坂本夏樹さんの評価レビュー

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出会いに纏わる光と影、喜びと切なさ

観賞手段:動画サイト
本作は、当時普段アニメとか見ないような人達からも
話題に投げかけられる機会がかなり多く、
社会現象とはこういう状況を言うのだな、
と感じ入ったことをよく覚えています。

そんな規模感で話題になる、
所謂、その年、時代を代表するような作品は、
EDテーマも飛び抜けて魅力的なことが
多いように感じてきました。

配信で視聴される方が増えるにつれ、
OP/EDのスキップについて
是非が問われる場に遭遇することも増えました。
個人的な意見としては、
OPもEDも込み込みで一つの作品として
楽しんで欲しいです。
でも、だからこそ、音楽が生業の身として、
そんな楽曲作りをしないといけないと思っています。
OP曲聴いてからの方が
ストーリーがより熱く感じられる、
本編での感動の余韻を
ED曲が心地よく整えてくれる、
僕達には、そんな楽曲作りをしないといけない
使命があると思っています。

そこで本作のEDテーマ曲「花の塔」なんです。
まず、印象的でスピード感溢れる
イントロのシンセメロが、
本編ストーリーの鋭さや勢いを殺すことなく
ED曲に引き込み切り替えることで、
ED曲中も違和感なく余韻を
継続させることが出来るのです。
令和4年裏アニソン大賞と共に、
令和4年ベストリフ大賞も
受賞して欲しいです。

この導入に違和感があると、
一気に冷めてしまうんです。
そうなるとスキップしてしまう気持ちも
理解出来ます。

そしてタイトルにも引用させていただいた
さユりさんが歌い上げるテーマが、
余韻に浸りながらのストーリーの回想に
より深いコントラストを与えてくれます。
まばゆい煌めきと底の見えぬ闇の対比を
歌わせたら、さユりさんに並ぶ者は在せん。
(是非、他楽曲も聴いてみてください。)
キャラクターの個性
それぞれのバックボーン
ストーリーが存在する世界
その全てに対比があって、
そんな「陰影」の立体感に
多くの視聴者が惹きつけられたのだと思います。
だからこそ、さユりさんの、
「光と影」なんです。

色々な読み方の出来る歌詞だと思います。
おそらくは、大半の方が「救い」を
感じたと思います。
でも僕には、救いの、光の、薄皮一枚隔てた
すぐその反対側にある、破滅と闇に
引き摺り込んでしまいたい
衝動との葛藤のようにも感じられるんです。
多分正解ではないと思いますが。
でも勝手にそう想像してみて
ストーリーを追ってみると、
また違った見え方が浮かび上がってきて
面白いんです。
僕は、そんな人それぞれのイマジネーションを
掻き立ててくれるのが、
良い歌だと思っています。

是非、深読みや考察をしてみてください。
プロレビュアー
坂本夏樹
坂本夏樹
ストーリー
5.0
作画
-
キャラクター
-
音楽
5.0
オリジナリティ
-
演出
-
声優
-
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2024-01-31 18:40:15

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