しふくぅぅぅ」の口癖は、セクシーだったり、ホラー調だったりとバリエーション豊か。今週はどんな感じだろうかと期待してしまう。本編に登場するカクテルはどれもオシャレ。レシピもお手軽なので思わず飲んでみたくなるが、独り身の男が作ったら虚しさに包まれるのは目に見えているので、紙パックの鬼ころしをヤケ飲みするしかない。マスコットキャラのレモ男がバイクで疾走するEDアニメは意味不明だが、イチャイチャを見せつけられたときの走り出したくなる感じをうまく表現している。
刀剣乱舞 おっきいこんのすけの刀剣散歩 弐
刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の名刀を紹介する旅番組。マスコットキャラクター・こんのすけが着ぐるみの「おっきいこんのすけ」になって、刀を所蔵する全国の美術館・博物館を訪れる。浅草で人力車に乗ったり、香川できつねうどんを食べたりと、気ままに散歩をするこんのすけに癒やされるが、刀剣の解説コーナーはかなり本格的。生い立ちや名前の由来、過去の持ち主などの歴史的背景をわかりやすく伝えている。
ナレーションはその回に紹介する刀剣のキャストが当番制で担当。落ち着いたボイスに身を任せながら、刀剣たちが歩んできた悠久の歴史に思いを馳せることができる。刀の鑑賞ポイントをていねいに解説しているのも初心者にとってはうれしいところ。視聴後に刀剣とキャラクターを見比べてみば「刀剣乱舞」の世界観を一層楽しめる。
(文/高橋克則)
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(C) クリスタルな洋介・小学館/「お酒は夫婦になってから」製作委員会
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