にゅまさんさんの評価レビュー

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隣り合わせの灰と青春 #グリムガル

観賞手段:テレビ、試写会
異世界転生モノの様に始まってはいるが、特に元の世界への帰還を目指すこともなく日常としての戦いを積み上げていく。本作はRPGゲームソフトの始祖である「Wizardry」に強く感化されており、記憶を持たぬ少年少女たちが突如集められ、探索と戦いの日々に投入される様は正にキャラメイクの再現である。
 元々の英語版「Wizardry」は当時の米国の世相を踏まえた皮肉色の強いブラックジョークな部分も有ったが、日本語版ではそう言った日本人に伝わりにくい部分は一掃され、更に末弥純氏の華麗なモンスター画像、羽田健太郎氏の音楽、そしてゲームノベライズの源流と呼ぶべき名著であるベニー松山氏の小説版『隣り合わせの灰と青春』を始めとする優れた二次創作によって、日本における「Wizardry」はストイックかつシビアでハードな世界として神格化し、ゲーム目的である護札をワードナーから奪還してもなお迷宮に挑み鍛錬を続ける毎日を過ごした当時のプレイヤーは少なくない。
 今作は、アレンジこそあるが駆け出しの冒険者達がビビりながらも迷宮に踏み入れ始めた時の気分を実に再現している。近年のラノベファンタジーには失われた空気感である。残り物の寄せ集めだった烏合の衆が、きちんと機能するパーティへと育って行く様が実に丁寧に描かれている。

 そしてアニメ版は12話で語られることを念頭に置いて、見事な構成で区切りをつけた。一人前の義勇兵となる迄の原作1巻分を8話分、より強敵に挑む2巻目分を4話分と進行ペースを変え、そして最後の戦いでこの12話までに積み上げた事に一つの総括を行う為、ラストバトルのシチュエーションに絶妙のアレンジが加わった。賛否あるが、自分は是と思う。実に素晴らしい締めくくりだった。
にゅまさん
にゅまさん
ストーリー
4.5
作画
5.0
キャラクター
4.5
音楽
4.5
オリジナリティ
4.5
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 4.5
いいね(0) 2016-04-11 03:20:56

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