【アニメコラム】アニメライターによる2016年秋アニメ中間レビュー

アニメ2016-11-27 12:00

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2016年秋の新作アニメの総数は、あにぽた調べによると75本。脳トレで鍛えたワーキングメモリーも悲鳴を上げる大ボリュームだ。さらに分割2クールという人間の記憶力を過信した放送スケジュールや、突如挟まる総集編および特番によって、今何話を見ているのかさえわからなくなってくる。そんな忘れん坊なアニメファンにオススメなのがショートアニメ。5分だ。5分なら覚えていられる。ということで今回はこの秋注目のショートアニメを中間レビュー。
戦国4コママンガ原作の「信長の忍び」、人気ホラーゲームをアニメ化した「あおおに~じ・あにめーしょん~」、ダンボーに耳と尻尾が生えた猫アニメ「にゃんぼー!」、あの名キャラが3Dになった「3ねんDぐみガラスの仮面」、読書家の日常を描く「バーナード嬢曰く。」の5作品を選りすぐり!


信長の忍び

まだ子供だが実力はピカイチの伊賀忍者・千鳥が、天下統一の夢を抱く織田信長に仕えて、乱世を治めるべく戦国の世を駆ける時代劇アニメ。原作の4コマを約15秒で消化し続けるハイテンポなリズムが心地よく、気付けば1話が終わっているほど。ギャグアニメながらストーリーは史実を踏まえており、戦国武将が乗る軍馬は人より足が遅かったり、秀吉とねねが当時は珍しい恋愛結婚だったりと、見ているうちに戦国豆知識が増えていく。
合戦シーンもリアルで、血が出たり手がちぎれたりと意外にバイオレンスだが、キュートな絵柄のためか不思議と気にならない。オープニングでは背景を赤くすることで流血を墨汁のように黒く表現していてスタイリッシュだ。公式サイトでは第0話を配信中。千鳥と信長の出会いのエピソードもお見逃しなく。




あおおに ~じ・あにめーしょん~

無人の洋館に閉じ込められた4人の少年少女が、謎の巨人・青鬼に追い回されるホラーゲームをショートアニメ化。キャラクターは全員2頭身のポップな絵柄ではあるものの、青鬼が人を喰うというコンセプトは原作そのまま。毎回青鬼に捕まってGAMEOVERになってしまうホラーコメディに仕上がった。
その死に様は、撲殺、絞殺、圧死、首チョンパなどバラエティ豊か。だがあまりスプラッター感なく楽しめるのは、青鬼の妙な愛らしさのためだろう。第4話「あおおにのゆうがないちにち」では洋館に迷い込んだお客をもてなすために頑張る健気な姿がドキュメンタリータッチで収められた。なお2017年にはオリジナル劇場アニメの公開が控えている。こちらは本格的なサスペンスホラーになる予定だ。



にゃんぼー!

あずまきよひこのマンガ「よつばと!」の人気キャラクター・ダンボーが猫のにゃんぼーになって登場。手のひらサイズのにゃんぼーたちが屋根裏や公園をはじめ、実写の世界をところ狭しと駆け巡る。CGのキャラクターが背景と合成され、本当にそこで暮らしているかのような雰囲気を味わえる。
本物の猫が実写で出演しているのも注目ポイントだ。にゃんぼーとからむシーンでは、猫パンチを食らわせたり体をかじったりと、やりたい放題。リアル猫とにゃんぼーのアクションは手に汗握る仕上がりである。壊れたUFOを直して宇宙へ行くのが夢というSF要素を盛り込んだストーリーがどう進展するのかも気になるところ。エンディングには「よつばと!」の主人公・よつばも描かれている。



3ねんDぐみガラスの仮面

不朽の名作「ガラスの仮面」の40周年記念アニメ。21世紀にタイムスリップした北島マヤたちが、持ち前の芝居魂を発揮して冷めた現代人のハートを熱くたぎらせていく。「草食系男子を理解するためには草を育てる水と土を知らなければ……」と泥団子を頬張るマヤなど、名シーンも巧みに翻訳している。
原作のコミカルな部分だけを強調したスピンオフは、ともすれば悪ふざけになりがちだが、キャラクターの性格自体は変わっていないため違和感を抱かずに堪能できる。「ガラスの仮面」の包容力を思い知らされる一作だ。エンディングテーマ「黄昏のエンド」では毎回歌詞が変化する小ネタも盛り込まれ視聴者を飽きさせない。桜小路くんが「マヤちゃーん!」と叫ぶだけで次第に笑みがこぼれてくるようになる。



バーナード嬢曰く。

本を読まずに読書通ぶりたい少女・町田さわ子と、読書好きの友人たちが織りなすギャグマンガをアニメ化。原作では各巻50冊以上の本が実名で登場しているが、アニメでは実在しない書籍もチラホラ混ざっている。ここは町田さわ子にならって「さすがに翻訳がイマイチと指摘してる本は実名じゃ出せないよなぁ~」と制作の裏側を勝手に想像してみせるのがオタとしての正しい身振りであろう。
その代わりアニメでは作家の似顔絵が登場。そのラインアップは、筒井康隆、志茂田景樹、そしてお笑いコンビ・さまぁ~ずとカオスの様相を呈しており、今後はどの作家が描かれるのか期待が膨らんでいく。本編終了後にはキャラクター同士がかけ合う一迅社のCMもあり、時間枠いっぱい楽しめる。


(文/高橋克則)

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